【完結】引きこもり陰キャの僕が美形に転生したら

君の虜⑵

近くに来ていたアダム先生が僕に向けてソッと手を伸ばす。

「ブローチ、着けてくれているのですね。嬉しいです。やはりこの色がディディエ様に似合うと思いました。」

胸元についている先生から持ったブローチ。それを眩しそうに見つめている。

「改めて、ブローチありがとうございます。大切に使います。」

「私こそ、使って頂きありがとうございます。…ディディエ様が一緒に喜んでくださる場面を逃した私はバカな男ですね…でも、こうして私が報告しなかったことに拗ねているディディエ様を見ることが出来て嬉しいと思ってしまっている私は…(ディディエ様に魅了されている、いえ、虜なのかもしれませんね)すみません、ただの独り言です。」

っ！

アダム先生のその言葉を聞いてハッとなって見上げると…

そこには嬉しそうにはにかんだアダム先生が立っていた。
僕が拗ねて嬉しいって、面倒の間違いじゃなくて？

「…折角アダム先生が教師になれたおめでたい時にごめんなさい。ぼ、僕怒ってないから…拗ねてるだけです…だから今度お家に来てください。一緒にお祝いさせてほしいです…」

アダム先生が頑張って教師になったのに、いつまでも僕が拗ねてちゃダメだよね。

一緒にお祝いさせてもらおう。その時には、ブローチのお返しと、お祝いに何かプレゼント出来たらいいな…

「ありがとうございます。楽しみにしていますね。」