少女たちの春【隠し言】私たちの24歳

秋 夕紀

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24歳の真莉愛の隠し事

1 スキーに行って

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 私は高校生の時、男の子とのトラブルに巻き込まれました。その時に助けてくれたのが、坂上花純かすみの兄、純人すみとさんでした。その時からずっと、私は彼に思いを寄せていました。ただ、彼にはその頃恋人がいて、そこに割って入るだけの勇気はありませんでした。
 私は高校を卒業して短大の保育科に進み、純人さんは県庁に就職し家を出ていました。あの時の彼の恋人は北海道に戻ったと聞いて、花純に恋のキューピット役を頼みました。そして、3人でスキーに行く算段にぎつけたのです。

 純人さんの運転する車で、私達は夜中に出て朝早くスキー場に着きました。スキー初心者の私に、純人さんは午前中付きっ切りで教えてくれました。花純は一人でリフトに乗って頂上に行き、ゲレンデを滑っていました。
「どう?少しは滑れるようになった?兄とべったりで、楽しかった?」
「うん、スキー最高!午後も滑って、夜はどうするのかな?」
 午後は花純が私に付き合ってくれ、夕食後は疲れ果てて部屋でくつろいでいました。純人さんはナイターに出掛けたようでした。
「純人さんは何時まで滑っているのかな?元気がいいね!」
「9時ぐらいには帰って来ると思うよ。お兄ちゃんの部屋に行っておいでよ!」
「えー?だって恥ずかしいよ。追い返されたら、どうしよう。」
 花純に促されて、私は彼の部屋を訪ねました。
「私はこれからも、純人さんと付き合っていて良いのかな?」
「真莉愛はそうしたいんだろう!うまく会えないけど、俺もそうしたいよ。」
 彼のはっきりしない態度に不満でしたが、自分からキスを求めました。
「私のこと、放って置かないで!純人さんが好きだからキスしてほしい!」
 私が目をつぶって待っていると、彼が近付いて来てそっと唇を寄せてきました。初めて触れる唇の感触は甘く柔らかく、ずっと触れていたいと思いました。その晩はキスできただけで満足で、浮かれ気分で部屋に戻りました。

「どうだった?お兄ちゃんとゆっくり話しができた?」
「あー、話というか何というか。顔が熱いな!」
「そうか、そういう事か。私まで熱くなってきた。兄の事だけど、話そうかどうか迷ったんだけど、マリが真剣に思っているから話した方が良いよね。」
 花純の真面目な顔つきに私は不安になりましたが、耳を傾けました。
「兄が大学時代に交際していた彼女の事、知ってるよね。北海道の実家に帰ると言って、別れ話になっていたんだけど、はっきりとしていなかったみたい。今でも連絡を取り合っていて、向こうは別れたつもりはないみたいなんだよ。」
「そうなんだ。彼がはっきりしない理由が分かったよ。ありがとう、花純。」
「でもね、兄はマリのことが好きで、彼女とはけじめを付けようとしてる。」
 私は花純の言葉に勇気付けられ、彼のけじめを待つ事にしました。スキーから帰っても、彼との関係は変わらずにいました。
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