11 / 30
私たちの春~鴫野芹菜編~
3 夏休み、母親と喧嘩した芹菜は、颯翔の家で初体験をする
しおりを挟む
先輩の家には誰もおらず、先輩の部屋で、部活の話やゲームをして過ごしていた。1時間ぐらいはそうしていたが、先輩がキスをしてきた。既に何回もキスをしていて、いつも通りの展開だった。しかし、それがいつも通りでなくなったのは、先輩がベッドに私を導いた時だった。私はこれから何が起こるのか想像できたが、着ている物を脱がされ、先輩の手が伸びてきた時には抵抗していた。先輩の力は強く、私を組み敷くと強引な行為に及んだ。私は、知識では解っていたが、今されている行為が現実のものとは思えなかった。あこがれて好きになった人にこんな目に合わされて、身体の痛みも伴って、私はずっと泣いていた。
家に遅くなって帰ると、母親は問い詰めてきたが、私は無視し続けた。
それからは、先輩は会う度に私の身体を求めるようになった。それは先輩の家で、私の家で、親の留守をねらって夏休み中続いたが、私にとっては苦痛になっていた。先輩はいつも強引で、愛情とか優しさは感じられなかった。ただ自分の欲求を満たしていただけだった。
夏休みが終わり、櫻子に相談したのはそんな時だった。
「お母さんは、芹菜のことを心配していると思うよ。男の子と遊んでいる芹菜を見て、自分のせいだと思っているんじゃないかな。」
櫻子の意見は、大人びていて的確だった。
「先輩が本当に好きなのは芹菜の身体で、恋愛とは違うと思うな。これ以上付き合っても、芹菜にとって何の得にもならないよ。芹菜がそれでいいと言うなら別だけど。」
櫻子の忠告を受けて、私は先輩との恋に終止符を打った。その後、先輩から何回か連絡があったが、私の決心は固かった。
母親は、高野とかいう怪しい男とは別れたようだ。私は自分の勝手な行動を、母に謝った。
「ママ、ごめんなさい。あの人のことが直感的に嫌だった。だから、家を飛び出して心配させて、悪かったと思ってる。私、これからはママを助けるから、許して!」
「芹菜に心配掛けたんだね。ママも悪かったよ!芹菜が立派に成長してくれるまで、芹菜の事を見守っているからね。」
私の事を最優先に考えてくれた母のためにも、中2の女の子らしくしないといけないと思った。私にとって、早過ぎた春だった。
家に遅くなって帰ると、母親は問い詰めてきたが、私は無視し続けた。
それからは、先輩は会う度に私の身体を求めるようになった。それは先輩の家で、私の家で、親の留守をねらって夏休み中続いたが、私にとっては苦痛になっていた。先輩はいつも強引で、愛情とか優しさは感じられなかった。ただ自分の欲求を満たしていただけだった。
夏休みが終わり、櫻子に相談したのはそんな時だった。
「お母さんは、芹菜のことを心配していると思うよ。男の子と遊んでいる芹菜を見て、自分のせいだと思っているんじゃないかな。」
櫻子の意見は、大人びていて的確だった。
「先輩が本当に好きなのは芹菜の身体で、恋愛とは違うと思うな。これ以上付き合っても、芹菜にとって何の得にもならないよ。芹菜がそれでいいと言うなら別だけど。」
櫻子の忠告を受けて、私は先輩との恋に終止符を打った。その後、先輩から何回か連絡があったが、私の決心は固かった。
母親は、高野とかいう怪しい男とは別れたようだ。私は自分の勝手な行動を、母に謝った。
「ママ、ごめんなさい。あの人のことが直感的に嫌だった。だから、家を飛び出して心配させて、悪かったと思ってる。私、これからはママを助けるから、許して!」
「芹菜に心配掛けたんだね。ママも悪かったよ!芹菜が立派に成長してくれるまで、芹菜の事を見守っているからね。」
私の事を最優先に考えてくれた母のためにも、中2の女の子らしくしないといけないと思った。私にとって、早過ぎた春だった。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
アッチの話!
