クラス「無職」になってしまい公爵家を追放された俺だが、実は殴っただけでスキルを獲得できることがわかり、大陸一の英雄に上り詰める。

アメカワ・リーチ

文字の大きさ
29 / 51

29.公爵の暗躍

しおりを挟む


「リートがドラゴンと契約しただと!!」

 自宅に帰宅し、事の顛末を報告したカイトだったが、待っていたのは父の激昂だった。

「申し訳ありません……」

 ビクつきながら謝るカイト。

「ええい……無能が。私は一度で選ばれたというのに……」

「本当に申し訳ありません……」

「……しかし、リートのことだ、どうせ大した事ないドラゴンに選ばれたんだろう。逆に言えばお前にはあの“青の卵”に選ばれる可能性も残っていると言うわけだ」

「……“青の卵”というと、もしかして700年生まれなかったという……?」

 カイトが聞き返すと、父はハッとして聞き返す。

「まさかとは思うが……あやつが“青の卵”に選ばれたのか?」

「あの……父上……恐れながら」

 自分さえ契約できなかった伝説の竜に、勘当した息子が選ばれたと知って、ウェルズリー公爵はさらに憤った。
 拳を壁に叩きつけて怒りを露わにする。

「おのれ……!!」

 もはやカイトは謝ることさえできなかった。

「……ええい。もういい。……大丈夫、問題ない……」

 公爵は自分に言い聞かせるように言った。

「安心しろ、我々には東方騎士団長という後ろ盾がある」

 それが公爵の強みだった。

 現在の東方騎士団長は、ウェルズリー公爵の後任で、ほとんど子分のような存在だった。
 公爵が騎士団長に頼めば、大抵のことはなんとかなるのだ。

「とにかく無理やりにでも第七位階まで出世させてやる」

 そう言って、公爵は壁にかけてあったマジックミラーの前に立った。
 遠距離で会話をするためのアイテムである。高価なものだが、公爵の財力を持ってすれば簡単に入手できる。 

「――東方騎士団の団長室に繋げ!」

 公爵が鏡に命令すると、少ししてから鏡に中年男性が写る。
 現職の東方騎士団長だ。

「ウェルズリー公爵! お元気ですか」

「――ああ。今日はお前に頼みごとがある」

「なんでもお申し付けください」

 とても騎士の頂点にまで上り詰めた男とは思えない腰の低さ。
 騎士団長が、ウェルズリー公爵に大きな恩があるという事を如実に表していた。

「うちのカイトを第七位階まで出世させて欲しいのだ。できるか?」

 聞くと、団長は「もちろんでございます」と頷く。

「さすが心強いな」

「タイミングがよかったです。実はカミラ王女から、アーガイル公爵のご子息を出世させてやって欲しいという依頼を受けていたんです。そのために、東方騎士団で“エース選抜”を行う予定でした。優秀な若者を早くから幹部候補として育てるための臨時昇進試験、という建てつけです。もちろんアーガイルのための試験でしたが、そこにカイト君もねじこめます」

