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第13話 番が番を誤認事件 (リーシャ.バレンティノの場合)

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もうすぐ皇城の正門に到着というタイミングで通信が入る。

「リーシャ、今陛下から通信が来た。第2門に迎えを行かせたから、そちらに向かってくれと」

「お迎えですか?テリオン様の信頼出来る方なら良いですが、一応彼らダーグリオンに警戒する様に伝えておきますね」

急な呼び出しに急な入城場所の変更、警戒するに越した事はないけど、先導隊は大丈夫だったかしら?

警備に引っかかると厄介出し見つかっても厄介だから反則技使っちゃたのよね。

アレなら気付かれず警備突破できるはず。
作ってる時は楽しかったけど、いざ実践すると利用者次第では問題ありすぎる物かもしれないわ。

アレは7人以外使用できない様に登録してあるけど、あれ以上は量産してはいけないわね。




第2門前に到着すると、既に迎えが門の前で待っていた。





皇太子自ら迎えに出向いていた。
そのまま目で付いて来いと合図され案内された場所はなんと皇太子妃の薔薇宮トリカゴ

厳重な結界に護られている為登録者以外入宮出来ないエリアになっている。まさに

皇太子妃の住まいエリアまで幾つかの扉がありその際奥の手前の一室に案内された。

その部屋の中には皇帝陛下と皇帝妃、皇太子妃がソフアに腰掛けていて、そこから少し離れた所に手足を縛り目隠しと猿轡された女が床に転がされ、縛られては居ないが目隠しをされた男が床に正座していた。


私達リーシャ&てリオンは皇帝陛下に手招きされ陛下達の隣に座らされた。

そして本来なら皇太子妃宮は専属近衛以外の男性は誰であろうと入る事はできないが、今回は特例でリーシャ専属護衛という事で立ち入りを許可される。



入り口に2人、リーシャの後ろに1人控えたがいずれも完璧に気配を消しているので、陛下達は話し始める頃には護衛の事など気にならなくなっていた。




リーシャはこの部屋に入ってから微かに香っている甘い匂いにやっぱりこれかとゲンナリしていた。

きっとこの香りは陛下達やテリオンには単なる香水程度の認識だろうが、転がされている女は兎獣人、そして目隠しの男は猫獣人これは!間違いなくアレだわ!


問題はこの世界にあるという事、私の記憶と認識ではこの世界のは存在しないはずの植物のだったんだけどな~、

誰かが人工的に作ったと考えた方がいいかもしれない。

偶然?この植物をなぜ知ってる?その効果も知っていて作ったのよね。

この植物だけではここまで虚になるかしら?この香りだけではわからないわ!やはり現物が必要ね!



思い空気の中1人リーシャは床の2人を観察しながら今後の行動を思案していると、何とも言えない重い空気、居心地の悪さを感じていると、やっと沈黙の中 陛下が口火を切った。



「テリオン、こんな時間に呼び出して、すまないなぁ、まだ番休暇中だというのに…………、何しろ急を要する案件でな~、しかも我々ではお手上げ状態で是非リーシャ夫人の力を借りたくて、」

「兄上、ここに転がっている者達の様子であらかた察しはつきますが、出来れば面倒ごとにリーシャを関わらせたくないのですが、今回の事は私達の耳にも入ってきてましたし、ターゲットが絞られてるのが気になってましたから、ハァ、まぁいいでしょう、具体的にはリーシャに何を?」

「リーシャ夫人が持つスキルの中に鑑定スキルがあるだろう?我が魔法省にも鑑定スキル持ちは居るがその者でも鑑定出来ないんだ!」

「魔法省の魔導士が鑑定出来ない?相手の魔力が高い場合はスキルを弾かれますが、この者達はどう見ても魔力はかなり低いように思えるんですが」

「確かにお前のテリオンのいう通りこの者たちの魔力は低いが、うちの魔導士は鑑定の為に瞳を覗くのだが、その際一時的ではあるが魅了を受けたように思考を阻害されてしまうようなんだ、リーシャ夫人はこのままこ奴らが転がされた状態で鑑定できるだろう?こ奴らが今どういう状態か鑑定して欲しいんだが!そして、可能ならこの男を元の状態に戻して欲しいんだ。10日以内に。どうだろう?頼めるか?」

