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30 穏やかな日々の先には

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ルビーとの生活は予想以上に穏やかでゆっくりとした時間を過ごす事ができていた。

自給自足生活も案外悪くない。いや、かなり楽しい。

畑をつくり作物を育て森の樹々にはたくさんの恵みがある。

最近はパン作りにはまり専用カマドまで作ってしまった。毎日焼きたてのパンを持ってルビーと狩に出たり果物を取ってジャムを作り、川で釣りしたり裸で泳いだり自由気ままに生活をしていた。

いつの間にかルビーは完全な成獣になっていてここではあえて小さくなる必要がないのでそのままの大きさで過ごしている。私の背を軽々超えて2mはあるんじゃないかしら?それに口調も変わった、可愛い弟みたいだったのにすっかり大人って感じで頼れる兄さんみたいになったのよ。

おかげで、ハウスを大きくする必要があって、ついでにとあれこれ作っていたら、簡素なログハウスがいつの間にかちょっとした豪邸に様変わりしていた。

なんせ、時間もたっぷりあるし資源も豊富で使いたい放題、石材もたんまりあるし水源も豊富、お風呂なんかいつでも入れる、なんなら泳げてしまう広さになってしまった。

作ろうと思えばなんでも作れちゃうのよ!

ここでの生活で心に開いていた穴も自然と埋まってきていた。


あれからどれくらい経ったのだろう、1年か2年か時間に囚われない生活してるとどれくらい経ったのかわからないもんです。

実は場所は教えていないがグロリアお母様だけには時々手紙を出している。
未だ、お兄様は店の合間に私を探しているらしいが、お母様は知らんぷりしているみたい。私がしたいようにすればいいと、女心がわからない馬鹿な男どもは、ほっといて自由に生きなさいとただ元気でいてくれればそれでいいと言ってくれた。


この森に来てすごくいい薬草が手に入りアンチエイジングの凄い美容品ができた、いくつになっても心配かけているお母様にいつまでも若く生き生きと生活して欲しいと手紙と一緒にお母様に送ったら、物凄く若返ってしまったらしく、大喜びだった。どうせならとお父様にも飲ませたら、2人揃って若返りどういう効果なのか分からないが……ゴホン!この度ご懐妊となったそうです。お父様なんか咽び泣いて喜んでいたらしい。

こうなると当然私と連絡取ってることはバレているが、私が望まない限りお兄様には教えないと言っていたが、そもそもこの場所お父様知らないでしょ!っと心の中で突っ込んだ!

産まれたら、顔見に行くと伝えてある、可愛い弟か妹か、どっちかな?楽しみにしてるんですよ。





『リリィ、今日はあの結界の境界にある湖畔でお昼食べながらのんびりしようよ』

珍しく?いや、始めてルビーの方から誘われた?いつもはどこに行く?何する?と聞いてくるのに、

『湖畔?ええ、いいわよ、でも初めてじゃないルビーからお誘い受けるの、どういう心境なの?いつもは聞いてもリリィの行きたい所にしようって言うのに、』

『う~ん、なんかいいことありそうな予感がするんだ~』

『そうなの~ふふ、そういえば昨日からご機嫌だったわね!ルビーが楽しいならそれでいいわ!じゃぁ支度するから、蜂蜜持ってきてくれる?蜂蜜を使ったマスタードチキンサンドとフルーツサンドを作るわ』

『蜂蜜!やった!マスタード少なめも作ってよ!』

『え?ルビーはマスタード好きだったでしょ?』

『いいの、いいの!早く作っていこうよ』

いつになくテンションの高いルビーに急かされながら、支度して湖畔にきた。

この湖畔は丁度私が張った結界の境界線になってる、私が寝ている時ルビーは湖面に写る星を見るために時々ここに1人できていると言っていた。確かに夜は綺麗なんだろう、今度私も誘ってもらおう、……起きれたら…だけど。

敷物を敷いてぼーっとキラキラとゆらめく水面を眺めていた。

隣のルビーのもふもふを撫でながら、ふと、どうしてるかな~っと思っていたら、突然ルビーが立ち上がり私の後ろを見て

『リリィ、来たよ。入れていいよね』

『え?何??』

ガサリと音がして後ろを振り向くとそこには……たった今……私が頭に思い浮かべた人が……こっちに向かって歩いてきた。

……どうして?

真っ直ぐ私を見据え目の前まできた。

突然すぎて頭が真っ白で……しばらく無言で見つめ合い……そして突然私の視界が塞がれた。その瞬間、“ドクンドクン“と早い鼓動が聞こえ、優しい香りが鼻腔をつき自然と腕を回していた。

暫く抱きしめ合っていた私の耳元で…………と彼の優しい声がした。
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