6 / 27
彼女たちの24歳~朝比奈杏編~
4 尊は司法試験に合格し、杏の部屋でキスをして抱き合う
しおりを挟む
9月に司法試験の合格発表があり、尊は合格を果たした。来年度からは司法修習生となる事が決まっている。尊は喜び勇んで杏の部屋を訪ね、二人はビールで乾杯し、合格を祝った。
「尊君、おめでとう!先を越されたけど、私嬉しい。お祝いに、何でもして上げる。」
「ありがとう、杏ちゃん!2回目でやったよ。君も来年は受験だから、頑張らないとね。お祝いはそうだな、キスがいいかな。」
尊がふざけて口を突き出すと、杏はそれを手で押し戻した。
「私のキスはそんなに安くないよ!彼女には報告したの?彼女にしてもらいなよ。」
「それが、彼女とは別れたんだ。」という彼の顔を、杏は驚いて見ていた。
「杏と仲良くしている所を目撃されて、言い訳したんだけど分かってくれなかった。」
「それじゃ、私が別れた原因なの?」
杏には思い当たる節があった。二人で夏に居酒屋で飲んだ帰り、杏が飲み過ぎて歩けなくなり、街中で彼に介抱された事があった。杏は彼に抱き付き、抱えられて歩いていた事を思い出した。どうやらそれを、尊の彼女に見られたらしい。
「君が原因ではなくて、彼女は前から別れたくて、きっかけになっただけだよ。」
「ごめんね。尊君には、迷惑ばかり掛けてるね。やっぱり私の責任だよ。」
杏はうなだれて黙ってしまい、彼が逆に慰める役に回った。ビールを空けた後は、焼酎の水割りに替わっていて、二人は止めどなく飲み続けた。
「尊君、キスしていいよ!私にキスして!」と杏は唐突に言い出した。
「杏ちゃんは酔っているんだろ?さっきは、安くないって言ってたよ!」
「そうだよ、安くないよ。だから、キスで罪滅ぼしするの!」
杏は酔った勢いで、彼の首にしがみ付いてキスを求めた。尊は彼女の求めに応じ、唇を優しく重ねた。二人は酔ってはいたが、お互いを意識した初めてのキスだった。
そして、杏は自ら下着になって、彼をベッドに誘いしばらく抱き合っていたが、
「俺達は酔っているから、ここまでにしよう。」と尊は彼女に申し出た。
「俺が彼女に振られて、君は自責の念で抱かれようとしている。杏ちゃんのことは前から好きだったけど、成り行きで抱くのは嫌なんだ!もう少し時間を掛けて、冷静になって君のことを考えたい。」
杏は始め納得いかなかったが、彼の優しい心遣いからの説得を受け入れた。
「尊君、おめでとう!先を越されたけど、私嬉しい。お祝いに、何でもして上げる。」
「ありがとう、杏ちゃん!2回目でやったよ。君も来年は受験だから、頑張らないとね。お祝いはそうだな、キスがいいかな。」
尊がふざけて口を突き出すと、杏はそれを手で押し戻した。
「私のキスはそんなに安くないよ!彼女には報告したの?彼女にしてもらいなよ。」
「それが、彼女とは別れたんだ。」という彼の顔を、杏は驚いて見ていた。
「杏と仲良くしている所を目撃されて、言い訳したんだけど分かってくれなかった。」
「それじゃ、私が別れた原因なの?」
杏には思い当たる節があった。二人で夏に居酒屋で飲んだ帰り、杏が飲み過ぎて歩けなくなり、街中で彼に介抱された事があった。杏は彼に抱き付き、抱えられて歩いていた事を思い出した。どうやらそれを、尊の彼女に見られたらしい。
「君が原因ではなくて、彼女は前から別れたくて、きっかけになっただけだよ。」
「ごめんね。尊君には、迷惑ばかり掛けてるね。やっぱり私の責任だよ。」
杏はうなだれて黙ってしまい、彼が逆に慰める役に回った。ビールを空けた後は、焼酎の水割りに替わっていて、二人は止めどなく飲み続けた。
「尊君、キスしていいよ!私にキスして!」と杏は唐突に言い出した。
「杏ちゃんは酔っているんだろ?さっきは、安くないって言ってたよ!」
「そうだよ、安くないよ。だから、キスで罪滅ぼしするの!」
杏は酔った勢いで、彼の首にしがみ付いてキスを求めた。尊は彼女の求めに応じ、唇を優しく重ねた。二人は酔ってはいたが、お互いを意識した初めてのキスだった。
そして、杏は自ら下着になって、彼をベッドに誘いしばらく抱き合っていたが、
「俺達は酔っているから、ここまでにしよう。」と尊は彼女に申し出た。
「俺が彼女に振られて、君は自責の念で抱かれようとしている。杏ちゃんのことは前から好きだったけど、成り行きで抱くのは嫌なんだ!もう少し時間を掛けて、冷静になって君のことを考えたい。」
杏は始め納得いかなかったが、彼の優しい心遣いからの説得を受け入れた。
0
お気に入りに追加
3
あなたにおすすめの小説
校長室のソファの染みを知っていますか?
