神様の気遣いで転生したら聖女のペットに……。明日からは自立のため頑張って働こうと思う。

太陽クレハ

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二十四話 バシートの石板。

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 ◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・◆



 ノヴァサイドに戻る。

 ◆・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・◆

 ギルバートの側付きだというローブのきた女性……ローラを後ろに付いてアリアと俺は歩いていた。

 そして、ある扉の前でローラが立ち止まり、振り返る。

「#$%$$『$%&%%%%』#$%$$%部屋$%$$$」

「#$%%%、ありがとうございます」

 むむむ、アリアに教えてもらった基本的な単語はある程度覚えることができて一応……聞き取ることができる。

 それでも、会話のほとんどの意味を把握することができない。

 むむむ……難しいなぁ。

 てか、みんな喋るの早すぎる。

 えっと、えっと、今の言葉は命令形の発音じゃなかったから……。

 えっと。えっと。アレ?なんだっけ?

「%%%$、私%%&&&&&」

 俺が何を話していたのか聞き取ろうしていたのだが、ローラは姿勢よくお辞儀すると、そのまま去っていった。

 彼女を見送るとアリアは魔導具の【ハーネットの指輪】を通して、俺の頭の中にアリアの声が響いた。

『ここの部屋に『バシートの石板』があるそうです』

『そんな話をしていたのか。俺も何とか言葉を理解しようとしているんだが、難しいな』

『新しい言語を一から勉強するのは大変でしょう。ゆっくりやっていきましょう』

『あぁ、ありがとう……って、こんな廊下で立ち話ではなく、早く部屋の中に入ろうぜ』

『あ、すみません。では、扉を開けますね』

 アリアと俺の二人は『バシートの石板』の石板があるという部屋に入っていった。

 その部屋は十帖ほどの広さがあり、細長の窓がいくつかあるだけで、薄暗くひんやりとしていて少し肌寒かった。

 そして、縦に二メートル、横に六十センチ、厚み二十センチくらいある透明な板が中央に鎮座しているだけだった。

 俺は透明な板に近づいて、見上げるように眺めた。

『石板と言いつつ、透明な板だったんだな。いやー、それにしてもでっかい、倒れてきたら死んじゃうだろうなー』

『ふふ、では、さっそく『バシートの石板』を使わせてもらいましょうか?』

『そうだなって、アリアはこれに使い方が分かるのか?』

『はい。私も一度使ったことがありますから』

『そうなのか。じゃ俺はどうして居たらいいんだ?』

『えっと、ノヴァは石板のどこでもいいので手を付いていてくれればいいです。私が魔法陣にマナを注ぎますので』

『そうか? 分かった』

 俺が石板に手を置くと、アリアは離れていき部屋の端まで行った。

 そして、しゃがむと床に手を置いた。

『では、始めます』

『おう、なんか緊張するな』

 アリアが一回深く息を吐く。

 すると、アリアの座っている辺りから、床が白く輝きだした。

 その白い光は、部屋全体に広がっていき、『バシートの石板』を中心に幾何学模様が浮かび上がらせた。

 何だろう? これは?

『これが……魔法陣と呼ばれるものです』

『へーこれが』

 俺が首を傾げていると、予測したようにアリアがその幾何学模様の説明をしてくれた。

 アリアの説明を受けて俺は興味深く再び床に浮かび上がった魔法陣とやらを見回した。

 なかなか、綺麗だな。

 俺がのんきなことを考えていると、アリアが『バシートの石板』を見つめて声をかけてきた。

『あ……そろそろ、ノヴァのスキルが『バシートの石板』に浮かび上がってきますよ』

 アリアの言った通り、『バシートの石板』には金色の線で何やら文字が写し出されていく。

『お……そうか? ……って俺が見ても読めないんだけど』

『あ……そうでしたね。では私が訳していきますね。【定変者(さだめをかえるもの)】【火炎龍】【変身】【斬撃】【肉体強化】【巨大化】【食育】の七つ……ですね』

『へぇ……これでスキルとやらはわかったのか?なんか変わった名前のスキルが多いな』

『ええ、そうですね……』

 アリアは茫然とした表情で『バシートの石板』を見つめながら頷く。

 その様子に違和感があった俺はアリアに問いかける。

『ん? 何か問題でもあったのか?』

『へ? あ……すみません。見覚えのないスキルばかりだったので驚いてしまって』

 アリアは床から手を放して立ち上がった。

 すると、『バシートの石板』に映し出されて文字と白く輝く魔法陣が徐々に消えていった。

『へーそんなすごいんだ?』

『それは……間違いなく……はい。すごいスキルだと思います』

『そうか。えっと、どうやって使うのかな? アリアが分かるやつあるか?』

『ノヴァ、このスキルの話は屋敷に帰ってからにしましょう』

『あ……うん』

『いえ、早く行きましょうか?』

 俺としては教会内を見て回りたかったんだが、アリアは有無言わせぬと言った感じで部屋を後にして、そのまま俺とアリアは教会を後にすることになった。

 その時、俺もアリアも気付くことはなかったが、『バシートの石板』のあった部屋に、赤い目を持つ黒色のネズミが潜んでいたことを……。



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