少女たちの春【隠し言】私たちの24歳

秋 夕紀

文字の大きさ
上 下
34 / 34
24歳の花純の隠し事

11 騙された仕返しを

しおりを挟む
 翌日は土曜日で学校が休みだったので、真偽を確かめようと思い、彼に電話をしましたが、連絡が取れませんでした。部屋に閉じこもっていると死にたくなり、救いを真莉愛に求めました。電話で長々と事の次第を話すと、彼女が明日一緒に彼の所に行ってくれる事になりました。
「ごめんね!私がき付けたせいで、花純に悲しい思いをさせて。責任を感じるし、そんな男、とっちめてやるよ!」と言ってくれたのでした。私は彼女と話をした事で、幾分か気が晴れていました。

 日曜日、私と真莉愛は、彼の通う学校の体育館に行き、彼を呼び出しました。
「何だ?どうしたの?こんな所まで来るなんて、その子は友だち?」
 何事もなかったかのように話す彼に、怒りと憎悪が交錯していました。
「どうして転勤になったの?離婚したって本当?美沙都ちゃんに何したの?私に何を隠しているの?騙していたの?」と私は支離滅裂な質問を、彼にあびせていました。彼は目を丸くして、何かを考えているようでした。
「何か言ってよ!結婚とかうまい事を言って、私の身体をもてあそんで…。」
 そこまで言って、私は言葉が続きませんでした。代わりに真莉愛が、
「この子はね、貴方を信じて身を任せたんだよ!男性に用心深かった花純が、どれだけ悩んで迷ったあげくに貴方に抱かれたか、考えた事あるの?結婚をえさにして甘い言葉で誘惑して、詐欺さぎじゃないの!」と怒りをぶつけてくれました。
「おせっかいな女だな、わめくなよ!花純と同じで理屈っぽいんだよ。男が女を抱いて、何が悪いんだ!こいつだってその気になって、喜んでいたんだから。」
 真莉愛は、彼の頬を平手で思い切り殴っていました。周りには生徒や先生が集まっていて、一部始終を見聞きしていました。
「おい、何するんだ!まったく重たいんだよ、花純もそいつも。」と捨て台詞ぜりふを吐いて、臼田はその場を逃げるように去って行きました。私は泣いているばかりで何も言えず、堂々と言ってくれた彼女に感謝していました。

 翌日は学校を欠勤し、朝から真莉愛の家で過ごしました。無邪気な子どもと遊ぶ事で、気持ちに整理を付ける事ができそうでした。
 これまでの私は男性を極力避け、恋愛からも逃げていました。その結果、恋愛経験の乏しい私には男の本性を見抜けず、嫌だと思っていたにも関わらず、初めてのセックスを経験しました。愛する人ができた時のために、24年間大切に守ってきたものを、ゲスな男に奪われてしまいました。その後でも、私は彼を愛してるし、彼も私を愛してくれていると思い込む事で、自分の心に正直に向き合いませんでした。これからの私は、異性を愛したり愛されたりする事もなく、恋愛とは縁を切る事にしました。
しおりを挟む
感想 0

この作品の感想を投稿する

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

リアルフェイスマスク

廣瀬純一
ファンタジー
リアルなフェイスマスクで女性に変身する男の話

OLサラリーマン

廣瀬純一
ファンタジー
女性社員と体が入れ替わるサラリーマンの話

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

マッサージ

えぼりゅういち
恋愛
いつからか疎遠になっていた女友達が、ある日突然僕の家にやってきた。 背中のマッサージをするように言われ、大人しく従うものの、しばらく見ないうちにすっかり成長していたからだに触れて、興奮が止まらなくなってしまう。 僕たちはただの友達……。そう思いながらも、彼女の身体の感触が、冷静になることを許さない。

処理中です...