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第十七章 もうひとつの初めて(番外編)
2 誤解のいきさつ
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2学期の期末テストの午後、いつものように二人は茜の家で勉強していた。この日は茜の家族は出掛けていて、家には二人だけだった。一通り勉強が済んで、紅茶を飲みながら休んでいたが、茜が真斗に話し掛けた。
「真ちゃんのこと諦めようと思った事もあったけど、信じて良かった。」
「どういうこと?諦めるとか、信じるとか。」茜は真剣な顔で、語り出した。
「私、ずっと前から真ちゃんが好きだった。中3の時かな、真ちゃんの家でその事に気が付いた。でも、真ちゃんは幼馴染としてしか見てなかったでしょ。」真斗は茜の話を聞いて、思い出していた。中3の時にふざけて茜にキスした事を。それは自分も、あの時から茜を好きだったと。
「俺はよく分からなかった。自分の気持も、茜の気持も。前に言われたけど、俺は女の子の気持ちに鈍感みたいだね。」
「それでね、高1が終わる時に確かめてみたの。覚えている?私が先輩から告白されたと相談した時の事を。そしたら真ちゃんは良かったねと言ったんだよ。」
「覚えているよ。あの時は何だか分からないけど、茜が腹立たしかった。今考えると、茜のことが好きだったから口惜しかったのかもしれない。」真斗は正直に、胸の内を明かした。茜は彼の言葉を聞いて、頬を赤くした。
「口惜しかったの?それならそうと言ってくれれば、良かったじゃない。その時、真ちゃんは私の事を何とも思ってないと思って諦めたの。それで、真ちゃんの好きな女子を聞いて、愛海を紹介したの。」茜は俯いていた。
「そうだったのか。愛海のことは好きというよりも、あの時茜に言われて付き合ってみようかなと思った。でも、段々と好きになっていったのは本当だよ。茜に対する反抗なのかな、やっぱり口惜しかったんだ。」
そこまで話して、二人は沈黙していた。茜の告白によって、誤解がすれ違いを招いた事を悔いていた。茜はこの先の展開を考えていなかった。真斗もまた、どうしたら良いのか分からなかった。沈黙を破るように茜は言った。
「真ちゃん、私のこと今でも好き?」真斗は茜の質問には答えずに、
「茜は先輩と付き合って、彼のことを好きだったの?」と逆に質問した。
「好きになったよ。そうでなければ、キスなんてしない。それとキス以上の関係でもあったよ。でも、最後まではしてないし、今は何とも思っていない。」
「俺が愛海と付き合っていた事は、平気なの?」と言われて、茜は言葉を選んで言った。
「愛海と恋人関係になった事は知っているし、それはお互い様というか…私は気にしていない。他の女の子の事は許せないけど、今の真ちゃんを信じたい。」
二人はそれ程遠くはない過去を清算し、今の気持ちを大事にして行く事で合意していた。茜は思い切って、彼に行動を求めた。
「目をつぶるから、好きだったらキスして。でなかったら、引っ叩いていいよ。」茜を引っ叩く理由はなかったので、真斗は彼女の顎を引き寄せ口づけた。
「茜とキスしたのは2度目だよ。」真斗は中3の時の事を、今、明らかにした。
「やっぱりあの時、キスしたんだよね。はっきり言えばよかったのに。」
それは、ようやく二人の絆が強まった瞬間だった。
しばらくして茜は昂ぶる気持ちを抑え、真斗を見据えて言った。
「よしここまで!後は大学合格までお預けだよ。勉強しよう。」真斗はまだ興奮冷めやらずにいたが、茜の言葉に目が覚めた。
「お預け?どういう事?この先は、我慢するってことか?」
「その通り。我慢できたら、真ちゃんを男として本当に信じるよ。」茜の言葉は有無を言わせぬ力強さがあった。真斗は茜には叶わないと思い、それに従った。
「真ちゃんのこと諦めようと思った事もあったけど、信じて良かった。」
「どういうこと?諦めるとか、信じるとか。」茜は真剣な顔で、語り出した。
「私、ずっと前から真ちゃんが好きだった。中3の時かな、真ちゃんの家でその事に気が付いた。でも、真ちゃんは幼馴染としてしか見てなかったでしょ。」真斗は茜の話を聞いて、思い出していた。中3の時にふざけて茜にキスした事を。それは自分も、あの時から茜を好きだったと。
「俺はよく分からなかった。自分の気持も、茜の気持も。前に言われたけど、俺は女の子の気持ちに鈍感みたいだね。」
「それでね、高1が終わる時に確かめてみたの。覚えている?私が先輩から告白されたと相談した時の事を。そしたら真ちゃんは良かったねと言ったんだよ。」
「覚えているよ。あの時は何だか分からないけど、茜が腹立たしかった。今考えると、茜のことが好きだったから口惜しかったのかもしれない。」真斗は正直に、胸の内を明かした。茜は彼の言葉を聞いて、頬を赤くした。
「口惜しかったの?それならそうと言ってくれれば、良かったじゃない。その時、真ちゃんは私の事を何とも思ってないと思って諦めたの。それで、真ちゃんの好きな女子を聞いて、愛海を紹介したの。」茜は俯いていた。
「そうだったのか。愛海のことは好きというよりも、あの時茜に言われて付き合ってみようかなと思った。でも、段々と好きになっていったのは本当だよ。茜に対する反抗なのかな、やっぱり口惜しかったんだ。」
そこまで話して、二人は沈黙していた。茜の告白によって、誤解がすれ違いを招いた事を悔いていた。茜はこの先の展開を考えていなかった。真斗もまた、どうしたら良いのか分からなかった。沈黙を破るように茜は言った。
「真ちゃん、私のこと今でも好き?」真斗は茜の質問には答えずに、
「茜は先輩と付き合って、彼のことを好きだったの?」と逆に質問した。
「好きになったよ。そうでなければ、キスなんてしない。それとキス以上の関係でもあったよ。でも、最後まではしてないし、今は何とも思っていない。」
「俺が愛海と付き合っていた事は、平気なの?」と言われて、茜は言葉を選んで言った。
「愛海と恋人関係になった事は知っているし、それはお互い様というか…私は気にしていない。他の女の子の事は許せないけど、今の真ちゃんを信じたい。」
二人はそれ程遠くはない過去を清算し、今の気持ちを大事にして行く事で合意していた。茜は思い切って、彼に行動を求めた。
「目をつぶるから、好きだったらキスして。でなかったら、引っ叩いていいよ。」茜を引っ叩く理由はなかったので、真斗は彼女の顎を引き寄せ口づけた。
「茜とキスしたのは2度目だよ。」真斗は中3の時の事を、今、明らかにした。
「やっぱりあの時、キスしたんだよね。はっきり言えばよかったのに。」
それは、ようやく二人の絆が強まった瞬間だった。
しばらくして茜は昂ぶる気持ちを抑え、真斗を見据えて言った。
「よしここまで!後は大学合格までお預けだよ。勉強しよう。」真斗はまだ興奮冷めやらずにいたが、茜の言葉に目が覚めた。
「お預け?どういう事?この先は、我慢するってことか?」
「その通り。我慢できたら、真ちゃんを男として本当に信じるよ。」茜の言葉は有無を言わせぬ力強さがあった。真斗は茜には叶わないと思い、それに従った。
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