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第6章 梅枝七海(18歳)=立松千宙(18歳)
§3突然の訪問
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千宙は相変わらず忙しく、二人は会えないまま夏休みが間近に迫っていた。電話やメールのやり取りは増えたが、七海は会えない事にいら立っていた。インカレの合宿に誘われていたが、どうしようかと迷って彼に相談した。
「あのね、サークルの合宿があるの!千宙君とも中々会えないし、行ってもいいかな?でも、何か乗り気がしなくて、千宙君とどこかへ行きたいな!」
「七海は、相変わらず優柔不断だな。七海自身が決めることだけど、噂ではそのインカレはヤリサーみたいで、その合宿も何が目的だか分からないよ!」
私はそんな彼の言葉に腹立たしさを覚え、少し反抗したくなった。
「優柔不断はないでしょ!それにヤリサーって何?そんなに心配なら、わたしを放って置かないでよ!中学の時からの独占欲は、相変わらず強いんでしょ!」
「ヤリサーっていうのは、それ目的のサークルということだよ。それよりも、独占欲とは心外だな!あの時は七海がフラフラとしているから、心配してたんだよ!」
私たちは昔の事を持ち出して、再会して初めての喧嘩をしてしまった。千宙君の嫉妬はうれしい反面、思い込みからの誤解は胸に余った。結局合宿は断り、夏休み早々に静岡の家に帰る事にした。彼にはその事を、メールで伝えた。
七海は静岡に帰り、退屈な毎日を過ごしていた。2週間が経ってそろそろ東京に戻ろうかと思っている所へ、千宙から連絡があった。
「今、静岡に来たんだけど、出て来れる?会いたいんだけど!」
「えっ、どうして?何しに来たの?今から行くから、待ってて!」
私は急いで支度をして、彼の待っている静岡駅に向かった。
「急に呼び出して、ごめん!バイトが休みになって、それで会いたくなって…。」
「驚きだよ!いきなり何の前ぶれもなく来るなんて、わたしがいなかったらどうするつもりだったのよ。わたしの事を覚えていてくれたんだね。」
私は皮肉たっぷりに応じていたが、実の所はうれしくて抱き付きたいくらいだった。静岡の街を案内しながら、カフェに入って涼む事にした。
「中々会えなくて、ごめんね!それに、この前は合宿の事で言い過ぎた。本当は七海に行ってほしくないと正直に言えなくて、嫌な気分にさせてしまった。」
「分かってたよ!だから、千宙君に相談したんだし、はっきり言ってくれれば良かったんだよ。わたしの甘ちゃんの性格に喝を入れてくれるのは、千宙君だけだもの!」
私たちは会って話をする事で、分かり合えた気がした。彼が静岡まで会いに来てくれた意味を理解し、このまま別れるのがつらくてこの後の予定を訊ねた。
「折角来たのに、帰るの?だったら、私の家に泊まっていってよ!」
「えー?そんな大胆な!俺たちまだ、そんな関係じゃないし…。泊まるの?」
彼のあわてる顔は中学生に戻ったようで、可愛らしくて思わず笑ってしまった。
「何、あわててるの?確かに親は親戚の家に行っていて留守だけど、弟がいるから二人切りじゃないわよ!残念でした!すきを見て、襲わないでね!」
千宙もこのまま別れ難く、七海の申し出に従って泊まる事になった。家には彼女が言った通り高校1年生の寿朗がいて、姉が男を連れて来たと騒いでいた。
「女子大生になると、大胆だな!姉ちゃんが男を連れて来るなんて、驚いたよ!」
「何よ、そんなのじゃないから!トシちゃん、千宙君を覚えてないの?」
弟に彼との再会の経緯を説明すると、口をポカンと開けて聞き入っていた。私たちは3人で楽しく食事をし、彼にお風呂を進めて弟の服を貸した。私がお風呂に入っている間、二人がどんな会話をしたのか分からないが、すっかり打ち解けていた。
「あのね、サークルの合宿があるの!千宙君とも中々会えないし、行ってもいいかな?でも、何か乗り気がしなくて、千宙君とどこかへ行きたいな!」
「七海は、相変わらず優柔不断だな。七海自身が決めることだけど、噂ではそのインカレはヤリサーみたいで、その合宿も何が目的だか分からないよ!」
私はそんな彼の言葉に腹立たしさを覚え、少し反抗したくなった。
「優柔不断はないでしょ!それにヤリサーって何?そんなに心配なら、わたしを放って置かないでよ!中学の時からの独占欲は、相変わらず強いんでしょ!」
「ヤリサーっていうのは、それ目的のサークルということだよ。それよりも、独占欲とは心外だな!あの時は七海がフラフラとしているから、心配してたんだよ!」
私たちは昔の事を持ち出して、再会して初めての喧嘩をしてしまった。千宙君の嫉妬はうれしい反面、思い込みからの誤解は胸に余った。結局合宿は断り、夏休み早々に静岡の家に帰る事にした。彼にはその事を、メールで伝えた。
七海は静岡に帰り、退屈な毎日を過ごしていた。2週間が経ってそろそろ東京に戻ろうかと思っている所へ、千宙から連絡があった。
「今、静岡に来たんだけど、出て来れる?会いたいんだけど!」
「えっ、どうして?何しに来たの?今から行くから、待ってて!」
私は急いで支度をして、彼の待っている静岡駅に向かった。
「急に呼び出して、ごめん!バイトが休みになって、それで会いたくなって…。」
「驚きだよ!いきなり何の前ぶれもなく来るなんて、わたしがいなかったらどうするつもりだったのよ。わたしの事を覚えていてくれたんだね。」
私は皮肉たっぷりに応じていたが、実の所はうれしくて抱き付きたいくらいだった。静岡の街を案内しながら、カフェに入って涼む事にした。
「中々会えなくて、ごめんね!それに、この前は合宿の事で言い過ぎた。本当は七海に行ってほしくないと正直に言えなくて、嫌な気分にさせてしまった。」
「分かってたよ!だから、千宙君に相談したんだし、はっきり言ってくれれば良かったんだよ。わたしの甘ちゃんの性格に喝を入れてくれるのは、千宙君だけだもの!」
私たちは会って話をする事で、分かり合えた気がした。彼が静岡まで会いに来てくれた意味を理解し、このまま別れるのがつらくてこの後の予定を訊ねた。
「折角来たのに、帰るの?だったら、私の家に泊まっていってよ!」
「えー?そんな大胆な!俺たちまだ、そんな関係じゃないし…。泊まるの?」
彼のあわてる顔は中学生に戻ったようで、可愛らしくて思わず笑ってしまった。
「何、あわててるの?確かに親は親戚の家に行っていて留守だけど、弟がいるから二人切りじゃないわよ!残念でした!すきを見て、襲わないでね!」
千宙もこのまま別れ難く、七海の申し出に従って泊まる事になった。家には彼女が言った通り高校1年生の寿朗がいて、姉が男を連れて来たと騒いでいた。
「女子大生になると、大胆だな!姉ちゃんが男を連れて来るなんて、驚いたよ!」
「何よ、そんなのじゃないから!トシちゃん、千宙君を覚えてないの?」
弟に彼との再会の経緯を説明すると、口をポカンと開けて聞き入っていた。私たちは3人で楽しく食事をし、彼にお風呂を進めて弟の服を貸した。私がお風呂に入っている間、二人がどんな会話をしたのか分からないが、すっかり打ち解けていた。
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