「すばらしいな。これで今年の小隊長試験も受けられる」

 小隊長は、第六位階(シックス)の者が務める役職だ。
 受験するには、当然ながら第七位階の地位が必要だ。

 ウェルズリー公爵は一安心の表情を浮かべる。

「それと……もう一つお願いがある。こっちはちょっと“黒い”んだが」

「なんなりと」

「痛めつけて欲しい男がいるのだ」

「それはどなたですか?」

 騎士団長の問いかけに、ウェルズリー公爵は冷徹な言葉で答える。

「――リートだ」

 その言葉を聞いて、さすがの騎士団長も動揺した。

「……ご子息を……?」

 だが、公爵は冷たく言い返す。

「あいつはもう息子ではない。それどころか一族の恥さらしだ。目障りだ。手足の一本でも切り落として二度と剣を握れないようにしてくれ。最悪……殺しても構わん」

 これまで公爵の命令で汚い仕事を多くしてきた東方騎士団長だったが、さすがに実の息子を半殺しにしろという命令には一瞬ためらった。

 だが、公爵の目を見て、彼が本気だと知ると、頷くしかなかった。
 
「……ちょうどいい話がいます。ご子息を死ぬほど恨んでいる男がいるのです。彼はご子息に復讐するためなら“狂化”しても構わないと……」

 その話を聞くと、公爵は「よし」と頷いた。

「頼んだぞ、団長」

「――承知致しました」
しおりを挟む
感想 9

あなたにおすすめの小説

お荷物認定を受けてSSS級PTを追放されました。でも実は俺がいたからSSS級になれていたようです。

幌須 慶治
ファンタジー
S級冒険者PT『疾風の英雄』 電光石火の攻撃で凶悪なモンスターを次々討伐して瞬く間に最上級ランクまで上がった冒険者の夢を体現するPTである。 龍狩りの一閃ゲラートを筆頭に極炎のバーバラ、岩盤砕きガイル、地竜射抜くローラの4人の圧倒的な火力を以って凶悪モンスターを次々と打ち倒していく姿は冒険者どころか庶民の憧れを一身に集めていた。 そんな中で俺、ロイドはただの盾持ち兼荷物運びとして見られている。 盾持ちなのだからと他の4人が動く前に現地で相手の注意を引き、模擬戦の時は2対1での攻撃を受ける。 当然地味な役割なのだから居ても居なくても気にも留められずに居ないものとして扱われる。 今日もそうして地竜を討伐して、俺は1人後処理をしてからギルドに戻る。 ようやく帰り着いた頃には日も沈み酒場で祝杯を挙げる仲間たちに報酬を私に近づいた時にそれは起こる。 ニヤついた目をしたゲラートが言い放つ 「ロイド、お前役にたたなすぎるからクビな!」 全員の目と口が弧を描いたのが見えた。 一応毎日更新目指して、15話位で終わる予定です。 作品紹介に出てる人物、主人公以外重要じゃないのはご愛嬌() 15話で終わる気がしないので終わるまで延長します、脱線多くてごめんなさい 2020/7/26

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

世界最強の賢者、勇者パーティーを追放される~いまさら帰ってこいと言われてももう遅い俺は拾ってくれた最強のお姫様と幸せに過ごす~

aoi
ファンタジー
「なぁ、マギそろそろこのパーティーを抜けてくれないか?」 勇者パーティーに勤めて数年、いきなりパーティーを戦闘ができずに女に守られてばかりだからと追放された賢者マギ。王都で新しい仕事を探すにも勇者パーティーが邪魔をして見つからない。そんな時、とある国のお姫様がマギに声をかけてきて......? お姫様の為に全力を尽くす賢者マギが無双する!?

最難関ダンジョンをクリアした成功報酬は勇者パーティーの裏切りでした

新緑あらた
ファンタジー
最難関であるS級ダンジョン最深部の隠し部屋。金銀財宝を前に告げられた言葉は労いでも喜びでもなく、解雇通告だった。 「もうオマエはいらん」 勇者アレクサンダー、癒し手エリーゼ、赤魔道士フェルノに、自身の黒髪黒目を忌避しないことから期待していた俺は大きなショックを受ける。 ヤツらは俺の外見を受け入れていたわけじゃない。ただ仲間と思っていなかっただけ、眼中になかっただけなのだ。 転生者は曾祖父だけどチートは隔世遺伝した「俺」にも受け継がれています。 勇者達は大富豪スタートで貧民窟の住人がゴールです(笑)

俺を凡の生産職だからと追放したS級パーティ、魔王が滅んで需要激減したけど大丈夫そ?〜誰でもダンジョン時代にクラフトスキルがバカ売れしてます~

風見 源一郎
ファンタジー
勇者が魔王を倒したことにより、強力な魔物が消滅。ダンジョン踏破の難易度が下がり、強力な武具さえあれば、誰でも魔石集めをしながら最奥のアイテムを取りに行けるようになった。かつてのS級パーティたちも護衛としての需要はあるもの、単価が高すぎて雇ってもらえず、値下げ合戦をせざるを得ない。そんな中、特殊能力や強い魔力を帯びた武具を作り出せる主人公のクラフトスキルは、誰からも求められるようになった。その後勇者がどうなったのかって? さぁ…

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

追放された私の代わりに入った女、三日で国を滅ぼしたらしいですよ?

タマ マコト
ファンタジー
王国直属の宮廷魔導師・セレス・アルトレイン。 白銀の髪に琥珀の瞳を持つ、稀代の天才。 しかし、その才能はあまりに“美しすぎた”。 王妃リディアの嫉妬。 王太子レオンの盲信。 そして、セレスを庇うはずだった上官の沈黙。 「あなたの魔法は冷たい。心がこもっていないわ」 そう言われ、セレスは**『無能』の烙印**を押され、王国から追放される。 彼女はただ一言だけ残した。 「――この国の炎は、三日で尽きるでしょう。」 誰もそれを脅しとは受け取らなかった。 だがそれは、彼女が未来を見通す“預言魔法”の言葉だったのだ。

この聖水、泥の味がする ~まずいと追放された俺の作るポーションが、実は神々も欲しがる奇跡の霊薬だった件~

夏見ナイ
ファンタジー
「泥水神官」と蔑まれる下級神官ルーク。彼が作る聖水はなぜか茶色く濁り、ひどい泥の味がした。そのせいで無能扱いされ、ある日、無実の罪で神殿から追放されてしまう。 全てを失い流れ着いた辺境の村で、彼は自らの聖水が持つ真の力に気づく。それは浄化ではなく、あらゆる傷や病、呪いすら癒す奇跡の【創生】の力だった! ルークは小さなポーション屋を開き、まずいけどすごい聖水で村人たちを救っていく。その噂は広まり、呪われた女騎士やエルフの薬師など、訳ありな仲間たちが次々と集結。辺境の村はいつしか「癒しの郷」へと発展していく。 一方、ルークを追放した王都では聖女が謎の病に倒れ……。 落ちこぼれ神官の、痛快な逆転スローライフ、ここに開幕!

処理中です...