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卒業パーティー

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卒業式後の卒業パーティーでダンスを踊ったり、食事や会話を楽しんだりと各々が楽しんで過ごしていたひと時にその時はやって来た。

「ロイド様、聞いてください。私、アミリアス様にドレスを破られてしまって…制服で来るしかありませんでしたの。」

ローゼがいつものようにアミリアスにされたとロイドへ告げ口をしており、周囲の生徒は皆またかと言うようにその様子を見ていた。

「そうか…」

ロイドは一言だけ返すとそのままローゼを中心へ連れていき、声を張り上げた。

「楽しんでいるところすまない。今日この場でみなに迷惑を掛けていた罪を暴きたい。アミリアスこちらに。」

そうしてホールの中心にはアミリアスを支えるようにロイドが、そしてその後ろに使えるようにナーウェイド、キートリアが並ぶ。それに対面するようにローゼが…

「ちょっと、どういうことですの?どうしてその女が」

「ローゼ嬢がアミリアスに対していじめられたなどと虚偽の発言をし、その裏ではアミリアスを階段から落としたりなどをしていた。それらの悪事の証拠はもう出ている。」

自身だけが1人になる構図に不服を申し立てるローゼの言葉に、被せる様にロイドは話始める。

「そ、そんな私は虚偽の発言など…ましてやアミリアス様にそのようなことなど」

「まだ、続けるのか。いいだろう、証拠を今から話そうか。ナーウェイド。」

「はい、以前アミリアス様とそのご学友たちの会話を耳に挟んだことがあります。その時、アミリアス様はローゼ嬢と殿下の噂に関して物事はなる様にしかならないのだ、だから自分は見守るとおっしゃっていました。なので、ローゼ嬢の言う嫉妬からいじめをするのは考えられません。」

「まって、いじめられたのは本当で!!」

「次、キートリア。」

「はい、アミリアス様は王妃教育や実家のお手伝いをしており、加えて最近は公務もこなすようになっています。失礼ながら、ローゼ嬢を構っている暇はないかと…それに以前ローゼ嬢がアミリアス様に対してロイド殿下を自分のものにするのだと、そのためいじめられた方がやりやすいからいじめをされたと言えば嘘でも皆は自分を信じるのだと言っていました。」

「それは、その時はまだいじめられてなかったから!!」

「次、メラリオ先生。お願いします。」

「はい、以前アミリアス様が倒れてしまって保健室へ運ばれて来たことがあります。キートリア様の言う王妃教育や公務などで疲労の蓄積や寝不足が重なったのでしょう。それほど忙しい方がわざわざいじめなんてされるでしょうか。またそれから数日後、足に怪我をして来室されました。アミリアス様は言葉を濁して、自身で転んだと言っておりましたが背中や腕にも打撲や小さな傷があったため数段の階段から落ちたことが考えられます。そして、気になり調査した結果、アミリアス様と階段の踊り場で口論をしていた女生徒がいたという情報をつかみました。」

「それは、この女が自分で飛び降りて!!」

「ほぅ、まだ虚偽の発言を重ねるか…そなたがアミリアスにされたと言っていたいじめの内容一つ一つに自作自演だと言う証人がいる。アミリアス、すまなかった。私がローゼ嬢と変な噂になってしまったばかりに…」

そこで初めてアミリアスは口を開いた。

「ロイド殿下…あなたはローゼ嬢が好きなのではないのですか?」

「そ、それは…その、すまない。君の興味を引きたくて…少し女生徒と話す時間を多くとったら君は私を気にしてくれるのではと思って…本当にすまない。私の浅はかな考えで君を傷つけた。」

「そう、でしたの…許します。今謝ってくれましたし。私を想っての行動だと思うと嬉しいですわ。」

そう言って微笑んだアミリアスの笑みを、ロイドは初めて心から笑ってくれた気がしたと思った。

ロイドと婚約者となってから、淑女教育や王妃教育が始まったアミリアスはどこか一線を引いたような態度が寂しく感じていた。そのため、久しぶりに見たアミリアスのこの笑顔をこれから先何があっても守りたいと思うのであった。



「ちょっと待ってくださいっ!!私本当にいじめられてて…それに私は階段から落としたりしてません!!ほんとうです、信じてください!!」








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