少女たちの春【隠し言】私たちの24歳

秋 夕紀

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24歳の杏の隠し言

5 キスする関係に

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 尊君が司法試験に合格した9月、発表当日に私の部屋を訪ねて来た。
「尊君、おめでとう!先を越されたけど、私嬉しい。お祝いに、何でもして上げる。」
 二人で乾杯し、来年からは司法修習生になる彼の合格を祝いました。
「ありがとう、杏ちゃん!2回目でやったよ。君も来年は受験だから、頑張らないとね。お祝いはそうだな、キスがいいかな。」
 調子に乗った彼が口を突き出してくるのを、手で押し退けました。
「私のキスはそんなに安くないよ!彼女には報告したの?彼女にしてもらいなよ。」
「それが、彼女とは別れたんだ。」という彼の顔は真剣で、私は驚いていました。
「杏と仲良くしている所を目撃されて、言い訳したんだけど分かってくれなかった。」
「それじゃ、私が別れた原因なの?」
 私には思い当たる節がありました。二人で夏に居酒屋で飲んだ帰り、私が飲み過ぎて歩けなくなり、街中で彼に介抱され、私は彼に抱き付き、抱えられて歩いていた事を思い出しました。どうやらそれを、彼女に見られたらしいのです。
「君が原因ではなくて、彼女は前から別れたくて、きっかけになっただけだよ。」
「ごめんね。尊君には、迷惑ばかり掛けてるね。やっぱり私の責任だよ。」

 私は落ち込んで、焼酎の水割りを立て続けに飲んでいました。
「尊君、キスしていいよ!私にキスして!」
「杏ちゃんは酔っているんだろ?さっきは、安くないって言ってたよ!」
「そうだよ、安くないよ。だから、キスで罪滅ぼしするの!」
 私は彼の首にしがみ付いて、キスを求めていました。彼はそれに応えるように、優しく唇を重ねてきました。彼の唇の感触を味わいながら、彼の事が好きだったんだとようやく気が付きました。そして、酔った勢いで自分から服を脱ぎ、下着姿で彼をベッドに誘いました。彼は何も言わずに上半身裸になって、私の横に来て抱き締めてくれました。男の人の身体のたくましさと、抱き合う事に気持ちの安らぎを覚えていました。彼の唇へのキスは思ったより淡白でしたが、首筋から胸元へは丁寧にキスをしてきました。そして彼の手で、下着の上から胸を触られ、股間をでられた時には、あえぎ声が漏れていました。また、彼の硬くなった物が、太股に押し付けられている事に気が付きました。ところが、
「俺達は酔っているから、ここまでにしよう。」と彼が唐突に言ってきました。私は嫌われてしまったのかと不安になり、納得が行かず、彼に抱き付いてせがみました。
「俺が彼女に振られて、君は自責の念で抱かれようとしている。杏ちゃんの事は前から好きだから、成り行きで抱くのは嫌なんだ!もう少し時間を掛けて、冷静になって君の事を考えたい。」
 彼の優しい心遣いを無視できず、私は説得に応じて身体を離しました。消沈している私をもう一度抱き締めて、彼は熱いキスを唇にしてくれました。
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