少女たちの春【隠し言】私たちの24歳

秋 夕紀

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24歳の芹菜の隠し事

4 好きになるなんて

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 24歳になる今日まで、私の男性経験はろくでもないものでした。中学の時の初体験は、好きだった先輩と望まぬセックスをし、高校ではナンパされた男に輪姦りんかんされそうになりました。東京へ出て来てからは、バイト先の男にDVされ、しつこく交際を迫った大学生には輪姦され、凌辱《りょうじょく》を受け続けていました。しかし、それは男運がないだけでは済まされず、自分の性に対するだらしなさ、男を見る目のなさに起因している事と深く反省しています。
 そんな私を見守ってくれている古橋仁朗じろうは、決して格好よくも頼もしくもありませんが、私の過去を責める事をしません。そればかりか、私が要求した減量にも努力し、あと少しで目標に達します。仕事も運送会社に就職し、今は生活も安定しています。私は彼の気持ちに応えようと決心しました。

 仁朗の仕事が休みの日に私達は買物をして、その帰りに彼を家に誘いました。母親は出掛けていて、夕食を一緒に食べようという事になっていました。
「ねえ、仁朗。私が2年前に言った事覚えてる?」
「ああ、せるってことだよね。あと5キロだけど、ここからが大変だよ。」
「よく頑張ったね!これまでの御褒美ごほうびを上げるね!」と言って、私は彼に跳び付きキスをしました。彼は呆然ぼうぜんと立ち尽くし、真っ赤な顔をしていました。
「び、びっくりした!芹菜がキスしてきて…すごく感激!」
「仁朗の私への気持ちは変わらないんだよね。だから、キスしたの。こんな私でも良いの?良いなら…もっと別な事をしてもいいよ!」
 仁朗は私の申し出に、はっきりと応えませんでした。深く考え込んでいるようなので、私は食事の支度を始めました。まさか30歳になろうというのに童貞なのか、それともやっぱり私の男性経験が気になっているのか、私も食事をしながら考え込んでいました。
 二人とも無口なまま静かな食事が終わり、彼が洗い物を手伝ってくれました。彼の背中を丸めた後姿にそそられ、私は背中にしがみ付きました。
「仁朗さんの背中、暖かい!何か熊さんみたいで、いやされるな。」
「そうなの?僕も芹菜ちゃんの体温を感じるよ!」
 私は腕を彼のお腹に廻していましたが、腹囲があり過ぎて手を組む事はできませんでした。でも、男の人に抱き付くのが、これ程気持ちの良いものとは、今まで気が付きませんでした。
「ありがとう!仁朗さん、お風呂に入っていけば。お湯入れてあるからさ。」
「いつも悪いね。食事して、風呂をもらって、ありがたいよ!」
 彼が浴室に行ったのを見計らって、私も後を追うように浴室に行きました。
「仁朗さん、お背中を流しましょうか?入っても良いよね!」
「ちょっと待ってよ!僕、裸だし、恥ずかしいから。」
「裸なのは当たり前でしょ!お風呂なんだから。じゃあ入るよ!」
 私が裸になると彼をさらに困らせるだろうと配慮し、Tシャツとショートパンツ姿で入りました。彼は恥ずかしそうにして、こちらを向こうとしません。
「私は裸じゃないから、大丈夫だよ!洗ってあげるから、湯船から出て!」
 そう促されて彼は、大きな身体を動かして湯から上がって来ました。私はボディソープで彼の広い背中を洗い、前を向くように言いました。彼は下をむいたまま渋々前に向き直りましたが、股間を手でしっかりとガードしていました。首から胸、脇の下からお腹へと洗っていき、彼の手をけました。
「わぁ、お腹が邪魔をして見えないね。もう少し痩せなきゃ、ダメだわ!」
 今までに見た男の物は太く大きくいきり立っていたのに、彼の物は太ったお腹の下で縮こまっていました。それでも可愛らしく感じていました。
「仁朗さんは女の人と経験あるの?」と思わず訊いていました。
「ある事はあるけど、そういう場所でしかなくて、普通の人とはない。」
彼は小さな声で、恥ずかしそうに答えていました。私は彼の股間をボディソープの泡で包み、優しく洗いながら反応を見ました。
「私にこんな事をされるのは、迷惑かな?」
「迷惑なんて、思っていないよ。それより、芹菜ちゃんにこんな事をしてもらって、申し訳ないというか、嬉しいというか…。」
「私ね、仁朗さんの事が好きになったみたい。目の前に大きな身体があって、心の中にも仁朗さんが大きく占めるようになったの。だから、喜ばせたいの!」
 その言葉に刺激されたのか、彼の物は見る見る内に元気になってきました。でも、過去の男達と比べる訳ではありませんが、それ程大きい物ではありませんでした。照れている彼を、とても愛おしく思いました。
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