13 / 31
12.夜間飛行
しおりを挟む
誰もいない美術室で、暁はスケッチブックを確認していた。
「うーん…」
夏休みに入ってから描いてみたいくつかのデッサンを見比べ、暁はうなった。
色やイメージを膨らませるには、何かが欠けている。
暁はため息をついて頭を振った。
違う、欠けているのではない、自分が掴みきれていないのだ。
もっと観察と描き込みが必要だと思ったところで、美術室のドアががらりと開いた。
「よう。」
もさもさ頭の中年男が入ってくる。
「あ、おはよーございます。」
暁は慌ててスケッチブックを閉じた。
「進んでるか?」
「んー、あんまり。描きたいものはあるんだけど、なんか…。」
「今日は一人か?」
「ん、まあ…。」
雨の日以来、坂下は美術室に来ない。
単なる風邪ではなかったのだろうか。
暁は坂下の様子を思い浮かべる。
「あいつとよく連絡取ったりするのか?」
「坂下のことっすか?」
美術教師の目的が、単なる世間話ではないことに暁は感づいた。
「あいつ、何か?」
「いや、さっき親御さんが来てな、どうもここ何日か家に帰ってないらしい。」
「え?」
「いやな、たかが高校男児が数日居所が分からなくたって、あんな大騒ぎすることないと思うんだがな、女の子ならいざ知らず。」
「もしかして、母親と兄貴が騒いでたんすか?」
暁はいつかの薮内の話を思い出す。
「なんだ、職員室覗いてたのか?ったく、あれがいわゆるモンスターペアレントってやつかって思ったぞ。あ、兄貴もいたからモンスターファミリーになるのか。遠くで見ている分には面白かったがな、加藤先生も苦りきった顔してたぞ、ははは。」
クラス担任の加藤にしてみれば、とんだ災難だろう。
「まあ、笑い事ではないな。あいつ、お前と何回かここに来ていただろう。なんか変わった様子なかったか?」
抑揚のない声、虚ろな瞳。
なのに、物憂げな雰囲気と腫れぼったい顔は、何故か艶っぽく見えた。
変わった様子どころか、何もかもが変だった。
『家には帰らない。』
駄々っ子のように言い張った姿を思い出す。
「特にないですけど……家で何かあったんじゃないんですか?」
暁は用心しながら言葉を選んだ。
「まあな、普通はそう思うだろ。加藤先生もそう言ったんだが、向こうは逆切れしちまってな。 家出する前の晩は本人の誕生日で、ケーキを囲んで楽しく一家団欒していたって言うんだよ。こうなったのも学校の管理不行き届きだ、訴えるって騒いでな。いやはや、恐ろしい兄貴だ。」
坂下の家族像に、暁はなんともいえない違和感を覚えた。
いかにも億劫といった様子で弁当をつつく坂下を見る限り、家族で楽しくバースデーを祝う姿など想像できなかった。
「あいつの兄貴ってどういう人なんすか?」
美術教師の口ぶりからも、相当常軌を逸しているような印象を感じ取り、暁は尋ねてみた。
「鬼みたいな形相だったぞ。口から泡飛ばしまくってた。まあ、黙ってれば女が大騒ぎしそうな、今時のイケメンだけどな、背も高いし。K大医学部のエリートらしいけど、高校の教師なんぞ見下していることを隠そうともせんし、感じ悪いのなんの。とにかく一番関わりたくないタイプだ。」
「ふーん……。」
家族のことについて、坂下の口から一度も聞いたことがなかったことに、遅まきながら暁は気付いた。
もっとも暁自身も、妹のことを軽く話した以外は、あまり触れられたくない話題だった。
「とにかく、俺は心当たりないっす。」
「そうか。」
美術教師は、それ以上坂下のことを訊ねてはこなかった。
結局坂下のことが気になって暁は仕事が手につかず、バイト先で何度も注意を受けた。
「大丈夫?調子悪いの?」
同じシフトのバイト仲間に声をかけられる。
「いや、なんでもないです。すみません。」
