上 下
18 / 19

第17話 番が番を誤認事件 (ゼロ・東園慈・バハム&ダーグリオン7)

しおりを挟む
リーシャとキャロルが本事件とはまったく関係ない話に花を咲かせてる頃、ゼロとダーグリオン7はそれぞれの目的地に
到着していた。

No4マリム(馬獣人)No5カリオン(狼獣人)No6カケル(人族と兎獣人のハーフ)は監禁されている4人の救出に向かった。



首謀者の屋敷から2キロほど離れた場所に建てられている自称保護施設の地下3階、表向きは地下1階(食品貯蔵庫)となっているが、隠し扉の先に地下2階(研究室)3階(監禁室)がある。

この構造は普通では発見できないが、これもリーシャとキャロルの発明した前世でいうところのX線と赤外線を利用した
透視スコープがゴーグルに内蔵されているおかげで迷わず入口を発見できるし、ステルス機能であっさり侵入できた。

ダーグリオンの3人は難なく監禁されていた部屋を見つけ4人を救出できた。

「マリムとカケルはこの4人を連れてすぐリーシャ様の所へ向かってくれ、カリオンはここの研究室に残ってる資料を回収してを破壊してから向かうよ!」

「おお、わかった、リーシャ様からの任務は対象者の救出だけど、あの禍々しい研究室は処分しておいた方がいいと思う」

「そうだな、処分はおまえカリオン1人で大丈夫か?」

「ああ、勿論問題無い!もしも、は無いと思うが、緊急用転移スクロールをリーシャ様から頂いてるから心配するな!」

「そうか、じゃぁ、建物には影響ないと思うが念のため俺たちマリム&カケルが地上に出たら始めてくれ」




無事に保護対象者4人とマリム達が地上にでた事を確認したカリオンは研究室を破壊するために1人地下研究室に向かった。


研究室に残されている資料を全て回収し、後はを破壊して任務は完了する。

今回初実戦となるnew魔道具、凍結銃を照射するとあっという間に凍結しかもその後は軽く対象を専用ハンマーで叩くと木っ端微塵に粉砕された。


(スゲー!爆発させることなく木っ端微塵て、爆発させるのと違って振動も周りを破壊することなく対象だけをピンポイントで処分できる!これまたとんでもねぇ魔道具だな、しかも粉砕された残骸は吸引魔道具で綺麗に跡形もなく片付くし時間効率効率めちゃくちゃいいな、)

カリオンは処理完了し確認のため一応透視スコープで空になった部屋を見渡した。


(あれ?この奥に空間、なんか不自然だな、ん?ここか?これもしかして隠し扉じゃね?とすると開けるには、なんか仕掛けがあるはずだな)

4人が監禁されていた地下3階と研究室ある2階との間に僅かな空間を発見したカリオンは研究室の調剤機があった場所の横にある帽子かけフックを回転させた。

するとカシャンと何かが外れる音がして壁がズレた。

(ビンゴ!こんな所にも隠し部屋かよ!一体何隠してんだ?)


壁を押し込み中に入るとムワッと異臭がした。

(なんだ?この匂いは、なんか塊?メット越しでも匂いが強烈すぎて、まさか人か?なんだ?)

壁の中に1人の人族が倒れていた。

(こりゃ、ひでぇ、生きてんのか?弱いけど鼓動は聞こえるな、だが、今にもしんじまいそうだな)

身体中鞭を打たれた後がありボロボロの洋服にはたくさんの血がこびり付き、固まり、異臭を発していた。

かろうじて生きているがかなり衰弱しているようで意識もないカリオンは恐らくリーシャ様なら迷わず助けるだろうと判断しこの人族も保護し連れて行くことにした。

予定外のことではあったが容態からいつ事切れてもおかしくない人族を念の為と渡されていた回復薬を口の中に流した。

「おい、聞こえてるかわかんねぇが飲めなくてもいいから薬を口に入れるぞ!」

カリオンが与えた回復薬は飲まれる事なく口からすぐさま溢れたが少し体内にも入ったのか切れた口元と口内は少し回復しほんの僅かだが呼吸音が聞こえた。

「すぐ助けてやっからな、リーシャ様ならお前をなんとかしてくれるこれから転移すっからな!痛いかもしれないが抱き上げるぞ」

カリオンが抱き上げるとウウっと僅かに声がした。


転移スクロール発動させリーシャの所に連れて行った。









「リーシャ様、この子の治療お願いします。」

丁度先についていた4人を治療していたリーシャの元にカリオンに抱かれた子が運ばれてきた。

瞬時に状態を把握したリーシャは、

「カリオンそのままその子を治療ポッドに入れるわよ!キャロ!は完成してるわよね!この子はかなり状態が悪いわ!多分治癒魔法やエリクサーでもチョット難しいかも、」

「ええ、中に入れる治療液の調合は済んでるわ!すぐ用意するわ!ザック、テリオン様と一緒に第2倉庫から治療液タンク3本持ってきて!」

「「わかった」」



治療ポットに寝かせ気道確保して全身を治療液に浸した。
白乳色の治療液が発光しながら傷んだ体を修復していく時間にして1時間といったところだろうか、表面的な外傷は綺麗になくなっていた。

