あなたの顔が好きなんです

キャロル

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17 ほっといて欲しいのに

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「「おはよう御座いますエメル様、ヴァイオレット様」」

7日ぶりの登校です、新しいお友達となったブロム様と妹のロイーヌ様は学園の門の前で待っていてくれました。

「「おはよう御座います。」」

「ブロム殿、ヴィオをよろしく頼むよ。会議の時間になってしまったので私はこのまま教員室に向かうから、教室まで一緒に行ってもらえるかな?」

「はい、勿論です。妹は2つ隣のクラスですし、もうすぐアリス様も到着されますので、アリス様が着きましたら一緒に向かいますので、エメル様は先に行かれて良いですよ、ここはお任せください」

「よろしく頼むよ。__ヴィオ、何かあったらすぐブロム殿に言うんだよ、いいね、決して1人で行動しないようにね。」

「エメル様、私はもう子供じゃありませんのに、心配性なんですのね、…大丈夫ですよアリスといつも一緒ですし今日からブロム様もロイーヌ様もいますからね、エメル様とお昼をご一緒に出来ないのは寂しいですが、…お仕事ですので…我慢します。」

「私もですよ、しばしのお別れですね、」

私の頬をするりと撫でて颯爽と歩いていくエメル様、はぁ、カッコいいのです…。ポーッとの後ろ姿に見惚れていると、アリスが到着していたようですが私は気づかずにずっとエメル様を見ていましたら肩をポンポンと叩かれて、

「そろそろいいかな?気持ちはわかるけど、いい加減こっちに気がついてよ!全く、うわ!緩み切っただらしない顔しちゃって……もう、ほら、行くわよ」

「ん?あら、アリス、おはよう、いつの間にいらしていたの?声かけてくれればいいのに」

「………レティ、それ、…(レティが花畑に飛んでる間、声かけたわよ、何度も…)…」

なぜか暖かい笑みを向けているロイーヌ様と苦笑いのブロム様と共に教室に向かいましたの。

私とアリスは卒業試験は済んでいるので単位を気にすることなく好きな授業を選択して受けておりますの、午後の授業で衛生と救護の特別授業がありましたのでそちらを受けましたら、もう少し詳しく知りたいことができましたのでその後図書室に向かい医学書を何冊か手に取り自主学習することにしましたの、アリスは勉強より体を動かしたいと鍛錬場に向かいましたので私の向かいにはブロム様とロイーヌ様がいらっしゃいます。

「あの、ブロム様?私は帰りの時間までここにいますので、どうぞ気にせずお好きなことなさってよろしいんですのよ。」

エメル様に頼まれたからか、ブロム様ご兄妹はずっとそばにいてくれます。嬉しいんですが、その反面お付き合いさせて申し訳ないのですが……。

「ふふ、お気になさらないでください、しっかり好きなことしてますので問題ないですよ。」

そう言って見せてくれたのは経営学の専門書でしたの、そういえばブロム様のお家は大きな商会を設立していて国内外にいくつもお店をもち貿易を一手に担う一族でしたわね

「そうですか、それなら遠慮なくお付き合いしてくださいませ」

それから程なくして私も手元に影が落ちた、ふと見上げるとそこには王太子殿下が立っていた。え?ちかっ!

「ヴァイオレット嬢、少しだけ話がしたいのだが時間をもらえないか?」

「え?話…ですか?(できればお断りしたいのですが…)…」

「少しでいいんだ、向こうの談話室で、勿論2人きりじゃなく私の従者のジェイも同席するしドアは少し開けておく、お願いだ、少しだけでいい」

「……少しと言われましても…(断りたい)…婚約者以外と個室は……少し憚れます」

……どうしよう、無下には断れないし……困っているとブロム様が、

「失礼ながら殿下よろしいですか?」

「ああ、君は確かストーン子爵家のブロム殿…だったか?」

「はい、ストーン家の長男ブロムと申します、差し出がましいとは思いますがここは学園ということで発言お許しください…」

「ああ、構わないが」

「ありがとうございます…では、…差し出がましいとは思いますが、いくらドアを開けていても婚約者がいる男女が個室で話をするのは要らぬ誤解を招くことになりますので、私の妹を同席する許可をいただければヴァイオレット嬢も承諾しやすいと思いますが、いかがでしょうか?」