「ならいいけど。」
暁はふと思い立ち、聞き返した。
「あの、由美さんって家出したことありますか?」
「ええ?なに、いきなり。もしかして妹さん、家出しちゃったの?」
「いや、違いますけど。みんなそういう時どこいくのかなって。」
「普通、友達の家じゃない?」
「そうっすよね。」
坂下に、泊めてくれるような友人がいるとは思えなかった。
「あ、そう言えばこの前チケットありがとうございました。」
「ああ、どうだった、デート?退屈しなくて良かったでしょ?」
「うん、広いですね、何でもあるし。時間なくて全部回りきれなかった。」
実際には、アミューズメントパークのにぎやかな雰囲気が坂下には合わなかったが、好意はありがたかった。
「あたしの彼、あそこでバイトしてるの。割引券、またもらってきてあげるよ。」
暁はふと閃いた。
「そういえばあそこ、24時間営業でしたっけ?」
「ああ、そうかもね。」
いくら金を持っていても、明らかに未成年の坂下がホテルにでも連泊しようものなら、不審を招くのがオチだ。
だが、あのような場所なら坂下もさほどは目立たないだろう。
一度足を踏み入れたことのある場所ならば、なおのこと坂下がいる可能性は高い。
バイトが終わるや否や、暁はアミューズメントパークへと急行した。
深夜だと言うのに人は多い。
「ねえねえ、一人?」
ゲームセンターにたむろしていた派手な化粧をした女の子たちが、暁をナンパする。
インターネットカフェの一角には、くたびれた感じの年配者も少なからずいた。
坂下は拍子抜けするほどあっさり見つかった。
「お前でもそういうの読むんだな、意外。」
暁はオープンスペースで漫画を読み耽る坂下の隣に腰を下ろした。
坂下が目を丸くする。
「あれから家に帰ってないんだってな。」
暁の問いに、坂下は困ったような顔をして頷いた。
「ずっとここで寝泊りしていたのか?」
「……夜はね。シャワー浴びたり。することないから、漫画読んでた。あっちの端からはじめて、この棚の3段目まで来た。」
「どれが面白かった?」
「さあ。」
沈黙が続く。
暁が聞かない限り、坂下は自分から話す気はなさそうだった。
「ちゃんと寝てるのか?」
「うん、昼間は公園の芝生の上とか。図書館のソファも冷房効いてて、よく眠れる。教室より快適かも。」
少なくとも顔色は悪くない。
それ以上会話は続かず、坂下は漫画本のページをパラパラ漫画のようにめくって弄んでいる。
「そう言えば、妹が参考書ありがとうって。」
暁は当たり障りのなさそうな話題を振った。
「ああ、あんな使い古しでよかったのかな?」
「下手な塾行くよりよっぽどいいって喜んでた。」
「そう。妹って暁に似てる?」
「全然。物分りいいし、すげえ頭もいいんだぜ……って、お前ほどじゃないけど。」
「別に、俺は……。」
ふと暁は思いついた疑問を口にした。
「お前、なんでうちのガッコ来たわけ?お前だったらもっと上のランク、行けたんじゃない? 付属とか坊斐津高の特進とか。」
坂下の顔が引き攣ったが、一瞬のことで暁は気付かなかった。
「受けたよ、坊特。白紙で答案出した。」
「なんで?」
坂下が目を逸らす。
「兄貴と同じ道を進みたくなかった。」
坂下の表情は強張り、暁はそれ以上何も聞く事が出来なかった。
一時の親密さは、今や影を潜めていた。
「……まだしばらく帰らないつもりか?」
結局沈黙に耐え切れず口を開いたのは、やはり暁だった。
坂下が家に帰るかどうかなど、本当はどうでも良いことだった。
暁が聞きたいのはそんなことではなかった。
知りたいのは、坂下が背負っているもの、坂下の瞳に暗い影を落としているものの正体だった。
「帰るよ。準備も整ったし。」
「準備?」
坂下はゆっくりと頷く。
