すれ違う恋の告白日記【後編】

第12話 立松千宙(19歳)の日記＝柊絵美里(18歳)

＜12月20日＞絵美里の妊娠が分かる

★千宙★１週間前、絵美里がまた相談したい事があると、俺のバイト先にやって来た。深刻な表情をしていたので、俺の部屋で話を聞いた。それによると、彼女は生理の来ないのが不安になり、妊娠検査薬で試した所が陽性だったと言い難にくそうに話した。思い当たる節があるかと訊くと、例の彼氏と３カ月前に避妊具を付けずにやったと打ち明けた。誰にも相談する相手もなく、俺を頼って来たのだった。その後は泣くばかりで埒らちが明かず、その彼氏に談判に行こうと言うと、面倒な事になるから嫌だと言い、産む気はないと自分の意思を示した。
　俺は彼女の意を汲くんで、病院探しとその費用、精神的なサポートを引き受けた。年末だった事も災いして、中々事ははかどらなかった。そんな折、冬休みに帰って来ない娘を心配した母親が上京して来て、全てが浮き彫りにされたようだった。それからは連絡が取り難くなって心配していたが、彼女からお詫び兼ねて経緯を記した手紙が届いた。そこには、彼女が東京の病院で中絶した事、山梨の実家に連れ戻された事、いずれは大学も辞めさせられる事になるだろうと書かれていた。★★★
　
　8月のこと、絵美里のバイト先を探り当てた青江将生は、よりを戻そうと彼女を待ち伏せした。彼の部屋に有無を言わさず連れて行き、嫌がる彼女を強引に犯した。別れる気は少しもなく、浮気していた女とはもう関係を絶ったと言い張った。高校時代の頭が良くて優しかった面影もない彼を、絵美里はもう好きではなかった。
☆絵美里☆将生は第一志望の大学に落ちた事で、生活も荒すさんで別人のようになってしまった。私は東京に追うようにしてやって来て、最初の頃はセックスも楽しめたが、今は苦痛でしかない。私の裸の写真をネタに脅おどされ、今まで逃げるようにしてきたが、バイト先が見つかって押し掛けられてしまった。☆☆☆

　将生はストーカーのように付きまとい、絵美里を性欲処理の相手にしていた。彼女が抵抗すると、次第に暴力によって追従を強いるようになった。セックスの時はコンドームを使うのを嫌がり、彼女の顔や胸に射精するのが常だった。
☆絵美里☆将生は会えば必ず体を求めて来て、拒否すると顔を殴ったり、お腹を蹴ったりして怖かった。9月になって我慢し切れず、千宙さんに相談して何とか別れる事ができた。しかし、その前に暴力でねじ伏せられて犯された時、何の配慮もなく中出ししていたのだ。それが的に当たってしまい、妊娠してしまった。☆☆☆

　12月になって絵美里は再び千宙に相談し、中絶する事を決めて彼が動いてくれたが、中々はかどらなかった。そうこうしている内に彼女の母親が上京し、妊娠も露見して山梨に連れ戻された。年が明けて聖海女子大に退学届けを出し、地元の短大の保育科を受験する事になった。