普通の新婚生活が送りたい。

キャロル

文字の大きさ
上 下
3 / 35
1章 巡りあい

3 結婚前夜 [執事の呟き]

しおりを挟む
私の主 セレスティア=ノワール 17歳 黄金に輝く美しい髪 青紫の煌めくちょっと垂れた宝石眼 長い睫毛 陶器のような肌にスッと通った鼻筋 ピンク色の唇 要するに女神のような美しさを持ちながらご自分の美しさに気がついていない(実は美醜に興味ないだけ)
高位貴族なのに身分のこだわりや隔たりなく平等にお優く不思議な方である。

私、ロイとマイ双子の孤児である。
10年前(当時16歳)ある商人の奴隷として働かされていたが見目の良かった私達は商人の客の夜の接待をさせられていた。ある日、耐えきれずマイと逃げ出した。まもなく路地で捕まり鞭打たれて意識が朦朧としていたところに、当時8歳のお嬢様が間に割って入ってきた。

幼いながらにはっきりとした口調で
「なぜ、その者に鞭を打っているのです!」

あきらかに高位貴族とわかる出立ちと後ろに控える騎士に気付き商人は

「恐れながら、これはうちの奴隷で仕事を放棄し逃げ出したので罰を与えていたのです。奴隷は所有物、物をどう扱うかは持ち主の自由なのですよ、」

「そうですか、物ですか、…貴方は商人なのですよね、」

「ええ、そうですが、それが何か?」

「では、その奴隷を私に売ってください。そうですね~確か子供の奴隷は銀貨1枚…
2人で金貨10枚でいかがですか?」

「な、な、これに金貨ですと!(こんなガキに金貨10枚!世間知らずのガキが、どうせもう使いもんにならんだろうし、気が変わらんうちに売っておくか) 今この場で即金なら良いですよ」

「ええ、もちろん!では奴隷の所有権譲渡証明書にサインと血判を押してください」

「しょ、証明書?」

「ええすでに用意してあります。うちの者は仕事早いですから、さあこちらにサインを、」

「はあ、」

「はい、では商談成立ですね。では、失礼します。マック、2人を馬車へ!」

そんなやり取りが朧げに聞こえ次に目が覚めたらふかふかのベットの中で傷も跡形もなく消えていた。(お嬢様の治癒魔法で治療されていた。この時すでに全ての高位魔法が使えていたそうです。王家には隠していたそうですが)

妹と共にこの日からお嬢様に使えることになったのです。

お嬢様は私達を奴隷ではなく人として、しかも専属執事と侍女として沢山の知識、戦闘、魔法開化錬金術とありとあらゆる技術を身に付けさせてくれ、気がつけばハイパー戦闘執事とハイパー戦闘侍女になっていた。そのあと、路上で拾ったマイク、とハーフ獣人のミミが加わり私達4人はお嬢様に忠誠を誓う同志となった。

お嬢様は私達の意思を常に尊重し家族のように扱ってくれた。
そんな大切な私達のお嬢様には幸せになって欲しいと思っていたのにまさか政略結婚とは、一度も顔を合わせることなく、明日、結婚式となった。

もはや、大公殿下には期待すまい、むしろ、放置してくれるらしいので、良かったと思うことにしよう。

いつかお嬢様を愛し、愛する方が現れるまで、私達がお嬢様を守っていこうと固く決心した。

まさか、あんなことになろうとは…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

邪魔しないので、ほっておいてください。

りまり
恋愛
お父さまが再婚しました。 お母さまが亡くなり早5年です。そろそろかと思っておりましたがとうとう良い人をゲットしてきました。 義母となられる方はそれはそれは美しい人で、その方にもお子様がいるのですがとても愛らしい方で、お父様がメロメロなんです。 実の娘よりもかわいがっているぐらいです。 幾分寂しさを感じましたが、お父様の幸せをと思いがまんしていました。 でも私は義妹に階段から落とされてしまったのです。 階段から落ちたことで私は前世の記憶を取り戻し、この世界がゲームの世界で私が悪役令嬢として義妹をいじめる役なのだと知りました。 悪役令嬢なんて勘弁です。そんなにやりたいなら勝手にやってください。 それなのに私を巻き込まないで~~!!!!!!

今夜は帰さない~憧れの騎士団長と濃厚な一夜を

澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
ラウニは騎士団で働く事務官である。 そんな彼女が仕事で第五騎士団団長であるオリベルの執務室を訪ねると、彼の姿はなかった。 だが隣の部屋からは、彼が苦しそうに呻いている声が聞こえてきた。 そんな彼を助けようと隣室へと続く扉を開けたラウニが目にしたのは――。

グローリー

城華兄 京矢
ファンタジー
あらすじ  南方の都市に不穏な情勢ありと、国王の召集により、王城に参上したザインだが、その道中に盗賊に襲われることとなる、  五大勇と呼ばれる仲間と共に南方の都市に向かう事になるが、すでに仲間の一人が行方知らずとなっており、旅路の序盤から波瀾万丈の様相となる。  ザインは無事、王からの命を全うすることが出来るのか。

どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします

文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。 夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。 エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。 「ゲルハルトさま、愛しています」 ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。 「エレーヌ、俺はあなたが憎い」 エレーヌは凍り付いた。

Another Chronicle -アナザークロニクル-

黒緋みかん
ファンタジー
緑の国ミストルテインの王家に生まれたジストは、女性でありながら王子として生きていた。 ――18歳の誕生日と新しい国王としての即位を目前に控えていた前夜。 ミストルテイン城は突如、業火に包まれる。 一夜にしてすべてを失くしたジストは、大切な故郷と民のために、犯人捜しの長い旅に出たのだった。 しかしその旅は、彼女の18年間の人生を作り上げた陰謀に至る道でもあった……。

悪意のパーティー《完結》

アーエル
ファンタジー
私が目を覚ましたのは王城で行われたパーティーで毒を盛られてから1年になろうかという時期でした。 ある意味でダークな内容です ‪☆他社でも公開

婚約破棄?一体何のお話ですか?

リヴァルナ
ファンタジー
なんだかざまぁ(?)系が書きたかったので書いてみました。 エルバルド学園卒業記念パーティー。 それも終わりに近付いた頃、ある事件が起こる… ※エブリスタさんでも投稿しています

処理中です...