【完結】引きこもり陰キャの僕が美形に転生したら

仕切り直しの親睦会⑹

「っ！見惚れっ…ゴホンッこちらで僕とお話しませんか？」

え、今僕に話しかけてくれてる！？家族や使用人達、アダム先生以外に話しかけてくれる人が初めてだからジーンと来る。

あ、皇子様がいた。嘘ついちゃった。

「はい！お話しましょう！」

居酒屋のはい！喜んで！なみに勢いよく返事をしてしまって恥ずかしくなる。
ちょっと食い気味過ぎたかな。変に思われてないかな。

「ふっ、それじゃあ行きましょう。」

っ！！今笑われた…しかも鼻で。

で、でも手を差し出してエスコートしてくれるみたいだし、印象は悪くなってなさげかな？
同い年にしては一回りぐらい大きい手に自分の手を重ねる。

連れてこられたのはスイーツが置いている所。ゆっくり食べながら話をしようってことかな。

「ディディエ様は普段アフターヌーンティーでは何を食べられますか？」

「ケーキや焼き菓子が多いです！うちのシェフが作る物全部美味しくて、全部大好きです。」

お見合いの如く始まった質問コーナーに素直に答えていく。もちろん、答えるだけじゃなくて聞き返してるよ。

「それより、同い年だと聞きました。よろしければディと呼んでくださいませんか？」

質問を重ねるうちに色んなことを話すようになって、距離を少し縮めたいと思い、そんなことを提案してしまう。

「ディディエ様がよろしいのでしたら是非。しかし、本当によろしいのでしょうか。」

なんて戸惑いを含んだ反応をされる。

そうか、この世界の貴族社会はファーストネームで呼び合うことはあまりなく、よほど仲が良くなければお願いしないようなことなのだ。