フルーツパフェ
大衆娯楽
校長室ならば必ず置かれている黒いソファ。
しかしそれが何のために置かれているのか、考えたことはあるだろうか。
座面にこびりついた幾つもの染みが、その真実を物語る
視界を染める景色
hamapito
青春
高校初日。いつも通りの朝を迎えながら、千映(ちえ)はしまわれたままの椅子に寂しさを感じてしまう。
二年前、大学進学を機に家を出た兄とはそれ以来会っていない。
兄が家に帰って来ない原因をつくってしまった自分。
過去にも向き合えなければ、中学からの親友である美晴(みはる)の気持ちにも気づかないフリをしている。
眼鏡に映る世界だけを、フレームの中だけの狭い視界を「正しい」と思うことで自分を、自分だけを守ってきたけれど――。
*
眼鏡を新調した。
きゅっと目を凝らさなくても文字が読める。ぼやけていた輪郭が鮮明になる。初めてかけたときの新鮮な気持ちを思い出させてくれる。だけど、それが苦しくもあった。
まるで「あなたの正しい世界はこれですよ」と言われている気がして。眼鏡をかけて見える世界こそが正解で、それ以外は違うのだと。
どうしてこんなことを思うようになってしまったのか。
それはきっと――兄が家を出ていったからだ。
*
フォロワー様にいただいたイラストから着想させていただきました。
素敵なイラストありがとうございます。
(イラストの掲載許可はいただいておりますが、ご希望によりお名前は掲載しておりません)
13歳女子は男友達のためヌードモデルになる
矢木羽研
青春
写真が趣味の男の子への「プレゼント」として、自らを被写体にする女の子の決意。「脱ぐ」までの過程の描写に力を入れました。裸体描写を含むのでR15にしましたが、性的な接触はありません。
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
打ち抜きレッドライン〜平々凡々な僕と噂のビッチゲーマーが大会Lv.99へ挑戦する〜
どっぽは苦手なんだ
青春
近未来、没入型VRゲームが流行する時代。主人公、山田健一は平々凡々な大学生。その日常は活気もなく、バイトと学業が中心だった。そんな彼の生活は、喫煙所で出会った後輩に話しかけられたことで一変する。
学年を飛び越え、様々な男を連れ込むビッチと噂のある女。周囲は冷ややかな視線を向けていたが、実際にはゲームに情熱を注ぐ繊細な少女であることを誰も知らなかった。彼女の願いは名が残る大会で「実績」を残すこと。
この物語は、愛と友情、挫折と成功、努力の結果を描いた青春の物語。彼女の思惑に健一は揺れ動く。
【完結】願いが叶う本と僕らのパラレルワールド
カムナ リオ
青春
「ねえ、知ってる?」
「あのウワサこと?」
「そうそう」
「学校内のどこかにある」
「不思議な本」
「その本を見つけ出したものは――」
「相葉悠一」は見下していた友人が夏休み中童貞を捨て、友人に先を越された事でイライラしていた。
遅刻常習犯の悠一は、さらに担任に「遅刻の罰」として図書室の本の整理を言い渡され、ブチ切れ寸前だった。
そんな時、同じクラスの図書委員の「渡辺明日奈」に、学内の何処かにあるとウワサされている「願いが叶う本」のことを聞く。
その本に願って、童貞を捨てればいいと明日奈に煽られ、はじめはムカついていた悠一だったがーー
「願いが叶う本」を巡る高校生たちの、純粋で恐ろしい『欲望』が渦巻く、不思議な物語ーー
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる