【完結】腐女子の私が美少年⁉

やっぱり私のヒーローは…

ブレスレットが光ったと思ったら、目の前には大好きな大きな背中が…

「ナオ、もう大丈夫だ。」

そう言いながら抱きしめてくれるクレマさんの体温に安心する。

「ナオ！大丈夫！？」

「ナオ、無事ですか！？」

そこで、生徒会室の扉を蹴破ってジルとバルが入って来る。クレマさんいなかったら手遅れでした。

「く、れまさっ」

「しんどいなら無理に話さなくていい。今は休んでおきなさい。」

クレマさんはそう言うと私の目元に手を当てる。そのまま私は夢へと誘われる。







「クレマ＝デシャン、これはどういう状況ですか。」

一度教室へ戻ったはいいがやはりナオが心配で引き換えして来たジル。急いで蹴破った扉の向こう側にはいるはずのない騎士団長の姿が。そして、その延長線上には壁に激突したかと思われる生徒会長らしき屍が。いた、心ではないだろうが、ウンともスンとも動かない。

状況整理をするため、わが国の生きる伝説とも言われる騎士団長へ問うたのだ。

「どういう、って…こういう？ナオの危険に駆けつけたまでのこと。尻の青いガキにはまだまだ任せられそうにないんでね。」

いちいち癪に障る物言いをする男だと、ジルは思う。
だが、眼中に入っても居ないバルはさらに悔しいだろう。

「そう、ですか。大体の経緯は見当が付きます。映像魔法具を用いて、生徒会長を除籍させましょう。それで、ナオをどうなさるおつもりで？」

バルはそんなこと気にも留めない態度で、堂々とクレマに啖呵を切る。

「どう、って…俺たちは親子だ。今から家に帰るつもりだが、それも皇子殿下と次期宰相様の許しが必要で？」

だから、どうしてこういちいち腹立つ言い方が出来るのか、反対に感心するほどだ。

「いや、それはすまなかった。怖い思いをしただろう。私の護衛のことは忘れてゆっくり休ませてあげてくれ。」

「フッ、言われなくても。」

そう言うや否や、ナオを横抱きに抱えていた彼の身体は一瞬にして消えた。

こうも簡単に瞬間移動を使えてしまうのは、さすがと言うべきか。性格に難ありだが、あの男がいてくれる限りこの国の未来は明るいだろう。

「って、そうじゃない。バル今すぐこの元生徒会長を拘束し、牢へ。」

「はっ。」

この国の未来を彷彿とさせる、未来の皇帝とその臣下はは自分達の大切な子に手を出されたため、今使えうる最大限の力を使って元生徒会長を追い込むのだった。






新入生歓迎会前に一波乱あり、結局練習をする時間のないまま本番を迎える羽目になるとは、この時誰の頭にもなかった。