「そうだ、これ。」
坂下はバッグから一通の封筒を取り出した。
「預かっててくれる?失くすといけないから。」
淡い水色の封筒には『河本クリニック』と印刷されており、封には割印が押してある。
暁は、坂下をタクシーで病院まで連れて行ったときのことを思い出した。
繁華街の外れにあるビルに、あまり目立たない看板が出ていた。
結局タクシーを降りたところで別れたが、あの時の体調と家出に関連があるのだろうか。
「折ったらまずい?」
「かまわないよ。」
暁は封筒を丁寧にたたみ、ポケットへと仕舞った。
中身は何かと問いただしたら、坂下が遠くへ行ってしまいそうな気がした。
坂下は朝を待ってから帰ると言い、暁を見送りに一緒に店の外へ出た。
信号は既に点滅しており、車の往来も途絶えていた。
昼間とは違うざわめきが、眠りに着いたはずの街を揺らしていた。
街路樹がバサバサと音を立てる。
「風が強くなってきたね。」
空気が湿っていた。
「台風が近づいてるらしいけど。」
風の音を聞きながら、暁は胸騒ぎを覚えた。
坂下の肩に触れたとき、坂下が振り向いた。
「ね、俺のこと、好き?」
暗い街灯の下で、表情は良く見えない。
「ああ。」
友達としてではない。
暁がそう言おうとした時だった。
坂下はほとんど聞き取れないような、ささやくような声で言葉を発した。
「俺、俺のこと、もし……抱い……言ったら?」
風が吹きつけ、坂下の声を遮る。
「ああ?ごめん、よく聞こえな…」
「またね。」
坂下は踵を返し、走り出した。
暁は追いかけなかった。
ポケットに仕舞った封筒にそっと手をやる。
生温かい風が、木々を、そして暁の心をざわめかせながら吹き抜けていった。
「うーん…」
夏休みに入ってから描いてみたいくつかのデッサンを見比べ、暁はうなった。
色やイメージを膨らませるには、何かが欠けている。
暁はため息をついて頭を振った。
違う、欠けているのではない、自分が掴みきれていないのだ。
もっと観察と描き込みが必要だと思ったところで、美術室のドアががらりと開いた。
「よう。」
もさもさ頭の中年男が入ってくる。
「あ、おはよーございます。」
暁は慌ててスケッチブックを閉じた。
「進んでるか?」
「んー、あんまり。描きたいものはあるんだけど、なんか…。」
「今日は一人か?」
「ん、まあ…。」
雨の日以来、坂下は美術室に来ない。
単なる風邪ではなかったのだろうか。
暁は坂下の様子を思い浮かべる。
「あいつとよく連絡取ったりするのか?」
「坂下のことっすか?」
美術教師の目的が、単なる世間話ではないことに暁は感づいた。
「あいつ、何か?」
「いや、さっき親御さんが来てな、どうもここ何日か家に帰ってないらしい。」
「え?」
「いやな、たかが高校男児が数日居所が分からなくたって、あんな大騒ぎすることないと思うんだがな、女の子ならいざ知らず。」
「もしかして、母親と兄貴が騒いでたんすか?」
暁はいつかの薮内の話を思い出す。
「なんだ、職員室覗いてたのか?ったく、あれがいわゆるモンスターペアレントってやつかって思ったぞ。あ、兄貴もいたからモンスターファミリーになるのか。遠くで見ている分には面白かったがな、加藤先生も苦りきった顔してたぞ、ははは。」
クラス担任の加藤にしてみれば、とんだ災難だろう。
「まあ、笑い事ではないな。あいつ、お前と何回かここに来ていただろう。なんか変わった様子なかったか?」
抑揚のない声、虚ろな瞳。
なのに、物憂げな雰囲気と腫れぼったい顔は、何故か艶っぽく見えた。
変わった様子どころか、何もかもが変だった。
『家には帰らない。』
駄々っ子のように言い張った姿を思い出す。
「特にないですけど……家で何かあったんじゃないんですか?」
