少女たちの春【隠し言】私たちの24歳

秋 夕紀

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24歳の杏の隠し言

3 セックスが終わって

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 陽介が果てても、私は口惜しくて涙が止まりませんでした。嫌がる私を後ろから犯して、満足そうにしている彼が許せませんでした。さらに、彼の女れした行為、女の身体を知り尽くした手の動きに、疑問を抱かずにいられませんでした。私に嘘を付いて、裏切っている証拠をつかもうと思いました。
「陽介、女の子の扱いが随分上手くなったね!やっぱり彼女ができたんでしょ。」と彼をにらみました。すると、彼は少し落ち着かなくなりました。
「いいや、そんな事はないよ。杏だけを思い続けて、こうして東京まで会いに来たんだよ。誤解だよ。」
「そうなんだ!それにしては随分慣れているみたいだし、手際が良かったよね。どこで覚えたの?そういう所、よく知らないけどホテトルとかソープとかに行ったの?」
 私は執拗しつように、彼を尋問じんもんしましたが、このままではしらを切られると思い、誘導尋問に切り替えました。何としてでも彼を落としてやると思っていました。
「じゃあ、さっき上り詰めた時に、耳元で言っていたのは誰の名前かしら?私を抱きながら、京都の彼女の事を思い出していたんでしょ!」
 私が鎌を掛けて訊くと、彼は口籠くちごもってしまいました。
「やっぱり、そうなんだね!陽介はその子と何回もセックスして、2度目の私がどう反応するかを試したんだね。」と言いながら、下着を着けて身繕みづくろいいを整えました。そして、「ひどい!大嫌い!」と言って部屋を出ました。

 一人歩く渋谷の街は、人込みと喧騒けんそうが私を包んでいました。腹立たしさと、陽介の手に掛かった自己嫌悪とで、私の頭の中は混乱していました。一方で、彼に会わなければという後悔と、自責の念にとらわれていました。陽介からは、それから何回もメールや電話がありましたが、一切シャットアウトしました。
 その時を境に、私は恋愛感情を封印し、男性を信じなくなりました。そして、24歳になる今まで、異性との交際を拒み続けてきました。大学の友人たちの間では、私のそうした態度を見て、貞操帯を着けているだの、鉄壁の処女だのと揶揄やゆされていました。
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