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第14章 初めてのおそれ

3 深まる悩み

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 すると、部屋のドアが開いて、茜が帰って来た。茜は事態に気付いて、
「どういう事?愛海が嫌がっているじゃない。早く出て行って!」と瑛士を怒鳴り付けた。瑛士は驚いて愛海から離れ、ぶつぶつ言いながら部屋から出て行った。愛海は瑛士に対する怒りと、自分の情けなさとで混乱していた。
「茜が来てくれなかったら、どうなっていたか…。助かった。」泣きながら愛海は、茜にすがり付いていた。茜は何事が起ったのか理解できなかったようで、
「どういう事なの、愛海。島本さんとはそういう仲だったの?」
「違うよ、瑛士君が一方的に私を…。中学の時も無理矢理キスしてきた事があって、それから男子に対する不信感を持つようになったの。去年、久し振りに会って自然と話せたし、私も大人になったし、もう大丈夫だと思っていたのに。」愛海が一気に話し終えた所で、茜は解かってくれたようでなぐさめてくれた。
~愛海~瑛士君はあの時と同じで、私を性の対象として見ている。最近の真斗
   もそうだし、私にすきがあるのだろうか。男子の事が解からない。

 愛海はベッドにせて泣いていたが、やっと落ち着いて、
「茜、ごめんね。余計な心配させて。真斗には、今の事は秘密にしておいてね。気にするといけないから。」と言った。
「もちろんだよ。言う訳ないでしょ。」茜はきっぱりと言った。
「ところで、倉橋先輩とは会えたの?」と愛海が訊くと、茜からは瑛士を追い返した、さっきの威勢の良さは消えていた。
「会えたけど、正式に振られた。彼には彼女ができたみたい。よりを戻そうと思ったのは、大きな間違いだった。悲しいね。」今度は私が茜を慰める番だった。   

 翌日は何事もなかったかのごとく、ホテルの朝食を満喫し、二人で残りの大学を廻った。
~愛海~茜には茜の、私には私の悩みを抱えながらも、日常を過ごしている。
   今、悩みの大半を占めているのが恋愛に関する事であり、大人になるの
   は面倒だとつくづく実感する。身体と心の成長がアンバランスで、均衡
   を保つのは難しい。真斗も同じように悩んでいるように思う。東京から
   帰ったら、真斗ともう一度会って思いを聞いてみよう。
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