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第8章 梅枝七海(19歳)=黄川田肇(21歳)
§1軽率な行動
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千宙に裏切られたと思った七海は、彼からの連絡を無視して1週間が過ぎた。このままではいけないと気付いていたが、やるせない思いでいっぱいだった。
「梅枝さん、どうしたの?元気がないみたいだね。」と寮の先輩に声を掛けられた。
「実は彼氏とケンカして、最悪な気分なんです。」と言うのをきっかけに、私は経緯を説明した。千宙と再会して付き合うようになり、初体験を約束した日に裏切られた事、しかも私でない女の子の部屋に行った事、拠所ない理由があるのは理解できても簡単に許せない気持ちだと、余すことなく話した。先輩は黙って聞いていて、時折肯いたりなだめたりしてくれた。話し終わると落ち込んでいた気分はいくらか楽になり、千宙の言い訳を聞いてやろうという気になり始めていた。
熱心に話を聞いてくれた先輩は、七海をサークルのコンパに誘った。七海は千宙に対する仕返しと、うっぷん晴らしのために誘いに乗った。一次会は居酒屋の一室に、千里大の男子8名と聖海女子大の女子6名が集った。1年生には酒を飲ますなと言いながら、七海を含めた未成年の男女4名はアルコールを口にしていた。
「七海ちゃん、今日は雰囲気が違うね!こういう時は、思い切り羽目を外そうよ!」
「いいですよ!楽しまなくちゃね、先輩!わたしを口説こうと思ってるんでしょ!」
私は言い寄って来る男子学生にからんで、うっ積した思いを吐き出していた。そんな私の行動を、以前話をした黄川田さんが離れた場所からこちらを伺っていた。
七海は飲み慣れない酒にテンションが上がり、タクシーに乗って二次会の場所へ移動していた。そこは男子学生のマンションの一室で、男子4名と女子3名が来ていた。黄川田肇は七海を心配して、行動を共にしていた。
「おい、黄川田、お前が二次会に来るのは珍しいな!気になる子でもいるのか?」
「いや、そんな事はないけど、何となく!」と言い逃れをしたが、皆にはお見通しだった。それぞれが好きな飲み物を手にし、男女入り混じっての宴会が始まった。
「七海ちゃんは、彼氏がいないの?俺で良かったら、付き合わない?」
「彼氏はいるけど、ただいまケンカ中です。先輩は彼女がいるじゃないですか!」
私はそう言っていなしたつもりだったが、先輩に肩を抱かれて引き寄せられた。
「やめなよ、嫌がってるじゃん!」と口を挟んだのは、黄川田さんだった。
「おお、黄川田、お前やっぱり七海ちゃんが目的だったんだ。いいよ、譲るから好きにしたら!何ならベッドを使っても良いぜ!」と挑発され、「女の子はモノじゃないんだから」と彼は真剣に怒っていた。
他の女子は男子といちゃつきながら、彼らのやり取りを白い目で見ていた。七海は黄川田に促されてその場を後にし、彼にタクシーで寮まで送ってもらった。
「何で?わたしはもっと遊んでいたかったのに。」と寮の前で、私は駄々をこねていた。彼は幼い子をなだめるように、私を支えながら頭をなでてくれた。ふと千宙の事が頭を過ったが、彼の包容力に甘えていた。
「梅枝さん、どうしたの?元気がないみたいだね。」と寮の先輩に声を掛けられた。
「実は彼氏とケンカして、最悪な気分なんです。」と言うのをきっかけに、私は経緯を説明した。千宙と再会して付き合うようになり、初体験を約束した日に裏切られた事、しかも私でない女の子の部屋に行った事、拠所ない理由があるのは理解できても簡単に許せない気持ちだと、余すことなく話した。先輩は黙って聞いていて、時折肯いたりなだめたりしてくれた。話し終わると落ち込んでいた気分はいくらか楽になり、千宙の言い訳を聞いてやろうという気になり始めていた。
熱心に話を聞いてくれた先輩は、七海をサークルのコンパに誘った。七海は千宙に対する仕返しと、うっぷん晴らしのために誘いに乗った。一次会は居酒屋の一室に、千里大の男子8名と聖海女子大の女子6名が集った。1年生には酒を飲ますなと言いながら、七海を含めた未成年の男女4名はアルコールを口にしていた。
「七海ちゃん、今日は雰囲気が違うね!こういう時は、思い切り羽目を外そうよ!」
「いいですよ!楽しまなくちゃね、先輩!わたしを口説こうと思ってるんでしょ!」
私は言い寄って来る男子学生にからんで、うっ積した思いを吐き出していた。そんな私の行動を、以前話をした黄川田さんが離れた場所からこちらを伺っていた。
七海は飲み慣れない酒にテンションが上がり、タクシーに乗って二次会の場所へ移動していた。そこは男子学生のマンションの一室で、男子4名と女子3名が来ていた。黄川田肇は七海を心配して、行動を共にしていた。
「おい、黄川田、お前が二次会に来るのは珍しいな!気になる子でもいるのか?」
「いや、そんな事はないけど、何となく!」と言い逃れをしたが、皆にはお見通しだった。それぞれが好きな飲み物を手にし、男女入り混じっての宴会が始まった。
「七海ちゃんは、彼氏がいないの?俺で良かったら、付き合わない?」
「彼氏はいるけど、ただいまケンカ中です。先輩は彼女がいるじゃないですか!」
私はそう言っていなしたつもりだったが、先輩に肩を抱かれて引き寄せられた。
「やめなよ、嫌がってるじゃん!」と口を挟んだのは、黄川田さんだった。
「おお、黄川田、お前やっぱり七海ちゃんが目的だったんだ。いいよ、譲るから好きにしたら!何ならベッドを使っても良いぜ!」と挑発され、「女の子はモノじゃないんだから」と彼は真剣に怒っていた。
他の女子は男子といちゃつきながら、彼らのやり取りを白い目で見ていた。七海は黄川田に促されてその場を後にし、彼にタクシーで寮まで送ってもらった。
「何で?わたしはもっと遊んでいたかったのに。」と寮の前で、私は駄々をこねていた。彼は幼い子をなだめるように、私を支えながら頭をなでてくれた。ふと千宙の事が頭を過ったが、彼の包容力に甘えていた。
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