54 / 57
五十四話 思いつき。
しおりを挟む
金稼ぎの方法については、行き詰まり悩んだ。
しかし、夏の動けない時に考える時間はいっぱいあったので、一つ思いついた。
それが……。
ガチャ。
俺が体を起き上がらせようとしたところで、扉が開いた。
「ただいま帰りました」
部屋に入ってきたのはリナリーに抱えられたアリアだった。
俺の重い腰を上げて帰ってきたアリアを出迎えるべく近づいていく。
俺が近づいていくと、アリアはパッと笑う。
そして、リナリーに降ろしてもらうとしゃがんで俺の頭を撫で……抱きしめてくる。
これが魔法学園から帰ってきたアリアのルーティンになっていた。
ちなみに、リナリーはアリアを部屋まで届けると他の仕事があるのか、すぐに部屋をあとにした。
しかし、アリアはこんなもふもふを抱きしめて、夏の時期とかは毎回暑くないのかなと思っていた。
てか、俺の方は暑かった。
「ノヴァーふにゅーひんやりとさらさらのモフモフが止められません」
まぁ……アリアが気持ちよさそうなので、やめてくれとは言えなくなってしまっているのだけど。
十五分ほど経って、俺の首元の辺りのもふ毛に顔を埋めて頬ずりしていたアリアであったが、何か思い出したように顔を上げた。
「は! ……そうでした。いけません。いけません」
アリアは付けていた【ハーネットの指輪】にマナを込めると指輪の青い石が薄く光りだした。
そして【ハーネットの指輪】を付けている右手で俺の頭を撫でる。
『ノヴァ、プラムが待っていたんでした』
プラムはアリアが通っている魔法学園の友人。
ガーネイルド辺境伯家の三女でプラム・ファン・ガーネイルドと言う名前である。
プラムって頭がすごい良いらしく。しかも、なかなか鋭いんだよね……。
油断ならん。
話した訳ではないけど、俺が聖獣の銀猫であることに気付いているかも知れない。
『あぁ……アレの進捗具合を確認しに来たのかな』
『はい。そう言っていました』
アリアが立ち上がろうとした時、締めたアリアの部屋の扉が再び開いた。
そして、アリアの部屋の中に入ってきたのは少し不機嫌そうなプラムであった。
「もう遅いよ。僕をいつまで待たせるのかな?」
「あ、プラム、すみません。ノヴァ成分を補給していました」
「何を言っているんだか……ノヴァは暑苦しいだけだよねぇ」
プラムは俺を見るとニッと笑うと、近づいてきて頭をワシワシと撫でてくる。
彼女には俺の心が読めているのだろうか?
やっぱり油断ならん。
「そ、そんなことはありません。喉だってゴロゴロなっていますし。実際にノヴァは暑苦しいなんて言っていませんよ」
「ふふ、そうかなぁ? まぁいいや。それより早くノヴァとお話がしたいから【ハーネットの指輪】を私にも使ってよ」
「まだ、ノヴァの成分の補給が終わっていませんが、仕方ありませんね」
アリアは仕方ないと言った様子で、【ハーネットの指輪】を付けた右手でプラムの頭を撫でる。
すると、プラムの声が俺の頭の中に流れ込んできた。
『や、久しぶりだね。ノヴァ』
『いや、三日前にも会っているから久しぶりという訳ではないだろに』
『そうかな? 僕には長く感じたよぉーワシャワシャ』
プラムはさっきアリアに俺が抱きしめられると熱いのでは言っていた割に……今度はアリアから奪うように俺を抱きしめてきた。
そして、ワシャワシャと俺のもふ毛を撫でまわした。
それを見たアリアが不満げな表情で唇と尖らせる。
『むぅ……プラムは今日何か用事があったのではなかったのですか?』
『アリア、僕はノヴァと感動の再開を楽しんでいるんだ。もう少し待ってくれても罰は当たらないと思うよ?』