10日かぁ、状態異常は解除できるけど、解毒は材料次第かな~

「どうだ?リーシャ、出来そうか?嫌なら断ってもいいんだぞ!」

「お、おい!テリオン!」

テリオン様……、兄弟とはいえ陛下の頼み断ってもいいとか言っちゃダメでしょ!
私も気になってた案件だし、キャロとも相談する必要ありそうだけど、

「陛下、この方達は男性が被害者で女性が加害者という事でしょうか?」

「そうだ!その男は猫獣人で皇太子の側近で10日後妖精族の女性と結婚する事になっていたんだ。それで相手の女性は10日前から結婚準備で妖精国に帰省しているから大ごとにはなってない!出来れば此奴の番が帰って来る前になんとかしたいのだ!
番がいるにも関わらず番以外の女性とするなんてありえないんだ。ましてコイツは番が見つかる前も真面目で番に操と立てるという徹底ぶりで、番がやっと見つかって、すぐ婚約まで漕ぎ着け、
先月念願の魔力交換したばかりなんだ。
魂合わせは結婚してからすると言ってその後は控えめにしていたぐらい大切にしていたのに、10日前突然そこの女がまとわりつき始めて、注意したんだが、彼も番が居るし番意外は興味ないと必死に拒んでいたのだが、昨日から様子がおかしくなって拒まないのだ。
それで今日あわや,最悪の事態になる寸前で確保したのだが、」

ああ、最悪の事態って番が居るのに番以外と番ってしまうってことかな?この女性シーツでグルグル巻きって事はそういう事よね?一応未遂?



「成る程、わかりました。鑑定してみますね。」

どうせなら2人いっぺんに鑑定しちゃおう。

対象に手をかざし無詠唱で鑑定を発動させた。


【猫獣人 魔剣士】
属性ー風
錬金レベル3


冒険者ランクA


武器-疾風黒刃刀

**状態異常**
酩酊 発情初期 幻覚 弱麻痺 魅了
魔力回路異常


【兎獣人 見習い侍女】

属性-水
家事スキル2

**状態異常**
魔力増幅 発情中期 魅了魔法印



魔法印?
成る程~瞳の中か~うまいこと考えたわね、
薬と魔法の重ねがけね!

誤認するわけだわ!この人は既に番が居たから周りにも気付かれ本人も荒がったのね
それで魔法回路異常が起きたのね。

魔力回路異常って本人も辛いし治療難しいのに、酷いことするわね!


「陛下、鑑定完了しました。」

「おお、そうか、して結果は?」

「はい、予想通りだと思いますが、酩酊 発情初期 幻覚 弱麻痺 魅了
魔力回路異常を起こしています。魔力回路異常以外は状態異常を解除できてます。
ただ魅了は使われた成分が全て判明しないと完全に解除できないので今のところ応急処置となります。
魔力回路は1回1時間の治療を2日間受けてもらえば傷ついた回路の治療が出来ます。
ただし、治療後は2日間魔力の使用を禁止してくださね。その間に解毒薬用意しますので、、、隔離、そうだ!治療完了するまでうちで預かっていいですか?」

「「え」」

「リ、リーシャ、うちで?いくらなんでもそれは、(俺とリーシャの家に他のオスは入れたくないな)」

「テリオン様、魅了に関しては応急処置なの!ここでまた被害に遭わないとも限らないでしょ!魔力回路も傷ついてるし、回路の治療にはあと2日はかかるのよ!我が家に滞在してもらった方が効率いいと思うの、研究所の仮眠室なら解毒薬の調整しながら治療できるし、キャロにも診てもらいたいし、ね!
いいでしょ~」

「研究室、(そっちか!)なら警備も万全出し問題ないな!いいよ(本邸なら断固反対だがな)」

「ありがとう、テリオン様」

「陛下と皇太子殿下もそれでいいか?しばらくコイツを預かるが結婚式には間に合う様に治療するよ。婚約者にはうまく説明しておいくれよ!
一応こちらもカリッシュ公爵夫人に協力してもらう事になるからカリッシュ公爵通して妖精国王にも報告しておくよ」




「「頼む」」

「兄上、お礼は番休暇延長って事にするか?」

「!!ま、待て待て、これ以上は、それ以外で頼む!それにこの件に関して調べる事がある!出来れば直ぐにでも復帰して欲しいんだ!」

ですよね~この件は早めに手を打った方が良さそう。

「テリオン様!鉄は熱いうちに打て!ですよ!」

「「「「⁇?」」」」

「よくわからないが、協力しろって事だよな!じゃぁ、協力の礼はリーシャから頂くとするか」

「ほぇ?」

「じゃぁ、兄上そういう事で、そこに転がってる男連れて行くぞ!女はそっちでなんとかしろ!」








リーシャ.バレンティノ  番誤認事件に協力したら番にお礼を要求された。



お礼されるの私じゃね?なんでお礼する側?











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