暁は用心しながら言葉を選んだ。
「まあな、普通はそう思うだろ。加藤先生もそう言ったんだが、向こうは逆切れしちまってな。 家出する前の晩は本人の誕生日で、ケーキを囲んで楽しく一家団欒していたって言うんだよ。こうなったのも学校の管理不行き届きだ、訴えるって騒いでな。いやはや、恐ろしい兄貴だ。」
坂下の家族像に、暁はなんともいえない違和感を覚えた。
いかにも億劫といった様子で弁当をつつく坂下を見る限り、家族で楽しくバースデーを祝う姿など想像できなかった。
「あいつの兄貴ってどういう人なんすか?」
美術教師の口ぶりからも、相当常軌を逸しているような印象を感じ取り、暁は尋ねてみた。
「鬼みたいな形相だったぞ。口から泡飛ばしまくってた。まあ、黙ってれば女が大騒ぎしそうな、今時のイケメンだけどな、背も高いし。K大医学部のエリートらしいけど、高校の教師なんぞ見下していることを隠そうともせんし、感じ悪いのなんの。とにかく一番関わりたくないタイプだ。」
「ふーん……。」
家族のことについて、坂下の口から一度も聞いたことがなかったことに、遅まきながら暁は気付いた。
もっとも暁自身も、妹のことを軽く話した以外は、あまり触れられたくない話題だった。
「とにかく、俺は心当たりないっす。」
「そうか。」
美術教師は、それ以上坂下のことを訊ねてはこなかった。
結局坂下のことが気になって暁は仕事が手につかず、バイト先で何度も注意を受けた。
「大丈夫?調子悪いの?」
同じシフトのバイト仲間に声をかけられる。
「いや、なんでもないです。すみません。」
「ならいいけど。」
暁はふと思い立ち、聞き返した。
「あの、由美さんって家出したことありますか?」
「ええ?なに、いきなり。もしかして妹さん、家出しちゃったの?」
「いや、違いますけど。みんなそういう時どこいくのかなって。」
「普通、友達の家じゃない?」
「そうっすよね。」
坂下に、泊めてくれるような友人がいるとは思えなかった。
「あ、そう言えばこの前チケットありがとうございました。」
「ああ、どうだった、デート?退屈しなくて良かったでしょ?」
「うん、広いですね、何でもあるし。時間なくて全部回りきれなかった。」
実際には、アミューズメントパークのにぎやかな雰囲気が坂下には合わなかったが、好意はありがたかった。
「あたしの彼、あそこでバイトしてるの。割引券、またもらってきてあげるよ。」
暁はふと閃いた。
「そういえばあそこ、24時間営業でしたっけ?」
「ああ、そうかもね。」
いくら金を持っていても、明らかに未成年の坂下がホテルにでも連泊しようものなら、不審を招くのがオチだ。
だが、あのような場所なら坂下もさほどは目立たないだろう。
一度足を踏み入れたことのある場所ならば、なおのこと坂下がいる可能性は高い。
バイトが終わるや否や、暁はアミューズメントパークへと急行した。
深夜だと言うのに人は多い。
「ねえねえ、一人?」
ゲームセンターにたむろしていた派手な化粧をした女の子たちが、暁をナンパする。
インターネットカフェの一角には、くたびれた感じの年配者も少なからずいた。
坂下は拍子抜けするほどあっさり見つかった。
「お前でもそういうの読むんだな、意外。」
暁はオープンスペースで漫画を読み耽る坂下の隣に腰を下ろした。
坂下が目を丸くする。
「あれから家に帰ってないんだってな。」
暁の問いに、坂下は困ったような顔をして頷いた。
「ずっとここで寝泊りしていたのか?」
「……夜はね。シャワー浴びたり。することないから、漫画読んでた。あっちの端からはじめて、この棚の3段目まで来た。」
「どれが面白かった?」
「さあ。」
沈黙が続く。
暁が聞かない限り、坂下は自分から話す気はなさそうだった。
