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五十五話 挑戦。
しおりを挟む俺、プラム、アリアは屋敷の習練場を通り過ぎて、習練場の隣にまでやってきていた。
その習練場の隣には空地があって、空地にはいくつもの植木鉢が置かれていて若草色の葉に、青色の花が咲き誇っている。
『おーすごく育っているねー』
プラムがその青色の花を見て、パッと笑顔になる。
そして、青色の花へと駆け寄るのだった。
『そうだな。綺麗に咲いている』
『ふふ、『ペラート草』の青い花がこれだけ多く咲いているところは見れません。知っている人が見たら目を剥いで驚くでしょう』
プラムの後ろから俺とアリアは頷いて近づいていく。
ペラート草は市場で高価で取引されて、主に効能の高い傷を癒すポーションに使われていると聞いていた。
これが先に言っていた俺の……思いついた金稼ぎの第一歩となっているのは言うまでもない。
ただ、なぜペラート草を栽培して金稼ぎにしようとしているのか、それの説明は少し回りくどくなる。
まず、きっかけはプラムの書いた論文だった。
その論文は前に行われたピオニール競技会の研究部門で発表されたものであった。
ちなみに、論文のことを知ったのはピオニール競技会でプラムと会った時に話題が上がったからで。
そして、後日プラムから論文の写しを貰って読んだのだ。
論文の内容というのが魔物の住まう領域の土を用いてペラート草の栽培に成功したと言うもので。
更にペラート草以外にも魔物が住まう領域の土には様々な貴重な草花の成長を促進する効果があったという判明したという論文だった。
画期的だと評されたその論文であったが、実用レベルまで持っていこうとした時、根本的な問題点としては二つほどあった。
一つ目は魔物が住まう領域の土でペラート草を栽培した後、再び同じ土でペラート草を栽培できなかったこと。
二つ目は魔物が住まう領域の土を運び出した後に、しばらく置いておくとペラート草を栽培できなくなってしまうこと。
プラムは論文の中で、その二つの問題を解決して実用レベルに落とし込むには人工的に魔物が住まう領域の土を作り出す必要だと。
そして、その土を作り出すには魔物の血肉が関係しているのではないかと書いていた。
論文に書いてあった魔物が住まう領域の土と同質の土を人工的に作り出すことができたら……もはや革命レベルのことが起こる。
俺はそう思った。
それを俺が成したのなら?
この世界のすべてを見て回るほどのお金が稼げるのではないだろうか?
もちろん、そんな簡単ではないだろう。しかし俺には前世での知識があるのだ。
もしかしたら、役立って出来ちゃうかもしれない……。
まぁ、そんな不純な考えではあるんだが、俺も魔物が住まう領域の土を人工的に作り出すのに挑戦することにしたのだ。
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