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結構、効いたなぁ⑵
しおりを挟む「うるさい、うるさいうるさいうるさい!!!何よ!騎士団に所属してるからって、どうしてそんなに偉そうなのよ!あんたなんて、どうせその顔だけじゃない!だから、その無駄にキレイな顔を見れないようにしてやろうとしたのに!!」
「ッ!?」
誰かが、エリちゃんの物言いに息を呑む。
うん、そうかもしれない。この綺麗な顔に惹かれている人は少なからずいると思う。でも、騎士団の皆がそうとは思いたくないし、皆を信じたい。
「ウーゴ、俺はもう我慢できない。おい、娘。これ以上ナオのことを侮辱するようなら、一生口をきけないようにしてやろう。」
いつも間にか来ていたクレマさんがエリちゃんと私の間に入る。
「クレマさん、大丈夫。僕の為に怒ってくれてありがとう。……多分僕が何を言っても意味がない、かな。ウーゴさん、僕怒ってはないけど本人が謝る気がないのに謝罪を受け入れることは出来ない。わざわざ、来てくれたのにごめんなさい。」
「ナオ君、すまない。本当にすまない……もう目の前には絶対に連れてこないから。」
ひたすらに謝り倒すウーゴさんに、どうしていいか分からずオロオロしてしまう。
「ウーゴ、もういい。ナオも言っているようにお前が悪い訳ではないだろう。子どもと言っても、もう12歳だ。親が出るところでもないだろう。ナオが困っているからそろそろ顔をあげてやれ。」
「はっ、団長。」
見かねたクレマさんがウーゴさんに声を掛けてくれる。
ようやく顔を上げたウーゴさんは悲しそうな目をしていて、それは私に向けたものなのか、エリちゃんに向けたものなのか。私には知る由もなかった。
「エリちゃん、もう僕の声を聞くのは嫌だと思うけどちょっとだけ…ウーゴさんは君のことを思ってここまでしてくれているんだよ。悪いことをしたら謝ることは、大人になるにつれて難しくなる。それでも、ウーゴさんは君が悪いことをしたら一緒に謝ってくれてる。プライドも、尊厳も、なんと思われようと気にもせずに。その意味を君は自分で知る必要がある。」
ウーゴさんは、私の言葉を聞いてまだ反論しようとしたエリちゃんの口を覆って連れて行ってしまった。
エリちゃん、君は知らないだろう。言葉がどれだけ人を傷つけるか…人にケガをさせるときの恐怖を…
いつか気づけるといいねぇ、ウーゴさんの親心も言葉の凶暴さも。
「クレマさん、僕ちょっと休憩してくるね。」
そう一言だけ残してその場を去る。
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