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19.王国の危機【一方、ドラゴニア王国では】
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フェイが男爵領でコボルドたちと対話してから三日。
フェイが約束した通り魔法石の採掘が中断されると、魔物たちはどんどん魔界へと引き上げていった。
それを確認したフェイは、魔界へ繋がる扉まで行き魔術で扉を閉める。
これでしばらくは魔物たちは現れないはずだ。
「フェイ様。本当に、ありがとうございます。あなた様がいなければ、今頃村は滅んでいたことでしょう」
男爵は、頭が地面と平行になるほどに頭を下げた。
自分より年上の貴族の男が頭を下げてくることにフェイは恐縮する。
「いえいえ、お役に立てたならばよかったです」
「……現状、宮廷からの徴税が厳しく、我が領土には富らしいものが何も残っておりません。一体どうやって、ご恩をお返ししたら良いものか……」
「お返しなんていりませんよ。別に大した手間はかかってないですから」
「しかし……。せめて土地か騎士の称号など……」
と、男爵は何としてもお礼をしなければと考えあぐねていた。
そこで、フェイは半分助け船のつもりで、こんなことを言う。
「もし許してくださるのであれば、私たちの村と交易をしてくださると助かります」
「そんなことで良いのですか?」
「今も近くの街で取引をしていますが、城壁があるので私がわざわざそれを残り超えてやっている状態です。もし男爵の領土と取引をできれば、商圏が広がります」
「お安いご用です。王国も流石に商権までは奪えません」
「助かります」
†
――フェイが、魔界への扉を閉じていた頃。
王都では、とんでもないことが起きていた。
「じょじょじょ女王様!!!!!!!」
大臣が玉座の間に現れる。
フェイが宮廷からいなくなってからというもの、臣下たちが慌てふためいて現れるのは、女王にとってもはや日常になっていたが、今日の大臣の慌てぶりは今までのそれとは比べ物にならなかった。
「どうしたと言うのですか」
「王都の城壁の中に、突然魔界への扉が開いたのです!!」
「な、なんですって!? 城壁の中に!?」
さすがの女王も驚きを隠せなかった。
「まだ規模が小さいのですが、それでも近衛兵たちが総出でなんとか抑え込んでいる状態です。このまま扉が大きくなれば、たちまち王国は滅びます!」
「りゅ、竜騎兵(ドラグーン)たちをすぐに出しなさい!」
女王は、精鋭部隊の出動を指示する。
しかし、大臣は首を振る。
「ドラゴンたちと会話が通じないのをお忘れですか!?」
「そ、そんな!」
女王の顔面が蒼白になる――――
「ど、どうしたら良いのですか!!!」
「王女様、こうなったらフェイ殿とをお呼びするしかありません!」
大臣の言葉に、女王はうなづく。
「そうだ、あの無能をいますぐ呼びなさい! 責任を取らせるのです!!」
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