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バレンタインと言う名のお礼参り⑵
しおりを挟むまずは最初に行こうと思っていた騎士団詰所。
「あ―――!!ナオちゃんじゃん!!」
一番に私に気づいたジーリオの大声でバッと全員がこちらを向く。
「マイエンジェル!私に会いに来てくれたのですね!あぁ、神よ…」
「ナオちゃん!今日は学園休みなのか。」
「訓練しに来たのか?」
「その荷物は?」
いつも通りのロマンさんを皮切りにワラワラと人が集まってくる。
そして、クレマさんに説明した内容と全く同じことをみんなに説明する。あぁ、因みにクレマさんはずっと私を後ろからギュってしてる。それもいつもの光景なのかツッコむ人はもういない。
「へぇ~ナオちゃんの手料理か!」
「美味そうだな!俺たちの方がナオちゃんにお世話になってるのに良いのか?」
「本当だな。いつもありがとうは俺たちの方かもな!」
何て嬉しいことを言ってくれる。が、いつも眼福な思いをさせて貰っているのだから感謝を伝えなくては!いつも良い筋肉をタダで見せて貰ってありがとうございます!!!
「マイエンジェルのチョコレートを一番に食べるのは私だ!!」
っと珍しく大声を出しながらロマンさんがトリュフに手をつける。
「あっ、ずりぃ!俺も!」
それに続いたジーリオ。そんなちっぽけな勝負をする二人に言い放ったクレマさん。
「残念だったな。俺は来る前にもう食べた。」
勝ち誇った笑みを残して。大人げないと言うところだけど相手も大人だもんね、何も言うまい。
「なっ、なんてことだ…マイエンジェルのチョコレートが…」
「先に悪魔に食べられていたなんて…」
こんな時だけ息ぴったりの二人が落ち込んでいる間に他の面々がチョコレートを食べていく。
「ロマンさん、二番目でもなくなったけど…」
「なっ、何て現実は残酷なんだ…」
そんな大げさな。
そんな楽しませてくれる皆にある程度の量のチョコレートを置いて皇宮に向かう。
「なぁ、別に顔を合わせなくてもいいだろう?門前で渡すだけ渡して帰ろう?」
「それはダメだよ。ちゃんといつものお礼を伝えて」
「いつも面倒見ているのはナオの方だろう?それとも俺には言えない好意でも抱いているのか!?」
グズグズと私の後ろで口を尖らせながら文句を言っているクレマさん。いつもながらに気持ちのいい胸筋と可愛い発言のギャップが凄い。そんな可愛いクレマさんの頭をなでなでしていると到着した皇宮。
「ずっとこのままがいい。」
「家に帰ったらいくらでも撫でましょう。」
「のった!早く渡して、早く帰ろう!」
そんなこんなで本日何度目かになるバレンタイン説明。
「へぇ!面白いわねぇ!これ、頂いてもいいのかしら?」
初めに身を乗り出したのは皇后様。
「ちょっ!俺が先に食べるんです!」
それに負けじとジルが乗り出す。このくだりもさっき見た。それで漁夫の利よろしくとばかりに陛下がひょいっと口にする。
「「あーーーー!!」」
「うん、美味いな。クレマは毎日美味しいご飯を食べられているようだな。」
「チョコレートはこの際仕方なくくれてやるが、他の手料理は俺のものだ。」
「別に取って食おうとは思っておらん。」
「そうだな、でもそこの小僧はそうは思っていないようだが?」
その言葉でクレマさんVS皇家の第2ラウンドの火蓋が切って落とされた。
「遅れてすみませ…って何してるんですか。」
呆れかえった様子で問うてきたのは、遅れてやって来たバル。
事の経緯と今日の説明を行い、お礼を言いながらチョコを食べ始める。
あ、止めるとかはない感じね。
そんなこんなで楽しいバレンタインを終える。
「ナオ、今日はお疲れ様。感謝を伝えるのは俺の方かもしれない。」
帰りの馬車の中でクレマさんがボソッと呟く。
「ナオが来る前の生活が思い出せないくらいには今のナオとの生活が楽しくて…何もやる気の起きなかった色黒の俺の世界が、ナオが来てから変わったんだ。血のつながりはないかもしれない。でもずっとナオは俺の大切な息子だから。今日のお礼は今度に、楽しみにしておいてくれ。」
そう言って後ろから私の髪にキスを落とす。
甘々な私のお父さん、これからもよろしくね!
*********
お世話になっております、抹茶らてです。
いつも拙作を読んでいただき、お気に入り登録やしおり、感想などいただけてとても嬉しいです。いつもの感謝を込めて、バレンタインは「腐女子の私が美少年⁉」の番外編を書いてみました!
Rのシーンはありませんが、ちょこっとした笑いや癒しを届けられたら嬉しいです(*´ω`*)
思っていたよりも長く、2話に分けることになってしまいましたが…最後までお付き合い頂き、本当にありがとうございました✨
ハッピーバレンタイン(^^♪
抹茶らて
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完結おめでとうございます。
話の内容がとても良かったです。
しかし、完結の仕方が少し微妙に思えました。
でも、ナオくんがとても可愛くて良かったです。
お疲れ様でした。
聖月様
拙作を読んで頂きありがとうございます!頂いた感想、これからの創作に繋げさせて頂きます✨
ナオの可愛さをお届け出来たようで幸いです(*^-^*)
最後までお付き合い頂きありがとうございました!
抹茶らて
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抹茶らて
完結おめでとうございます!!
執筆お疲れ様でした(❁ᴗ͈ˬᴗ͈)”
約3ヶ月間とても楽しませて頂きました。
毎日の生きがいだったので完結とても悲しいです😭
作者様の次回作をまた楽しみに待っております✨
藤芙蓉様
ありがとうございます!
最後まで読んでいただき、楽しみにしていただけていたとは!
そう言っていただけて、とっても嬉しいです( *´艸`)
最後までナオたちにお付き合い頂き本当にありがとうございます!
次の作品でも楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
抹茶らて