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キャロル

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20 魔王降臨?

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王女の暴挙から2日後エメルと公爵は王城に呼ばれ現在、王の執務室に居る。

そこには国王とブロム殿の父であるストーン子爵様と王太子殿下が居た。ゴクリ、……。
ストーン子爵には何度かお会いした事があるが、流石に国王に直接お会いしたことは無い、用件は察しているが緊張する、……いや、していたと言った方がいいか、なぜなら…公爵の放った言葉でエメルのガチガチだった緊張感は霧散してしまったからだ。

「おい!アルバート国王うちの可愛いヴァイオレットに何してくれたんだ?俺は言ったはずだ!クローバー王国の王太子と第3王女以外はクソだから、ちゃんと確認してから婚約書類にサインしろって、馬鹿か!お前は!あんなのが将来の王妃になんてなってみろ、国民が離れるぞ!」

「……すまん、釣書が第3王女の挿絵だったんだ、な、名前だってアマリリスとアリス…似てるだろ?アリス王女なら、アレクも気にいると思ったんだ。……」

「それで、あれか?都合よく破談に持ち込むためにヴァイオレットを利用したのか?お前ら親子で私のヴァイオレットを傷つけたのか?」

「…いや、そのまさか、あんな事するとは…」

どんどん、青くなる国王に鬼の形相の公爵、魔王降臨!もはや主従が逆転しているが誰も口を挟まない…と言うより、挟めないな。

「あんな事簡単に予想がつくだろ?嫉妬に狂った女がする事は決まっている、いつの時代もお前自身も学生の頃経験してるだろうが、中途半端なお前の態度が原因で起きた女どもの醜い争いを」

「…ああ、」

「それと王太子殿下、あなたは今回の王女の計画を知っていましたね、そして当初はご自身とジェイだけで救出に向かう算段だった、上手くいけば王女とは婚約破棄できてヴァイオレットも手に入れることができる、そうですね、」

「………、いえ、私は…」

成る程旧校舎手前で殿下にあったのはそう言うことか、ストーン家の影が素早く行動していなければ、…それでもヴィオはあの数分でかなり恐怖を感じていたはずだ、いくら王女と婚約破棄するためとはいえ姑息な!

他にも方法があっただろうに、手っ取り早い方法をとりやがって!

「たとえ王族だろうが、私の大切な人を傷つけることは許さない!アルバート国王わかっているはずだ、私達一族にとって国は単なるいつでも切り捨てられると、次はない!いいね!」

「「…ああ、」はい…」」

「ストーン家から報告は受けているだろ?当然処分はしっかりしてくれるよね?私は許す気はないからね、クローバー王国には私の方から抗議をしておくよ、勿論賠償も請求させてもらうよ。我がゴールディ家に手を出した事を後悔してもらわなければいけないからね。
ああ、それときみには……そうだな、1年神国に留学してもらう、精神鍛錬してきなさい!いいですね!」

「…はい、」


神国か……俺にはなんてことないが、あの国では婚約者や婚姻相手以外と情を交わすことは禁止されている。
婚姻前に婚約者と情を交わした場合の婚約破棄は認められていない。元々あの国の国民は総じて誠実だし婚約者や婚姻相手を唯一とし大切にしている、娼館もなければ約束のない情交は交わさない…殿下の意識が変わってくれればいいが、

それより……物理的にも精神的にもクローバー国王は終わったな、はっきり言ってゴールディ家は公爵と言うのは単なる表向きの爵位と言っても過言ではない。

実の所王族より王族、なんせ直系全員が各国の王族の血が入ってる一族だ!実は俺もヴィオと婚約して初めて知ったが、すごい一族だった。

公爵の祖父つまりはヴィオの曽祖父はシルバー王国(自国)の王族、曽祖母も王族の姫、祖母は神国の王女、ヴィオの母は大国ダイヤード皇国の皇女兄ジュリアス様の妻(最近結婚した)は神国の第2王女つまりは全員皇族もしくは王族…しかも全員恋愛だ。

ダイヤード皇国の皇帝と神国の国王とは非常に仲がいいダイヤードの皇帝はシスコンだし神国の国王は娘であるジュリアス様の妻を溺愛している、代々妻を一途に大事にするゴールディ家に好意的だ、そんなゴールディ家に害なす事は3国を敵に回すことになる。

実際、由緒正しい高位貴族は周知の事実だが、こうして時々何も知らない愚かな奴が手を出しては闇に消えている。

改めて、すごい一族だな。

つい最近まで、しがない文官だった俺が今は…王族以上に王族らしい一族の初の姫と結婚できるなんて、改めて身震いする程……光栄だ!怯みなんてしない、ヴィオと共に歩めるなら、どんな試練も乗り越えられる。

ただ、改めて思う、……、公爵マジで怖ぇぇ!


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