少女たちの春【隠し言】私たちの24歳

秋 夕紀

文字の大きさ
上 下
28 / 34
24歳の花純の隠し事

5 キスを迫られて

しおりを挟む
 3月には採用先の学校も決まり、私は東京の中学校、明治君は実家がある金沢に帰る事になりました。彼の引っ越しの日に手伝いに行き、あれ以来はっきりしない彼に別れを告げました。心の中では告白を待っていましたが、彼からは何もありませんでした。

 中学校の教員になって一人暮らしを始め、2年が経ちました。1年目は研修や教材研究、部活動に追われ、恋愛などしている暇はないと思っていました。  
2年目になって、同僚の体育教師で、5歳年上の臼田うすだ一史かずふみに交際を申し込まれました。バレーボールが専門で、私がその副顧問になった事がきっかけでした。放課後の練習や休日も練習試合があり、ほぼ毎日のように一緒に行動する内に、意識するようになったようでした。私は彼に特別な感情はなく交際を断りましたが、食事に誘われたり飲みに連れて行かれたりして、事実上付き合い始めていました。
「臼田先生、私は同じ部の顧問としてお付き合いしてるだけで、生徒達の噂になる前に、もう誘わないでください。」
「坂上先生は、僕が嫌いですか?僕は好きです!先生の思いやりのある生徒への接し方、優しく微笑む顔がたまらなく好きなんです。」
 彼が繰り返す好きだという言葉に誠実さを感じるようになり、次第にかれていきました。半年後の夏休みには、学校の近隣を避けてデートするようになりました。山中湖にドライブに行った日に湖畔で、
「坂上先生、花純と呼んで良いですか?僕のことも一史と呼んで下さい。」
「それはちょっと…。恋人でもないし、先生は先生だから。」という私のあごを引き寄せて、彼がキスを迫ってきました。こうなる事は予期していましたがまだ怖くて、私は片手で自分の口を、片手で彼の顔を遠ざけていました。
「花純、可愛いな!キスしたことないの?女子高生みたいだね。」
「失礼な!キスぐらい、したことありますよ。先生とはしないということです。」
「そうか、今日は止めとこうか。また今度ね。」
 そう言って、彼はすんなりと引き下がりました。
 数日後に女子バレー部の夏合宿があり、昼の練習が終わり、夜になって打ち合わせという事で彼の部屋に呼ばれました。明日の練習メニューを作り終え、部屋を出ようとすると呼び止められました。私を後ろから抱き締め、向きを変えてキスをしてきました。決して無理矢理のキスではなく、私も納得してそれに応じました。ただ、彼の顔が近付いた時、煙草の匂いが気になって仕方ありませんでした。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

友達の母親が俺の目の前で下着姿に…

じゅ〜ん
エッセイ・ノンフィクション
とあるオッサンの青春実話です

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

ママと中学生の僕

キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。

ナースコール

wawabubu
青春
腹膜炎で緊急手術になったおれ。若い看護師さんに剃毛されるが…

服を脱いで妹に食べられにいく兄

スローン
恋愛
貞操観念ってのが逆転してる世界らしいです。

セーラー服美人女子高生 ライバル同士の一騎討ち

ヒロワークス
ライト文芸
女子高の2年生まで校内一の美女でスポーツも万能だった立花美帆。しかし、3年生になってすぐ、同じ学年に、美帆と並ぶほどの美女でスポーツも万能な逢沢真凛が転校してきた。 クラスは、隣りだったが、春のスポーツ大会と夏の水泳大会でライバル関係が芽生える。 それに加えて、美帆と真凛は、隣りの男子校の俊介に恋をし、どちらが俊介と付き合えるかを競う恋敵でもあった。 そして、秋の体育祭では、美帆と真凛が走り高跳びや100メートル走、騎馬戦で対決! その結果、放課後の体育館で一騎討ちをすることに。

将棋部の眼鏡美少女を抱いた

junk
青春
将棋部の青春恋愛ストーリーです

隣人の女性がDVされてたから助けてみたら、なぜかその人(年下の女子大生)と同棲することになった(なんで?)

チドリ正明@不労所得発売中!!
青春
マンションの隣の部屋から女性の悲鳴と男性の怒鳴り声が聞こえた。 主人公 時田宗利(ときたむねとし)の判断は早かった。迷わず訪問し時間を稼ぎ、確証が取れた段階で警察に通報。DV男を現行犯でとっちめることに成功した。 ちっぽけな勇気と小心者が持つ単なる親切心でやった宗利は日常に戻る。 しかし、しばらくして宗時は見覚えのある女性が部屋の前にしゃがみ込んでいる姿を発見した。 その女性はDVを受けていたあの時の隣人だった。 「頼れる人がいないんです……私と一緒に暮らしてくれませんか?」 これはDVから女性を守ったことで始まる新たな恋物語。

処理中です...