「ちゃんと寝てるのか?」
「うん、昼間は公園の芝生の上とか。図書館のソファも冷房効いてて、よく眠れる。教室より快適かも。」
少なくとも顔色は悪くない。
それ以上会話は続かず、坂下は漫画本のページをパラパラ漫画のようにめくって弄んでいる。
「そう言えば、妹が参考書ありがとうって。」
暁は当たり障りのなさそうな話題を振った。
「ああ、あんな使い古しでよかったのかな?」
「下手な塾行くよりよっぽどいいって喜んでた。」
「そう。妹って暁に似てる?」
「全然。物分りいいし、すげえ頭もいいんだぜ……って、お前ほどじゃないけど。」
「別に、俺は……。」
ふと暁は思いついた疑問を口にした。
「お前、なんでうちのガッコ来たわけ?お前だったらもっと上のランク、行けたんじゃない? 付属とか坊斐津高の特進とか。」
坂下の顔が引き攣ったが、一瞬のことで暁は気付かなかった。
「受けたよ、坊特。白紙で答案出した。」
「なんで?」
坂下が目を逸らす。
「兄貴と同じ道を進みたくなかった。」
坂下の表情は強張り、暁はそれ以上何も聞く事が出来なかった。
一時の親密さは、今や影を潜めていた。
「……まだしばらく帰らないつもりか?」
結局沈黙に耐え切れず口を開いたのは、やはり暁だった。
坂下が家に帰るかどうかなど、本当はどうでも良いことだった。
暁が聞きたいのはそんなことではなかった。
知りたいのは、坂下が背負っているもの、坂下の瞳に暗い影を落としているものの正体だった。
「帰るよ。準備も整ったし。」
「準備?」
坂下はゆっくりと頷く。
「そうだ、これ。」
坂下はバッグから一通の封筒を取り出した。
「預かっててくれる?失くすといけないから。」
淡い水色の封筒には『河本クリニック』と印刷されており、封には割印が押してある。
暁は、坂下をタクシーで病院まで連れて行ったときのことを思い出した。
繁華街の外れにあるビルに、あまり目立たない看板が出ていた。
結局タクシーを降りたところで別れたが、あの時の体調と家出に関連があるのだろうか。
「折ったらまずい?」
「かまわないよ。」
暁は封筒を丁寧にたたみ、ポケットへと仕舞った。
中身は何かと問いただしたら、坂下が遠くへ行ってしまいそうな気がした。
坂下は朝を待ってから帰ると言い、暁を見送りに一緒に店の外へ出た。
信号は既に点滅しており、車の往来も途絶えていた。
昼間とは違うざわめきが、眠りに着いたはずの街を揺らしていた。
街路樹がバサバサと音を立てる。
「風が強くなってきたね。」
空気が湿っていた。
「台風が近づいてるらしいけど。」
風の音を聞きながら、暁は胸騒ぎを覚えた。
坂下の肩に触れたとき、坂下が振り向いた。
「ね、俺のこと、好き?」
暗い街灯の下で、表情は良く見えない。
「ああ。」
友達としてではない。
暁がそう言おうとした時だった。
坂下はほとんど聞き取れないような、ささやくような声で言葉を発した。
「俺、俺のこと、もし……抱い……言ったら?」
風が吹きつけ、坂下の声を遮る。
「ああ?ごめん、よく聞こえな…」
「またね。」
坂下は踵を返し、走り出した。
暁は追いかけなかった。
ポケットに仕舞った封筒にそっと手をやる。
生温かい風が、木々を、そして暁の心をざわめかせながら吹き抜けていった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
思い出して欲しい二人
春色悠
BL
喫茶店でアルバイトをしている鷹木翠(たかぎ みどり)。ある日、喫茶店に初恋の人、白河朱鳥(しらかわ あすか)が女性を伴って入ってきた。しかも朱鳥は翠の事を覚えていない様で、幼い頃の約束をずっと覚えていた翠はショックを受ける。
