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君の虜⑴
しおりを挟む「ディディエ様。」
アレクより先に廊下に出ていた僕を引き留めたのは、僕の悩みの種のであるアダム先生。
さっき色々考えてたからか、ちょこっとだけ目を合わせずらい。だからか、後ろから話しかけられたけど歩みを止めてから振り向けない。
「ディディエ様、やっぱり怒っていますか?」
ビクッ
確信をつかれて肩が跳ねる。
「…怒ってないです。アダム先生が教師になりたいって知ってたので…ただ、ただ折角夢が叶った時にお祝いしたかっただけです…おめでとうございますって言いたかったです。」
いつの間にやら僕の前に回り込んでいたらしいアダム先生が、俯いている僕を覗き込むように立っていた。
なんかめんどくさい彼女みたいなこと言ってるけど、一度話し始めた口は止まらなかった。
「(そういうところが可愛くて、健気で…誰にも渡したくなくなるんだ…)ありがとうございます。そう言って頂けて嬉しいです。…言い訳になるかもしれませんが、サプライズとして学園でディディエ様と再会したくて…」
そう言われても寂しかったことは寂しかったし、過ぎてしまったことだから、これ以上何か言うのも違う気がする。それに誰に言うかはアダム先生の自由な訳だし、そもそも僕が拗ねていること自体おかしいんだよね…
そう考えると、何も言えなくなって沈黙が続く。
近くに来ていたアダム先生が僕に向けてソッと手を伸ばす。
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小説家になろう様でも2023年 03月07日 15時11分から投稿しています。
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