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このドキドキは…?

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私達にあたっていたスポットライトが消えたのを合図に、ジルが3本の火柱を上げる。多分私達のことを表してるんだろうけど、アル先輩に若干の対抗心があるように感じるのは私だけかな?

そしてバルがその火柱を一瞬にして氷へ変える。そのまま風魔法で細かく刻まれた氷の破片がキラキラと生徒たちの頭上を舞う。
そこに私は花びらを舞わせる。

生徒、特に女生徒がほぅと一息つく様に魅入っているのが分かる。



そこで、ぶっつけ本番でもなんとかなるもんだなと思ったのは秘密。



そしてジルが空中に大きな魔法陣を描く。その色は金色、光魔法だ。光魔法を癒しとも言われており、前の世界で言う縁起がいいって感じの魔法だ。もちろん治癒魔法にも使われているからそれだけじゃないんだけど…

光魔法を使える生徒はほとんどいない。皇族の特権とも言われている。そのため、この金色の魔法陣を見たことのない生徒、教師は多いだろう。空高く描かれた魔法陣に誰もが釘付けになっているのが見える。



ほんと、最後いいところを持っていくよね。さすが皇族と言うべきか。



巨大な魔法陣を貫く様に上がった光の柱がドーム状に姿を変え、学園全体を覆うのが見える。

「え、これって…」

「結界…?」

「そんな、まだ学生で結界なんて!」

「学園全体を包んだ…のか?」

ドーム状に光っていた結界はやがて空気に溶け込む。それを合図に、溢れんばかりの拍手と歓声が響いた。

「ね?何とかなったでしょ?」

若干のドヤ顔でこちらを見ながらそう言うジルは、小さい頃からの記憶のジルとはかけ離れていた。





ドヤ顔はちょっとだけムッとなったけど、ジルってこんなにカッコよかったっけ…



「うん…」

何故かドキドキしたのは、多分ジルの成長を目のあたりにしたからだ。私の中のジルはあのお茶会のときから止まっていた気がする。


ジルの背中はクレマさんと比べるとまだまだだけど…こんなに広かったっけって、考えざるを得ないほど逞しいものになっていた。

「私も負けてられないな…」

ジルがこの国を導くのなら、騎士団に所属している私はジルを守り抜く立場だ。もちろんそれだけじゃなくて、ジルは大事な幼馴染だけど…

私も大切な人たちに背中を安心して預けて貰えるようにならないと。






素直さからか、見当違いな方へ思考が進んでいくナオを止められる人はいなかった。





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