『プラムは三日前にも同じようなことを言ってノヴァを離してくれませんでした』
『ふふ、そうかな? そんな昔のことは忘れてしまったよ。うお? ノヴァ、また大きくなった?』
プラムは気にした様子もなく、アリアの問いに答える。
そして、俺の体を持ち上げようとしたところで大きくなり続けている俺の体に付いて触れた。
俺の体はプラムが言うようはこの四カ月で体が人間の二歳児くらいの大きさにまで成長していた。
『うむ、やっぱりいっぱい寝ているから。成長が早いんだろうな』
『ふふ、素晴らしいもふもふに成長しているね。あ……このままだと、アリアもぬかしちゃうんじゃない?』
『そ、そんなこと絶対にありませんよ。私はまだまだこれから……身長はグングンと伸びて、すらっとした大人の女性になるのです』
『どうかな? 奇跡にも限界があるからね』
『な、私の成長は奇跡前提なんですか?!』
『ふふ、ノヴァ、そろそろ行こうか。栽培しているところに』
『待ってください。私も行きますから』
プラムは小さく笑って、俺をグイッと持ち上げて抱っこした。そして、立ち上がってアリアの部屋から出て行った。
そのプラムの後ろを追いかけるように、アリアもついてきた。
しかし、夏の動けない時に考える時間はいっぱいあったので、一つ思いついた。
それが……。
ガチャ。
俺が体を起き上がらせようとしたところで、扉が開いた。
「ただいま帰りました」
部屋に入ってきたのはリナリーに抱えられたアリアだった。
俺の重い腰を上げて帰ってきたアリアを出迎えるべく近づいていく。
俺が近づいていくと、アリアはパッと笑う。
そして、リナリーに降ろしてもらうとしゃがんで俺の頭を撫で……抱きしめてくる。
これが魔法学園から帰ってきたアリアのルーティンになっていた。
ちなみに、リナリーはアリアを部屋まで届けると他の仕事があるのか、すぐに部屋をあとにした。
しかし、アリアはこんなもふもふを抱きしめて、夏の時期とかは毎回暑くないのかなと思っていた。
てか、俺の方は暑かった。
「ノヴァーふにゅーひんやりとさらさらのモフモフが止められません」
まぁ……アリアが気持ちよさそうなので、やめてくれとは言えなくなってしまっているのだけど。
十五分ほど経って、俺の首元の辺りのもふ毛に顔を埋めて頬ずりしていたアリアであったが、何か思い出したように顔を上げた。
「は! ……そうでした。いけません。いけません」
アリアは付けていた【ハーネットの指輪】にマナを込めると指輪の青い石が薄く光りだした。
そして【ハーネットの指輪】を付けている右手で俺の頭を撫でる。
『ノヴァ、プラムが待っていたんでした』
プラムはアリアが通っている魔法学園の友人。
ガーネイルド辺境伯家の三女でプラム・ファン・ガーネイルドと言う名前である。
プラムって頭がすごい良いらしく。しかも、なかなか鋭いんだよね……。
油断ならん。
話した訳ではないけど、俺が聖獣の銀猫であることに気付いているかも知れない。
『あぁ……アレの進捗具合を確認しに来たのかな』
『はい。そう言っていました』
アリアが立ち上がろうとした時、締めたアリアの部屋の扉が再び開いた。
そして、アリアの部屋の中に入ってきたのは少し不機嫌そうなプラムであった。
「もう遅いよ。僕をいつまで待たせるのかな?」
「あ、プラム、すみません。ノヴァ成分を補給していました」
「何を言っているんだか……ノヴァは暑苦しいだけだよねぇ」
プラムは俺を見るとニッと笑うと、近づいてきて頭をワシワシと撫でてくる。
彼女には俺の心が読めているのだろうか?