「そうか…そうだな…ヴァイオレット嬢、そちらの御令嬢がご一緒なら話をしてくれるか?」

ブロム様……うまく断ってくれるのではなかったのですのね……まぁ、この場合しょうがないかもしれないわね~

「……ええ、ロイーヌ様がご一緒なら…少しだけなら(本当は嫌だけど)」

「ありがとう、では談話室に行こう」

と私の手をとり移動しようとしたまさにその時ドカドカと凄い足音と共にやってきました……面倒の種が…。

「まぁ!私の婚約者の手を取り擦り寄るなんて、なんて浅ましい女なの!身の程を弁えなさい!サッサとそこを退きなさい!」

キンキンと金切声をあげズンズンと大きな体が迫ってきてあまりの恐怖に 後ずさりしよろけてしまったらちょうど殿下に後ろから抱きしめられる格好になり……それを見た王女殿下は真っ赤な顔をさせて更にキンキン声で私を罵倒し始めた。

「図々しくも、私の目の前で…アレクサンドル様の腕に……、この鶏ガラの売女がー!」

大きく腕を振り上げて……殴られる……パン!と私の頬を殴……ろうとした…その手をブロム様に取られた。

「王女殿下、これ以上はいくら学園でも外交問題になります。それに此度の事は誤解ですのでおやめ下さい!」

「何が誤解よー!いつまで私の婚約者にベタベタしてんのよ!離れなさいよ!あんたはそこの地味な男と地味な婚約者侍らせてるくらいがちょうどいいのよ!アレクサンドル様のような美しい男性には私のような豊満で美しい女性がお相手に相応しいのよ!あんたみたいな貧相な女は側に侍ることすら烏滸がましい、さっさとどっか行きなさいよ!」

「「「「………、……」」」」

「アマリリス王女、ブロム殿のいう通り誤解だ!それにここは図書室だよ、声を荒げて話すのはマナー違反だよ?それにここは君の国じゃない理不尽な暴力はたとえ王族といえど容認できないな!未然に防いでくれた彼に感謝した方がいい。」

「でも、その女はアレクサンドル様に擦り寄っていたから…」

「ヴァイオレット嬢、すまないね…勉強の邪魔をして、今日は失礼するよ。」

そう言って殿下は図書室を後にした、……なんだったのかしら?あの方達?

「ブロム様、ありがとうございます…私1人だったらどうなっていたかわかりません。一体あの方達は何がしたかったのでしょうか?かなり驚ましたが結果、殿下との歓談?が回避できたのでよかったのですが……できればもう関わりたくないのですが…残念ながら同じクラスですのよね、数ヶ月前までは穏やかに過ごせてましたのに…ココ最近は……どうしてでしょう?これは結婚前の試練なのでしょうか?」

「「………違うかと……」」

なんとなくその後は勉強を続ける気になれず私たちは帰ることにした。

当然帰りの馬車で図書室であった事をエメル様に報告しましたのよ、勿論エメル様の膝の上で……ムフフ、嫌なこともエメル様のお顔を見ながら話しているとあっという間にご機嫌になってしまうんですの、だって何度見ても、いつ見ても、ずーっと見ても素敵なお顔なんですの…、勿論素敵なのはお顔だけじゃありませんのよ、ただ、全てが素敵ですがお顔が、お顔が、素敵すぎて見てしまうんですの、はぁ、ほんとに素敵~。

(相変わらずのエメル限定脳内お花畑のヴァイオレットは穴が開くほどエメルの顔を眺めていたのでした。)


__一方__

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