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四十二話 星空。
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競技が進んでいって三十分が過ぎた時にアリアの番が回ってきた。
ちなみに現在のトップは炎属性の魔法を使っていたリック・ファン・ブレンダーの三十四枚であった。
アリアは一人で舞台に上がると、観客からはより一層の声援が上がった。
その声を聞いて俺は目を見開いて回りを見る。
『凄い声援だな』
『ふふ、当たり前ですよ』
リナリーは自分のことのようにうれしそうに胸を張った。
ただ、俺には実感がなくて首を傾げた。
『そうなのか?』
『はい。アリア様には聖女としての名声がありつつ、この魔法学園に主席で合格を果たし話題のお人ですから』
『それは前にも聞いたが……まぁ、これでアリアの凄さを実際に見れるという訳だな』
『ふふ、それはここに集まったほとんどの人が気になっていることなんですよ。アリア様はほとんど人前に出るお方ではないですから』
リナリーの言葉を聞いて、俺はアリアに視線を向けた。舞台の上で観客の声援を受けたアリアは恥ずかしそうにしながらも胸に手を置く。
そして、ふうーっと長く息を吐いた。
『スターリー・スカイ』
アリアが魔法を呟くと手を広げた。
そして、どこからともなく液体が集まってきてフヨフヨと上空に浮かび上がってボウリングの玉サイズの球体になった。
続いて、そのボウリングの玉サイズの球体は薄く輝いくと弾けて、数にして百個ほどのピンポン玉サイズの球体となって散らばった。
最後にそのピンポン玉サイズの球体はアリアを中心に周囲を回り始める。
魔法に関して素人な俺でも魔法の準備段階を見るだけで、先ほどまでの出場者よりもアリアが数段上手であることが分かった。
『ほう、これはまるでアリアの周囲で星が公転しているようだ。すごい……』
『ふふ、だから言ったではありませんか』
競技開始の合図とともにフリスビーが飛ばされた。
アリアはフリスビーを視認すると、右手を前に突き出してパチンと指を鳴らしてみせた。
すると、アリアの周囲で回転していた水球の一つが鋭い千本という針状の武器のように変位し、スパーンっとフリスビーの中央を精確に打ち抜いた。
それから、次々に発射されるフリスビーをミスなく魔法で打ち壊していた。
『凄いな』
『ふふ、当たり前です。【スターリー・スカイ】は私とアリア様で考えたアリア様のオリジナル防衛魔法なのです。あの魔法が機能している状態でアリア様に近づくのは私でも難しいでしょう』
『オリジナル防衛魔法? なんかすごいけど。防衛魔法になんでフリスビーを破壊する攻撃力を備えているんだ?』
『攻撃は最大の防御でもあるのですよ』
『……そうか、確かに』
『まぁ……ノヴァが言う通りにあの魔法は本来能動的に迎撃するものではないのでミスが出るかもしれませんね』
アリアは発射されたフリスビーを次々に精確に破壊していった。
ただ、リナリーが言った通り逸れるように飛んだフリスビーを外すことがまれにあった。
それで最後のフリスビーを破壊し終えると、ワンダが再びマイクを持って姿を現した。
『アリア・ファン・ロ-ベル。先生がちょっと嫉妬してしまうほどに美しい水属性のオリジナル魔法だった! 先生、びっくりしちゃった! ほら、あんなに騒がしかった観客もあまりの魔法にびっくりして黙ってしまっているぞ!』
「「「……ワアアアアアアアア!」」」
アリアの魔法に圧倒されて静かになっていた観客達がワンダの声で我に返る。
そして、盛大な歓声と拍手が円形闘技場全体を埋め尽くした。
『それで、競技の結果だが……五十枚発射されたフリスビーの内で破壊したのは四十五枚だ! トップだったリックを大きく抜いて現在トップだ!』
ワンダはアリアに近づいていき。アリアの肩を抱いて見せた。
『はぁはぁ……疲れました』
『よく頑張ったぞーアリア。少し休んで回復するんだな』
『はい』
『えっと、それで次の出場者に行こうか。次の出場者は……』
ワンダは、アリアを抱えながら舞台からはけていく。
それに入れ替わるように、次の出場者が舞台に上がってきた。