やっぱり油断ならん。
「そ、そんなことはありません。喉だってゴロゴロなっていますし。実際にノヴァは暑苦しいなんて言っていませんよ」
「ふふ、そうかなぁ? まぁいいや。それより早くノヴァとお話がしたいから【ハーネットの指輪】を私にも使ってよ」
「まだ、ノヴァの成分の補給が終わっていませんが、仕方ありませんね」
アリアは仕方ないと言った様子で、【ハーネットの指輪】を付けた右手でプラムの頭を撫でる。
すると、プラムの声が俺の頭の中に流れ込んできた。
『や、久しぶりだね。ノヴァ』
『いや、三日前にも会っているから久しぶりという訳ではないだろに』
『そうかな? 僕には長く感じたよぉーワシャワシャ』
プラムはさっきアリアに俺が抱きしめられると熱いのでは言っていた割に……今度はアリアから奪うように俺を抱きしめてきた。
そして、ワシャワシャと俺のもふ毛を撫でまわした。
それを見たアリアが不満げな表情で唇と尖らせる。
『むぅ……プラムは今日何か用事があったのではなかったのですか?』
『アリア、僕はノヴァと感動の再開を楽しんでいるんだ。もう少し待ってくれても罰は当たらないと思うよ?』
『プラムは三日前にも同じようなことを言ってノヴァを離してくれませんでした』
『ふふ、そうかな? そんな昔のことは忘れてしまったよ。うお? ノヴァ、また大きくなった?』
プラムは気にした様子もなく、アリアの問いに答える。
そして、俺の体を持ち上げようとしたところで大きくなり続けている俺の体に付いて触れた。
俺の体はプラムが言うようはこの四カ月で体が人間の二歳児くらいの大きさにまで成長していた。
『うむ、やっぱりいっぱい寝ているから。成長が早いんだろうな』
『ふふ、素晴らしいもふもふに成長しているね。あ……このままだと、アリアもぬかしちゃうんじゃない?』
『そ、そんなこと絶対にありませんよ。私はまだまだこれから……身長はグングンと伸びて、すらっとした大人の女性になるのです』
『どうかな? 奇跡にも限界があるからね』
『な、私の成長は奇跡前提なんですか?!』
『ふふ、ノヴァ、そろそろ行こうか。栽培しているところに』
『待ってください。私も行きますから』
プラムは小さく笑って、俺をグイッと持ち上げて抱っこした。そして、立ち上がってアリアの部屋から出て行った。
そのプラムの後ろを追いかけるように、アリアもついてきた。
0
お気に入りに追加
289
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されて辺境へ追放されました。でもステータスがほぼMAXだったので平気です!スローライフを楽しむぞっ♪
naturalsoft
恋愛
シオン・スカーレット公爵令嬢は転生者であった。夢だった剣と魔法の世界に転生し、剣の鍛錬と魔法の鍛錬と勉強をずっとしており、攻略者の好感度を上げなかったため、婚約破棄されました。
「あれ?ここって乙女ゲーの世界だったの?」
まっ、いいかっ!
持ち前の能天気さとポジティブ思考で、辺境へ追放されても元気に頑張って生きてます!

【完結】聖女にはなりません。平凡に生きます!
暮田呉子
ファンタジー
この世界で、ただ平凡に、自由に、人生を謳歌したい!
政略結婚から三年──。夫に見向きもされず、屋敷の中で虐げられてきたマリアーナは夫の子を身籠ったという女性に水を掛けられて前世を思い出す。そうだ、前世は慎ましくも充実した人生を送った。それなら現世も平凡で幸せな人生を送ろう、と強く決意するのだった。

【完結】『飯炊き女』と呼ばれている騎士団の寮母ですが、実は最高位の聖女です
葉桜鹿乃
恋愛
ルーシーが『飯炊き女』と、呼ばれてそろそろ3年が経とうとしている。
王宮内に兵舎がある王立騎士団【鷹の爪】の寮母を担っているルーシー。
孤児院の出で、働き口を探してここに配置された事になっているが、実はこの国の最も高貴な存在とされる『金剛の聖女』である。
王宮という国で一番安全な場所で、更には周囲に常に複数人の騎士が控えている場所に、本人と王族、宰相が話し合って所属することになったものの、存在を秘する為に扱いは『飯炊き女』である。
働くのは苦では無いし、顔を隠すための不細工な丸眼鏡にソバカスと眉を太くする化粧、粗末な服。これを襲いに来るような輩は男所帯の騎士団にも居ないし、聖女の力で存在感を常に薄めるようにしている。
