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第10話 立松千宙(19歳)の日記=秋庭二奈(19歳)

<9月5日>女友だちの力になる

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★千宙★秋庭あきば二奈にいなとは、4月に大学の講義で隣り合わせになって知り合いになった。小柄で、まだ高校生だといっても通用するくらいの可愛らしい女子学生だった。ただ俺の好みのタイプではなく、女友だちとして付き合う関係だった。学食で昼飯を一緒に食べたり、講義で同席したりする内に親しくなっていた。アルバイト先が近い事が分かり、大学の外でも会うようになった。お互いの恋愛体験を話す機会があり、彼女は長崎の同級生と別れて東京に来たと話した。俺はその話につられるように、七海との中学での別れを話していた。しかも、大学生になって好きな相手がお互いにいなければ、会う約束をしたという手紙の内容も話していた。それを聞いた彼女は励ましてくれて、その後七海と再会して交際中だというと喜んでくれた。
 夏休みになって俺はバイトを休み、帰省している七海を追いかけて静岡に行った。夏休み中は七海と会う事ばかり考え、二奈の事はすっかりと忘れていた。彼女は夏休みには帰省せず、バイトに明け暮れていたようだった。9月になって大学が始まり、そんな彼女からストーカーの相談を受けた。30代のロリコンらしく、夏休み中に付きまとわれて大変だったようだ。一緒に警察に行って被害届を出し、バイトのシフトを調整して一緒に帰るようにした。★★★

 二奈は東京で友だちもなく、一人暮らしが寂しくて千宙に声を掛けた。恋愛感情はまだなかったものの、男友だち以上の関係になれたらと思っていた。
☆二奈☆立松君は物静かで派手な感じもなく、好感の持てる男子だ。講義の後、学食で食事をしながら、出身高校や大学の事などを話したが、彼女もいなそうだし、彼ともっと親密になりたいと恋心が目覚めていた。☆☆☆

 バイト帰りに二人で食事をした時、お互いの恋愛話になった。二奈の長崎での恋愛、千宙の中学での純愛を語り合い、別れのつらさを共有した。
☆二奈☆私は高校で付き合っていた彼と、体の関係もありながら別れる事になった。立松君の中学の恋は私と違って純粋で、心が打たれ応援したくなった。この日、私は彼に告白しようと探りを入れたつもりが、思わぬ展開になった。☆☆☆

 二奈はバイト先のカフェで、30歳ぐらいの男から声を掛けられた。その時はやり過ごしたが、その男はそれから毎日のように店に来てしつこい視線を浴びせていた。夏休みのある日、男に待ち伏せされて付きまとわれたが、あわや逃げて助かった。店長にも相談したが取り合ってくれず、千宙には会えずに一人悩んでいた。
☆二奈☆まさか私がストーカーに遭うなんて、スキがあるのだろうか。家を知られないようにファミレスに逃げ込んだのに、付いて来て話し掛けてきた。男がトイレに立ったすきに逃げ帰ったが、危なかった。立松君しか頼る人はいないけど、夏休みで会えないし、彼女とうまく行ってるみたいで迷惑を掛けられなかった。☆☆☆

 大学が始まって早々に二奈は千宙に相談し、警察に被害を訴える事にした。それからは千宙がアパートまで見送ってくれ、その男からの接触はなくなっていた。彼女は一度だけ千宙を部屋に誘ったが、「送り狼になると困るから」とあっさりと断られた。二奈は彼が送り狼なら構わないと、その時思っていた。
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