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嵐の来訪者⑴
しおりを挟む平和な時間が流れていた我がSクラスに、女生徒たちの発狂が響き渡った。
教室の出入り口を見てみると、見慣れた三人の姿が…
「ディー!会いに来たよ♡」
そうして僕にラブコールを送るのはユーリお兄さま。
「ディ、ずっと会いに来てくれるのを待っていたが、待ちきれなくて来ちゃった☆」
お茶目に言ってのけるリアン。
「すまん!」
そして二人の暴走を止められなくて申し訳なさそうにしているベル。今日も今日とて苦労人の表情をしている姿は、方向音痴で皆を困らせていたあの頃が懐かしく思える。
「皆揃ってどうしたんですか?」
いきなりの訪問に驚きを隠せないのは僕も一緒。
発狂したり、失神したり、涙を流したり…忙しいクラスメイト達をそっちのけで僕のところまで一直線に来るのはこの国の皇子様。自分がヒロインにでもなった感覚さえ覚えてしまう。
「だからディに会いに来たんだよ!全然来てくれないから寂しくて…」
うん、朝に会ったところだ。なんなら同じ馬車に乗って来た。
「それを言うなら私の方が寂しい。学園以外では全然会えないからな。」
「リアンはお茶会開いてよく会ってるだろ。俺は凄い久しぶりな気がするな。元気にしてたか?ディ」
「お久しぶりです。僕の誕生日パーティー以来ですよね。とっても元気です!いつもお兄さまがご迷惑をおかけしてすみません。」
近所のお兄ちゃんの様に話しかけてくれるベルにユーリお兄さまに代わって謝罪する。
「ディが…ディが僕の代わりにそんなこと言うなんて!可愛すぎる!なんていうんだろう…僕のものになったって感じがするんだよね。」
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