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マウント合戦⑵

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「我が息子ながら中々の攻撃力だ。」

「本当よ。私の心臓が撃ち抜かれて一瞬あの世に逝ったのかと思ったわ。」

冗談を言いながら左の胸を押さえて言う二人が何だか面白くて、笑ってしまった。

「あらあら、そんなに笑って可愛いわねぇ。ディは。」

「うんうん、さすが俺の息子だ。」

「‶私の‶息子ですけれど。お茶会が終わった時なんて、私を抱きしめてお礼を言ってくれたのよ!」

「そうかそうか、しかしさっき大好きって言った時はお父さまって先に言ったぞ!」

そして突然始まったマウント合戦。

「それなら私も負けてませんね。ディはいまだに、二人でお茶するときは私の膝の上に乗ってくれるのですよ!」

「僕だって!ディは…ディは僕が疲れている時、ギューってしてくれるもん!」

実は今夕食後の家族団らん中なのだ。突然始まったお父さまとお母さまのマウンティングに触発されたお兄さま達が、僕の恥ずかしいエピソードをポロポロ溢し始める。

「(こ、これは、早々にやめて貰わないと…僕がやけどをするだけだ!)」

「…それでは、いつも労わってくださり…使用人ながらおじいちゃんと呼んでくださる私めはどうでしょう。」

カランカランカラン!winnerセバスチャン!

止めようと声を出そうとした時、セバスチャンの一言でその場の勝者が決まった音が聞こえた気がした。

誰も何も言わなくなってしまったのだ。

当のセバスチャンは僕を見てパチンとお茶目にウインクをするあたり、僕のことを助けようとしてくれたんだろう。合掌しておく。

「「「「くぅ…(ぐうの音も出ないとはこのことか…)」」」」

公爵家の面々を言い負かすことが出来るのはセバスチャンぐらいなのかもしれない…








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