初田ハツ
青春
大学生の会話の九割は下ネタである──と波多野愛実は思っている。
工学部機械工学科の仲良し3人組愛実、檸檬、冬人に加え、冬人の幼馴染みの大地、大地と同じ国際学部情報グローバル学科の映見、檸檬の憧れの先輩直哉……さまざまなセクシャリティに、さまざまな恋愛模様。
愛実が勧誘された学科のある「係」をめぐり、彼らは旧体制を変えようと動き出す。
そんな中、映見がネット上で中傷を受ける事件が起こる。
恋愛、セックス、ジェンダー、性差別、下ネタ……大学生活の「アッチの話」は尽きない。
視界を染める景色
hamapito
青春
高校初日。いつも通りの朝を迎えながら、千映(ちえ)はしまわれたままの椅子に寂しさを感じてしまう。
二年前、大学進学を機に家を出た兄とはそれ以来会っていない。
兄が家に帰って来ない原因をつくってしまった自分。
過去にも向き合えなければ、中学からの親友である美晴(みはる)の気持ちにも気づかないフリをしている。
眼鏡に映る世界だけを、フレームの中だけの狭い視界を「正しい」と思うことで自分を、自分だけを守ってきたけれど――。
*
眼鏡を新調した。
きゅっと目を凝らさなくても文字が読める。ぼやけていた輪郭が鮮明になる。初めてかけたときの新鮮な気持ちを思い出させてくれる。だけど、それが苦しくもあった。
まるで「あなたの正しい世界はこれですよ」と言われている気がして。眼鏡をかけて見える世界こそが正解で、それ以外は違うのだと。
どうしてこんなことを思うようになってしまったのか。
それはきっと――兄が家を出ていったからだ。
*
フォロワー様にいただいたイラストから着想させていただきました。
素敵なイラストありがとうございます。
(イラストの掲載許可はいただいておりますが、ご希望によりお名前は掲載しておりません)
グループチャット・五つ星
サクラ
青春
チャットアプリ・LINEのとあるグループ『五つ星』。
彼らを題材とした日常系ゆるふわストーリーが始まる。
旧・風亘理学園(かざわたりがくえん)。
この学園は中高一貫のこの辺りで珍しい学園である。
そんな風亘理学園には、不思議な部活動があった。
交流広場・五つ星。
誰がそう呼び出したのかは、わからない。
けれども交流広場の名の通り、人々はそこで交流を深める。
個性豊かな人々が集まって雑談していく交流広場・五つ星。
そんな彼らの日常を、少しだけ覗いていってください。
ーーーーー五つ星の絆は、永久不滅だ。
彼女は、2.5次元に恋をする。
おか
青春
椿里高校の商業科1年、椋輪 蓮(むくわ れん)。
ある日の放課後、蓮は教室で『孤高の秀才』小石 輝(こいし てる)と遭遇し——!?
笑あり涙あり(あるのか?)の青春ラブコメディー。
崩壊学園-混沌する劇場
三色あんこもち
青春
物語の結末から過程まで事前に全ての内容を作成し制作が始められた事で文章の中に幾つもの伏線が貼られている作品です。
-
才能を見出し優秀な人材育成に長けた、私立緑陽高校で起こる混沌する10の物語、高校二年の春、一人の女子高生が転校してきた事をキッカケに虐め、恋愛、復讐、破壊と言った物語が移り変わる人物の視点から生み出され混沌し一つの終着点に辿り着く。
死神少女と社畜女
キノハタ
青春
「ねえ、お姉さんの寿命あと一週間だけど、何したい?」
ある日、働きづめのOLまゆの前に現れた、死神の少女ゆな。
まゆにしか見えず、聞こえず、触れない彼女は、楽しげに笑いながらこう問いかける。
あと一週間だけの命で一体何がしたいだろう。
もしもうすぐ死ぬとしたら、私は一体何をするのだろう。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる