【完結】引きこもり陰キャの僕が美形に転生したら

腹の中は探り合い⑵

「あら、アンジ！ごきげんよう。」

校舎までの道のりを歩いていると、お母さまの愛称で呼んできたのはローデリア侯爵夫人。名前は確かリディアン＝ローデリア。アレクのお母さんだ。

侯爵夫人がいるってことは…

「ディ！久しぶりだな！今日からまたよろしく。」

「アレク！久しぶりだね。アレクがいると心強いし、楽しい学園生活になりそう！」

やっぱりアレクが来ていた。両親そっちのけで話し始める僕たちに、大人たちはポカンとしている。

「ディ、いつの間にそんなに仲良くなったんだ？」

「この前遊んだ時とっても楽しかったんだぁ。初めて出来たお友達だからとっても嬉しくて！」

「そ、そうか…」

あれ、お父さまなんか落ち込んでる？

「良かったわねぇ、ディ。これからの学園生活が楽しみねぇ。」

お父さまとは反対に微笑ましそうな表情で僕の話を聞くお母さま。そして

「君がアレクの言っていたディディエ君だね。」

僕に話しかけてきたのは、多分アレクのお父さま。アレクにそっくりで、アレクが大きくなったら…って感じの見た目。正直パッと見はめちゃくちゃ厳つめ。でも話し方とか、声のトーンが穏やかで、優しい人なんだと思う。

「っ！ご挨拶が遅れてしまい、申し訳ございません。お初にお目に掛かります。ディディエ＝エレクサリアです。アレク君とは仲良くさせて頂いております！」

少しでもいい子に思ってもらえるように今出来得る最上級の挨拶をする。