何故このような擬態をしているかというと、隣国から聖女を狙って何者かが間者として侵入していると言われているためだ。
隣国は既に瘴気で汚れた土地が多くなり、作物もまともに育たないと聞いて、ルーシーはしばらく隣国に行ってもいいと思っているのだが、長く冷戦状態にある隣国に行かせるのは命が危ないのでは、と躊躇いを見せる国王たちをルーシーは説得する教養もなく……。
そんな折、ある日の月夜に、明日の雨を予見して変装をせずに水汲みをしている時に「見つけた」と言われて振り向いたそこにいたのは、騎士団の中でもルーシーに優しい一人の騎士だった。
※感想の取り扱いは近況ボードを参照してください。
※小説家になろう様でも掲載予定です。
聖女を騙った少女は、二度目の生を自由に生きる
夕立悠理
恋愛
ある日、聖女として異世界に召喚された美香。その国は、魔物と戦っているらしく、兵士たちを励まして欲しいと頼まれた。しかし、徐々に戦況もよくなってきたところで、魔法の力をもった本物の『聖女』様が現れてしまい、美香は、聖女を騙った罪で、処刑される。
しかし、ギロチンの刃が落とされた瞬間、時間が巻き戻り、美香が召喚された時に戻り、美香は二度目の生を得る。美香は今度は魔物の元へ行き、自由に生きることにすると、かつては敵だったはずの魔王に溺愛される。
しかし、なぜか、美香を見捨てたはずの護衛も執着してきて――。
※小説家になろう様にも投稿しています
※感想をいただけると、とても嬉しいです
※著作権は放棄してません

魔法が使えない令嬢は住んでいた小屋が燃えたので家出します
怠惰るウェイブ
ファンタジー
グレイの世界は狭く暗く何よりも灰色だった。
本来なら領主令嬢となるはずの彼女は領主邸で住むことを許されず、ボロ小屋で暮らしていた。
彼女はある日、棚から落ちてきた一冊の本によって人生が変わることになる。
世界が色づき始めた頃、ある事件をきっかけに少女は旅をすることにした。
喋ることのできないグレイは旅を通して自身の世界を色付けていく。

ぽっちゃりおっさん異世界ひとり旅〜目指せSランク冒険者〜
ぽっちゃりおっさん
ファンタジー
酒好きなぽっちゃりおっさん。
魔物が跋扈する異世界で転生する。
頭で思い浮かべた事を具現化する魔法《創造魔法》の加護を貰う。
《創造魔法》を駆使して異世界でSランク冒険者を目指す物語。
※以前完結した作品を修正、加筆しております。
完結した内容を変更して、続編を連載する予定です。

チート幼女とSSSランク冒険者
紅 蓮也
ファンタジー
【更新休止中】
三十歳の誕生日に通り魔に刺され人生を終えた小鳥遊葵が
過去にも失敗しまくりの神様から異世界転生を頼まれる。
神様は自分が長々と語っていたからなのに、ある程度は魔法が使える体にしとく、無限収納もあげるといい、時間があまり無いからさっさと転生しちゃおっかと言いだし、転生のため光に包まれ意識が無くなる直前、神様から不安を感じさせる言葉が聞こえたが、どうする事もできない私はそのまま転生された。
目を開けると日本人の男女の顔があった。
転生から四年がたったある日、神様が現れ、異世界じゃなくて地球に転生させちゃったと・・・
他の人を新たに異世界に転生させるのは無理だからと本来行くはずだった異世界に転移することに・・・
転移するとそこは森の中でした。見たこともない魔獣に襲われているところを冒険者に助けられる。
そして転移により家族がいない葵は、冒険者になり助けてくれた冒険者たちと冒険したり、しなかったりする物語
※この作品は小説家になろう様、カクヨム様、ノベルバ様、エブリスタ様でも掲載しています。

【完結】蓬莱の鏡〜若返ったおっさんが異世界転移して狐人に救われてから色々とありまして〜
月城 亜希人
ファンタジー
二〇二一年初夏六月末早朝。
蝉の声で目覚めたカガミ・ユーゴは加齢で衰えた体の痛みに苦しみながら瞼を上げる。待っていたのは虚構のような現実。
呼吸をする度にコポコポとまるで水中にいるかのような泡が生じ、天井へと向かっていく。
泡を追って視線を上げた先には水面らしきものがあった。
ユーゴは逡巡しながらも水面に手を伸ばすのだが――。
おっさん若返り異世界ファンタジーです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる