神様の気遣いで転生したら聖女のペットに……。明日からは自立のため頑張って働こうと思う。

太陽クレハ

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五十四話 思いつき。

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 金稼ぎの方法については、行き詰まり悩んだ。

 しかし、夏の動けない時に考える時間はいっぱいあったので、一つ思いついた。

 それが……。

 ガチャ。

 俺が体を起き上がらせようとしたところで、扉が開いた。

「ただいま帰りました」

 部屋に入ってきたのはリナリーに抱えられたアリアだった。

 俺の重い腰を上げて帰ってきたアリアを出迎えるべく近づいていく。

 俺が近づいていくと、アリアはパッと笑う。

 そして、リナリーに降ろしてもらうとしゃがんで俺の頭を撫で……抱きしめてくる。

 これが魔法学園から帰ってきたアリアのルーティンになっていた。

 ちなみに、リナリーはアリアを部屋まで届けると他の仕事があるのか、すぐに部屋をあとにした。

 しかし、アリアはこんなもふもふを抱きしめて、夏の時期とかは毎回暑くないのかなと思っていた。

 てか、俺の方は暑かった。

「ノヴァーふにゅーひんやりとさらさらのモフモフが止められません」

 まぁ……アリアが気持ちよさそうなので、やめてくれとは言えなくなってしまっているのだけど。

 十五分ほど経って、俺の首元の辺りのもふ毛に顔を埋めて頬ずりしていたアリアであったが、何か思い出したように顔を上げた。

「は! ……そうでした。いけません。いけません」

 アリアは付けていた【ハーネットの指輪】にマナを込めると指輪の青い石が薄く光りだした。

 そして【ハーネットの指輪】を付けている右手で俺の頭を撫でる。

『ノヴァ、プラムが待っていたんでした』

 プラムはアリアが通っている魔法学園の友人。

 ガーネイルド辺境伯家の三女でプラム・ファン・ガーネイルドと言う名前である。

 プラムって頭がすごい良いらしく。しかも、なかなか鋭いんだよね……。

 油断ならん。

 話した訳ではないけど、俺が聖獣の銀猫であることに気付いているかも知れない。

『あぁ……アレの進捗具合を確認しに来たのかな』

『はい。そう言っていました』

 アリアが立ち上がろうとした時、締めたアリアの部屋の扉が再び開いた。

 そして、アリアの部屋の中に入ってきたのは少し不機嫌そうなプラムであった。

「もう遅いよ。僕をいつまで待たせるのかな?」

「あ、プラム、すみません。ノヴァ成分を補給していました」

「何を言っているんだか……ノヴァは暑苦しいだけだよねぇ」

 プラムは俺を見るとニッと笑うと、近づいてきて頭をワシワシと撫でてくる。

 彼女には俺の心が読めているのだろうか?

 やっぱり油断ならん。

「そ、そんなことはありません。喉だってゴロゴロなっていますし。実際にノヴァは暑苦しいなんて言っていませんよ」

「ふふ、そうかなぁ? まぁいいや。それより早くノヴァとお話がしたいから【ハーネットの指輪】を私にも使ってよ」

「まだ、ノヴァの成分の補給が終わっていませんが、仕方ありませんね」

 アリアは仕方ないと言った様子で、【ハーネットの指輪】を付けた右手でプラムの頭を撫でる。

 すると、プラムの声が俺の頭の中に流れ込んできた。

『や、久しぶりだね。ノヴァ』

『いや、三日前にも会っているから久しぶりという訳ではないだろに』

『そうかな? 僕には長く感じたよぉーワシャワシャ』

 プラムはさっきアリアに俺が抱きしめられると熱いのでは言っていた割に……今度はアリアから奪うように俺を抱きしめてきた。

 そして、ワシャワシャと俺のもふ毛を撫でまわした。

 それを見たアリアが不満げな表情で唇と尖らせる。

『むぅ……プラムは今日何か用事があったのではなかったのですか?』

『アリア、僕はノヴァと感動の再開を楽しんでいるんだ。もう少し待ってくれても罰は当たらないと思うよ?』

『プラムは三日前にも同じようなことを言ってノヴァを離してくれませんでした』

『ふふ、そうかな? そんな昔のことは忘れてしまったよ。うお? ノヴァ、また大きくなった?』

 プラムは気にした様子もなく、アリアの問いに答える。

 そして、俺の体を持ち上げようとしたところで大きくなり続けている俺の体に付いて触れた。

 俺の体はプラムが言うようはこの四カ月で体が人間の二歳児くらいの大きさにまで成長していた。

『うむ、やっぱりいっぱい寝ているから。成長が早いんだろうな』

『ふふ、素晴らしいもふもふに成長しているね。あ……このままだと、アリアもぬかしちゃうんじゃない?』

『そ、そんなこと絶対にありませんよ。私はまだまだこれから……身長はグングンと伸びて、すらっとした大人の女性になるのです』

『どうかな? 奇跡にも限界があるからね』

『な、私の成長は奇跡前提なんですか?!』

『ふふ、ノヴァ、そろそろ行こうか。栽培しているところに』

『待ってください。私も行きますから』

 プラムは小さく笑って、俺をグイッと持ち上げて抱っこした。そして、立ち上がってアリアの部屋から出て行った。

 そのプラムの後ろを追いかけるように、アリアもついてきた。
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