少女たちの春【隠し言】私たちの24歳

秋 夕紀

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24歳の芹菜の隠し事

1 東京を引き上げて

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 私は東京でのアイドル活動に見切りをつけ、実家に戻り歯科衛生士になるための専門学校に通っています。24歳になってようやく落ち着き、1年後には国家試験を受けるつもりでいます。母親には迷惑を掛けっぱなしで、出戻りの私を快く迎え、学費も援助してくれました。
 東京を引き上げて1年後、私が22歳になる年に、東京から古橋仁朗じろうさんが訪ねてきました。彼は地下アイドル時代の熱烈なファンで、私が男にだまされた時にはいろいろと助けてくれた人です。年齢は私より6歳上で、自称フリーター、体重90キロはあろうという巨漢で、女子にもてるタイプではありませんでした。顔立ちは悪くはなく、私にとってはせれば好きなタイプに入る男性でした。彼は私に何を求める訳でもなく、当然身体の関係もなく、ファンでいる事に幸せを感じているようでした。
「芹菜ちゃんを守れなくて、ごめん!今度はしっかりと守るよ。」
「あんたに私を守れるの?今度はって、これからどうするの?」
 彼は仕事を見つけ、私の家の近くに引っ越してきました。ストーカーに近い物がありましたが、相変わらず何をしてくる訳でもなく、私のみにくい過去を知った上で、相談相手にもなってくれました。家に来るようになって、母親に紹介すると、人の良さそうな彼を気に入ったようでした。時々食事を食べさせたり、一緒に出掛けたりするようになりました。
「古橋さんは、今の生活に満足しているの?私みたいな女のどこが良いの?」
「僕にとっては、芹菜ちゃんはいつまでもアイドルだから、このままで充分に満足してる。だから、芹菜ちゃんに好きな人ができたら邪魔はしないから、それまでは傍にいさせてほしいんだ。駄目かな?」という言葉に、私は悪い気はせず、彼に対して好意をいだき始めていました。
「分かったよ!だったら、芹菜と呼び付けで良いよ!私も仁朗と呼ぶから。それから、もう少し減量しようよ。私と付き合うなら、20キロは痩せないとね。」
「芹菜!初めて呼んでみたけど、ドキドキした。慣れるまでは、芹菜ちゃんでいいよ。痩せるように頑張るよ!」
「痩せたら私から御褒美ごほうびを上げるからね。それと、ずっとバイトするつもりなの?就職しなくては、私と一緒に生活できないよ!仁朗…さん!」
 私は精一杯の言葉で、彼の気持ちに応えていました。彼に言った御褒美は、男女の関係になる事を前提にした言葉でした。
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