それから、競技は続いたがアリアの記録を抜くものは現れず、アリアは実技部門の第一の競技を一位通過したのだった。
ちなみに現在のトップは炎属性の魔法を使っていたリック・ファン・ブレンダーの三十四枚であった。
アリアは一人で舞台に上がると、観客からはより一層の声援が上がった。
その声を聞いて俺は目を見開いて回りを見る。
『凄い声援だな』
『ふふ、当たり前ですよ』
リナリーは自分のことのようにうれしそうに胸を張った。
ただ、俺には実感がなくて首を傾げた。
『そうなのか?』
『はい。アリア様には聖女としての名声がありつつ、この魔法学園に主席で合格を果たし話題のお人ですから』
『それは前にも聞いたが……まぁ、これでアリアの凄さを実際に見れるという訳だな』
『ふふ、それはここに集まったほとんどの人が気になっていることなんですよ。アリア様はほとんど人前に出るお方ではないですから』
リナリーの言葉を聞いて、俺はアリアに視線を向けた。舞台の上で観客の声援を受けたアリアは恥ずかしそうにしながらも胸に手を置く。
そして、ふうーっと長く息を吐いた。
『スターリー・スカイ』
アリアが魔法を呟くと手を広げた。
そして、どこからともなく液体が集まってきてフヨフヨと上空に浮かび上がってボウリングの玉サイズの球体になった。
続いて、そのボウリングの玉サイズの球体は薄く輝いくと弾けて、数にして百個ほどのピンポン玉サイズの球体となって散らばった。
最後にそのピンポン玉サイズの球体はアリアを中心に周囲を回り始める。
魔法に関して素人な俺でも魔法の準備段階を見るだけで、先ほどまでの出場者よりもアリアが数段上手であることが分かった。
『ほう、これはまるでアリアの周囲で星が公転しているようだ。すごい……』
『ふふ、だから言ったではありませんか』
競技開始の合図とともにフリスビーが飛ばされた。
アリアはフリスビーを視認すると、右手を前に突き出してパチンと指を鳴らしてみせた。
すると、アリアの周囲で回転していた水球の一つが鋭い千本という針状の武器のように変位し、スパーンっとフリスビーの中央を精確に打ち抜いた。
それから、次々に発射されるフリスビーをミスなく魔法で打ち壊していた。
『凄いな』
『ふふ、当たり前です。【スターリー・スカイ】は私とアリア様で考えたアリア様のオリジナル防衛魔法なのです。あの魔法が機能している状態でアリア様に近づくのは私でも難しいでしょう』
『オリジナル防衛魔法? なんかすごいけど。防衛魔法になんでフリスビーを破壊する攻撃力を備えているんだ?』
『攻撃は最大の防御でもあるのですよ』
『……そうか、確かに』
『まぁ……ノヴァが言う通りにあの魔法は本来能動的に迎撃するものではないのでミスが出るかもしれませんね』
アリアは発射されたフリスビーを次々に精確に破壊していった。
ただ、リナリーが言った通り逸れるように飛んだフリスビーを外すことがまれにあった。
それで最後のフリスビーを破壊し終えると、ワンダが再びマイクを持って姿を現した。
『アリア・ファン・ロ-ベル。先生がちょっと嫉妬してしまうほどに美しい水属性のオリジナル魔法だった! 先生、びっくりしちゃった! ほら、あんなに騒がしかった観客もあまりの魔法にびっくりして黙ってしまっているぞ!』
「「「……ワアアアアアアアア!」」」
アリアの魔法に圧倒されて静かになっていた観客達がワンダの声で我に返る。
そして、盛大な歓声と拍手が円形闘技場全体を埋め尽くした。
『それで、競技の結果だが……五十枚発射されたフリスビーの内で破壊したのは四十五枚だ! トップだったリックを大きく抜いて現在トップだ!』
ワンダはアリアに近づいていき。アリアの肩を抱いて見せた。
『はぁはぁ……疲れました』
『よく頑張ったぞーアリア。少し休んで回復するんだな』
『はい』
『えっと、それで次の出場者に行こうか。次の出場者は……』
ワンダは、アリアを抱えながら舞台からはけていく。
それに入れ替わるように、次の出場者が舞台に上がってきた。
それから、競技は続いたがアリアの記録を抜くものは現れず、アリアは実技部門の第一の競技を一位通過したのだった。
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