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呪いからの解放⑴
しおりを挟む一波乱あった新入生歓迎会も終わり、いつもの日常が戻りつつある今日この頃。
今日も今日とてジルとバル、仲良く三人で行動している。変わったことはないけど…いや、今日は朝からなんだか嫌な視線を感じる。直観なのか何なのか…自分の感覚だけが頼りだからいつも以上に気を張っている。
「――――――だよね、ナオ?」
「…」
「ナオ?…なーお、どうしたんだい?」
「うぇ?あ、ごめん聞いてなかった。」
「それはいいんですが、今日はいつもと違う気がします。何かありましたか?」
ジルもバルも私の様子がおかしいことを察知して、心配してくれている。それだけ見てくれているってことだよね。嬉しいなぁ~
「大丈夫だよ。でも、ちょっと嫌な視線があって気になってるだけだから。」
「嫌な視線?それはいつもの女生徒たちのものではなく?」
「うん、違う気がする。気のせいならそれでいいんだけど…」
その日は何事もなく一日が終わる。
何もないのが一番ではあるけど、嵐の前の静けさの様な気がしてならない。
とはいっても、明日は休日。騎士団に行って任務をする予定だ。
休日の予定を立てていると…
「あぁ、ナオ=デシャンさん。ちょっとお時間頂いてもいいですか?」
シャーライ先生に呼び止められる。断る理由もないし、第一担任の先生の言うことを無視なんて出来ないからね。
「はい、もちろんです。」
そうして先生の後を付いて行った先には準備室。
中へ通されて椅子を引かれ、座ることを促される。その一連の流れは、さながら紳士的なエスコートだ。
っていや、私男の子だから!
それでも流されるがままに席についてしまう私は、単純なんだと思う。
コトッと音を立てて目の前に置かれたマグカップからは甘い匂いが立ち上っている。
「ありがとうございます。」
「ふふ、私がしたくてしていることですから。」
お礼を言うと、満面の笑みでそう返されてしまう。
どうにも最初のシャーライ先生とキャラが変わっている気がするけど、多分呪いが薄れていることと何か関係があるんだろう。
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