「あら、この子女の子よ!キャロ、このままじゃアレよね、でもまだもう少し治療したいからビキニ着せちゃう?」

「そうね、とりあえず、男性には退出してもらって、他の保護した子達の女の子3人の世話もあるし、…そうだ!ダーグリオンの奥様達にお願いしようか!」

「そうね、彼女達なら任せても安心だわ!カリオン、レバノンリーダーに連絡してもらえる?そろそろあっちも任務完了してる頃だと思うわ!」

「ラジャー!」

「あ!そうだ、ゼロにで戻って来い!って伝えてくれる?不本意だけどこの子はゼロじゃないと治せない所があるのよ!」

「東園慈様には直接こちらに来るようにお伝えすればいいのですね。かしこまりました。」











『姉ちゃーん、リーちゃんで戻ったよ~。』

「……、う、うん、早かったね!とりあえずこっち来て!」

「ヘラヘラしてないで、さっさと来な!」

『イデデデデ、姉ちゃん、耳、引っ張んないで~ってなに?これ?スゲー治療ポッド?』

まじか!姉ちゃんとリーちゃんやばいもん作ってんなぁ、

「うん、前世の酸素カプセルイメージしてキャロと作ったんだよね、治癒魔法は使える人少ないからね、ここまでの性能はいらないと思うからこれの軽いやつ平民街の治療院にどうかなってさ!」

『どうかなって、リーちゃん、俺違う意味でどうかなって思うよ!』

商品化する前に旦那達がブレーキかけてくれると思うけど、

「それより、この子をゼロに治療して欲しいの!」

『このカプセルの中にいる子?リーちゃんの治癒魔法でって……、見たところ綺麗に治ってそうだけど?』

「身体的にはね、ほぼ完治してるんだけど、チョット見てて」

リーちゃんが手をかざすと女の子を光が包み金色の糸が複雑に絡み合って見える。これって

『これ?今糸のように見えてんのって』

「そう、魔力回路よ!通常はこんなに絡みあうことないの、それとここ、臍の位置見て!魔力の中心部見えるでしょ?本来なら球体であるはずの中心部が歪に変形して今にも消えてしまいそうなの、これが消えてしまうとこの子は数年も生きられなくなるわ!
ここまで壊れてしまうと私でも直せないのよ、でもゼロならできるんじゃないかって!
前世で色んなもの復元するの得意だったでしょ、
私もキャロもこの世界に転生してわかったのは前世で得意な分野が今世はもっと得意になってるのよ!」

『確かに言われてみればそうかも、特に意識したことなかったな、でも見る限りではなんとなくできそうな気がする。
やってみるよ。
多分この治療液に浸かったままの方がいいな』


「お願いね、」



俺は目を瞑り手を臍の辺りにある魔力回路の中心に自分の魔力を流し傷ついてる箇所を精密にたどり修復作業に取り掛かった。

チョットでも集中力が散ってしまうとすぐ変形してしまう中心部を慎重に慎重に修復させる。

時間にして3時間、やっと中心部の修復完了次は絡みにからまった回路を正常な流れに戻す作業。

これがまた時間を要する、全ての修復が終わったのは次の日の昼だった。流石にタフな俺でも疲れたかも、

『お、終わった、』



もうだめだ、

眠い。

腹減ったなぁ。

でも動きたくないや。


寝る。


治療が完了した安堵感と長時間の作業に意識は薄れ、ずるずると床に沈みそのまま深い眠りについた。











ゼロ・東園慈・バハム 番が番を誤認事件に協力したら、超過労働を強いられ床に沈んだ。





まじで姉ちゃん達スゲー、
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

彼女が心を取り戻すまで~十年監禁されて心を止めた少女の成長記録~

春風由実
恋愛
当代のアルメスタ公爵、ジェラルド・サン・アルメスタ。 彼は幼くして番に出会う幸運に恵まれた。 けれどもその番を奪われて、十年も辛い日々を過ごすことになる。 やっと見つかった番。 ところがアルメスタ公爵はそれからも苦悩することになった。 彼女が囚われた十年の間に虐げられてすっかり心を失っていたからである。 番であるセイディは、ジェラルドがいくら愛でても心を動かさない。 情緒が育っていないなら、今から育てていけばいい。 これは十年虐げられて心を止めてしまった一人の女性が、愛されながら失った心を取り戻すまでの記録だ。 「せいでぃ、ぷりんたべる」 「せいでぃ、たのちっ」 「せいでぃ、るどといっしょです」 次第にアルメスタ公爵邸に明るい声が響くようになってきた。 なお彼女の知らないところで、十年前に彼女を奪った者たちは制裁を受けていく。 ※R15は念のためです。 ※カクヨム、小説家になろう、にも掲載しています。 シリアスなお話になる予定だったのですけれどね……。これいかに。 ★★★★★ お休みばかりで申し訳ありません。完結させましょう。今度こそ……。 お待ちいただいたみなさま、本当にありがとうございます。最後まで頑張ります。

【本編完結/R18】獣騎士様!私を食べてくださいっ!

