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呪いからの解放⑵
しおりを挟む「ナオさん、新入生歓迎会お疲れ様でした。とても美しい魔法ばかりで魅入ってしまいました。」
互いに飲み物を啜って一息ついていたところ、開口一番に出たのは数日前のこと。
「ありがとうございます。なんとか形に出来て良かったです。」
シ――――――ン
会話終了。どうにも会話が続かない。もっと先に繋がる答え方をした方がいいんだろうけど。会話が変な方向に行っても…
「あの…最近私の周りが変だと思いませんか?」
「変ですね。」
あ、即答しちゃった。なんかデジャブだね。
「最近周囲の人たちの好意が前よりもないような気がして…物心ついた時から一定以上の好意を抱かれることが普通だったので、なんだか不安で…ってこんなこと、いきなり言われても困りますよね。」
困りますね。って即答してしまうそうになるのを、喉まで出かかって何とか押し留まる。
「大丈夫ですよ。…あの、子どもの僕が何言ってんだって思われるかもしれませんが、僕たち生徒がシャーライ先生に対して好意を抱いているのは今も変わらないと思いますよ!今までの好意が異常だっただけで、普通に先生として好きですよ!敵意とかの悪意を持って先生と接している生徒はいないと思います。だから、始めは不安かもしれませんが…」
「ナオさんも!ナオさんも私に好意を抱いてくれていますか?」
私の話を遮る様に、勢いよく話しかけて来た先生は何故だか切羽詰まった顔をしている。
少しでも和らげたくて、精一杯の笑顔を浮かべて頷く。
「もちろんですよ!」
すると、心なしか先生の瞳に薄っすらと涙の膜が張っているのが見えた。けど、気のせいってことにしておく。
ぱぁぁぁっと表情が明るくなった先生は…
「今は先生としての好意でも嬉しいですね。でも、これからはそれだけでは満足できないので、覚悟しておいてくださいね。」
意味深な言葉を残してにこやかに笑った。
今まで見た笑顔で一番楽しそうに……
その後見たステータスには『愛されし子(呪い)』の項目が消えていた。
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