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シャーライサイド⑴
しおりを挟む私は物心ついてからずっと周りの人にちやほやされて来た。それは異常と言えるほど。初対面では間違いなく好意を向けられる。それはずっとだったから、それが普通なんだと信じて疑わなかった。でも、違ったんだ。それに気づいたのは、本当にごく最近。
ナオ=デシャン。
この国の生きる伝説、騎士団長のクレマ=デシャンを父に持ち、当人も幼いながらに騎士団に所属している。魔法、体術、頭脳、どこをとってもトップクラス。そしてその見目麗しい美貌は老若男女すべてを魅了する。
私も一目見たとき、目が離せなかった。キラキラ光る銀髪は真っ白な穢れ知らずの肌に映えており、その銀色に縁どられた瞳はアメジストの様な輝きを放ち、意志の強さを感じる。繊細で、儚げで、今にも消え入りそうなほど危うい存在。反対に、敵知らずの実力を持っている、色んな意味で興味が引かれる生徒だった。
いろんな人に好かれるのは私の体質的なものだから、この子も私に好意を示してくれるだろうと信じて疑わなかった。でも、それは私のおごりに過ぎなかった。
『キレイな顔した担任の先生ですかね?』
そう言われたとき、頭をガツンと殴られたような衝撃を受けた。あくまで私の見た目を言っていて、私自身に興味がある訳ではなさそう。その時は、私に興味がない人が珍しく、強く興味が引かれた。ただそれだけだったのに…
騎士団の人たちが来ていると聞いて、授業終わりに生徒を教室へ誘導するふりをして訓練場へ行く。そこには、周囲に花が咲く様にふんわりと笑う君がいた。いつも私に見せてくれる遠慮気味な笑顔とは違う、華やかな笑顔は儚さに拍車がかかっていて、繋ぎとめておかないといつか消えてしまいそうな雰囲気があった。
私にはその笑顔を見せてくれないのですか?どうして君は私に好意を持ってくれないのでしょうか…どうして君には私の体質が効かないのでしょうか…
どうして…
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