そして恋心を忘れようと努力するが、昔と変わったのに変わっていない朱鳥に寧ろ、どんどん惚れてしまう。
一方朱鳥は、バッチリと翠の事を覚えていた。まさか取引先との昼食を食べに行った先で、再会すると思わず、緩む頬を引き締めて翠にかっこいい所を見せようと頑張ったが、翠は朱鳥の事を覚えていない様。それでも全く愛が冷めず、今度は本当に結婚するために翠を落としにかかる。
そんな二人の、もだもだ、じれったい、さっさとくっつけ!と、言いたくなるようなラブロマンス。

代わりでいいから
氷魚彰人
BL
親に裏切られ、一人で生きていこうと決めた青年『護』の隣に引っ越してきたのは強面のおっさん『岩間』だった。
不定期に岩間に晩御飯を誘われるようになり、何時からかそれが護の楽しみとなっていくが……。
ハピエンですがちょっと暗い内容ですので、苦手な方、コメディ系の明るいお話しをお求めの方はお気を付け下さいませ。
他サイトに投稿した「隣のお節介」をタイトルを変え、手直ししたものになります。

目標、それは
mahiro
BL
画面には、大好きな彼が今日も輝いている。それだけで幸せな気分になれるものだ。
今日も今日とて彼が歌っている曲を聴きながら大学に向かえば、友人から彼のライブがあるから一緒に行かないかと誘われ……?
ハンターがマッサージ?で堕とされちゃう話
あずき
BL
【登場人物】ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
ハンター ライト(17)
???? アル(20)
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
後半のキャラ崩壊は許してください;;

鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。
【完結】相談する相手を、間違えました
ryon*
BL
長い間片想いしていた幼なじみの結婚を知らされ、30歳の誕生日前日に失恋した大晴。
自棄になり訪れた結婚相談所で、高校時代の同級生にして学内のカースト最上位に君臨していた男、早乙女 遼河と再会して・・・
***
執着系美形攻めに、あっさりカラダから堕とされる自称平凡地味陰キャ受けを書きたかった。
ただ、それだけです。
***
他サイトにも、掲載しています。
てんぱる1様の、フリー素材を表紙にお借りしています。
***
エブリスタで2022/5/6~5/11、BLトレンドランキング1位を獲得しました。
ありがとうございました。
***
閲覧への感謝の気持ちをこめて、5/8 遼河視点のSSを追加しました。
ちょっと闇深い感じですが、楽しんで頂けたら幸いです(*´ω`*)
***
2022/5/14 エブリスタで保存したデータが飛ぶという不具合が出ているみたいで、ちょっとこわいのであちらに置いていたSSを念のためこちらにも転載しておきます。
消えない思い
樹木緑
BL
オメガバース:僕には忘れられない夏がある。彼が好きだった。ただ、ただ、彼が好きだった。
高校3年生 矢野浩二 α
高校3年生 佐々木裕也 α
高校1年生 赤城要 Ω
赤城要は運命の番である両親に憧れ、両親が出会った高校に入学します。
自分も両親の様に運命の番が欲しいと思っています。
そして高校の入学式で出会った矢野浩二に、淡い感情を抱き始めるようになります。
でもあるきっかけを基に、佐々木裕也と出会います。
彼こそが要の探し続けた運命の番だったのです。
そして3人の運命が絡み合って、それぞれが、それぞれの選択をしていくと言うお話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる