【完結】引きこもり陰キャの僕が美形に転生したら

エンカウント⑴

「貴方がディディエ＝エレクサリア様ですか。お初にお目にかかります。エルヴィーラ=ピッカルーガです。」

トイレのために会場を後にすると、まさかの廊下で件の令嬢と鉢合わせてしまった。

ご丁寧に挨拶をされたからには返す他ない。

「初めまして、ディディエ＝エレクサリアです。」

「いきなりですが、私初めてあなたを目にした時から不愉快だったのです。」

本当にいきなりだ。それもド直球。

「なぜ貴方があの方々に囲まれているのか不思議でなりません。本来あるべき状態に戻すべきだと思います。この国の国母は私こそふさわしいのです。それをお忘れなきよう…」

捨て台詞とばかりに言いたいことだけ言って去ってしまった令嬢。

「(あるべき状態に戻す、か…やっぱりこの世界は乙女ゲームとか小説とか、そういう世界なのだろうか…僕は悪役令嬢ならぬ悪役令息？)」

現に今、リアンやユーリお兄さま、ベル達はあの令嬢と一緒にいる。アダム先生やアレクもあの令嬢を気にしている。前世のラノベとかで見たストーリーの強制力というやつ？本当にそんなことあるのかな。

半信半疑もまま、答えも出ない問題に頭を抱えるしかない。