天羽
恋愛
閲覧ありがとうございます。 天羽(ソラハネ)です。宜しくお願い致します。 【本編20話完結】 獣騎士団団長(狼獣人)×赤い瞳を持つ娘(人間) 「おおかみさんはあたしをたべるの?」 赤い瞳は魔女の瞳。 その噂のせいで、物心つく前から孤児院で生活する少女……レイラはいつも1人ぼっちだった。 そんなレイラに手を差し伸べてくれたたった1人の存在は……狼獣人で王国獣騎士団のグラン・ジークスだった。 ーー年月が経ち成長したレイラはいつの間にかグランに特別な感情を抱いていた。 「いつになったら私を食べてくれるの?」 直球に思いを伝えてもはぐらかされる毎日……それなのに変わらずグランは優しくレイラを甘やかし、恋心は大きく募っていくばかりーーー。 そんなある日、グランに関する噂を耳にしてーーー。 レイラ(18歳) ・ルビー色の瞳、白い肌 ・胸まである長いブラウンの髪 ・身長は小さく華奢だが、大きめな胸 ・グランが大好きで(性的に)食べて欲しいと思っている グラン・ジークス(35歳) ・狼獣人(獣耳と尻尾が特徴) ・ダークグレーの髪と瞳、屈強な体躯 ・獣騎士団団長 剣術と体術で右に出る者はいない ・強面で冷たい口調だがレイラには優しい ・レイラを溺愛し、自覚は無いがかなりの過保護 ※R18作品です ※2月22日22:00 更新20話で完結致しました。 ※その後のお話を不定期で更新致します。是非お気に入り登録お願い致します! ▷▶▷誤字脱字ありましたら教えて頂けますと幸いです。 ▷▶▷話の流れや登場人物の行動に対しての批判的なコメントはお控え下さい。(かなり落ち込むので……)

ただの新米騎士なのに、竜王陛下から妃として所望されています

柳葉うら
恋愛
北の砦で新米騎士をしているウェンディの相棒は美しい雄の黒竜のオブシディアン。 領主のアデルバートから譲り受けたその竜はウェンディを主人として認めておらず、背中に乗せてくれない。 しかしある日、砦に現れた刺客からオブシディアンを守ったウェンディは、武器に使われていた毒で生死を彷徨う。 幸にも目覚めたウェンディの前に現れたのは――竜王を名乗る美丈夫だった。 「命をかけ、勇気を振り絞って助けてくれたあなたを妃として迎える」 「お、畏れ多いので結構です!」 「それではあなたの忠実なしもべとして仕えよう」 「もっと重い提案がきた?!」 果たしてウェンディは竜王の求婚を断れるだろうか(※断れません。溺愛されて押されます)。 さくっとお読みいただけますと嬉しいです。

番が見つけられなかったので諦めて婚約したら、番を見つけてしまった。←今ここ。

三谷朱花
恋愛
息が止まる。 フィオーレがその表現を理解したのは、今日が初めてだった。

夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました

氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。 ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。 小説家になろう様にも掲載中です

竜王陛下の番……の妹様は、隣国で溺愛される

夕立悠理
恋愛
誰か。誰でもいいの。──わたしを、愛して。 物心着いた時から、アオリに与えられるもの全てが姉のお下がりだった。それでも良かった。家族はアオリを愛していると信じていたから。 けれど姉のスカーレットがこの国の竜王陛下である、レナルドに見初められて全てが変わる。誰も、アオリの名前を呼ぶものがいなくなったのだ。みんな、妹様、とアオリを呼ぶ。孤独に耐えかねたアオリは、隣国へと旅にでることにした。──そこで、自分の本当の運命が待っているとも、知らずに。 ※小説家になろう様にも投稿しています

つがいなんて冗談じゃない

ちか
恋愛
交通事故に巻き込まれ、気づいたら異世界に飛ばされていた高梨澪。 その世界で澪は神子様であると言われる。曰く神子様はただ存在するだけでいいと。 それだけでもいっぱいいっぱいなのにさらに王弟殿下の番であると判明し…… 異世界異文化に悩みながら果たして澪に幸せは訪れるのか。 不定期更新です。 このお話はフィクションです。登場する人物、団体、名称などは架空です。実在のものと関係ありません。 センシティブな内容を含みます。ご注意下さい。

【完結】これでよろしいかしら?

ここ
恋愛
ルイーザはただの平民だった。 大人になったら、幼馴染のライトと結婚し、畑を耕し、子どもを育てる。 そんな未来が当たり前だった。 しかし、ルイーザは普通ではなかった。 あまりの魅力に貴族の養女となり、 領主の花嫁になることに。 しかし、そこで止まらないのが、 ルイーザの運命なのだった。

処理中です...