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第8話 魔法学校へ、行けるかな

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「俺、魔法学校に行きたいんですけど!」

 それは、朝食の席でのこと。
 魔法についてあれこれ聞いてから、どこか魔法が習えるところはないかと調べていた。身分は王子なので、もしかしたら家庭教師をつけてくれるかもしれないが、魔法学校があると聞き、ぜひそこへ行ってみたいと我が儘は承知で頼んでみることにした。この王都にも魔法学校が1つあり、15歳以上であれば誰でも入学できるらしい。
 自分できちんと魔法が使えれば何かの役に立つだろうし、ダウジング的な魔法があれば自分を召喚した魔術師も見つけられるかもしれない。それに…。

 こっち来たからには魔法使いになってみたいし!

「魔法学校?うちの魔術師たちに教わればいいじゃないか」

 いきなり言い出したため、やはりグアノ国王には怪訝な顔をされた。

「それも考えましたが、外の世界のことも知っておきたいと思いまして。籠の鳥ではいられません」

 国王はそう言うだろうと思って、ラニは反論する言葉を考えてきた。「それはそうだが」と、うーんと唸って国王は顎に手を当てた。

「魔法学校なんて、随分積極的になったものね、ラニ」

 しまった。あんまり出しゃばると変に思われるな。

「まあ、お前は私たちの中で一番素質があるんだし。いいのでなくて?」

 意外にも、ユーディアはラニを応援してくれているようだ。てっきり彼女には反対されると思っていたので嬉しかった。そこへ、アウインが割って入る。
 
「学校は良いとして、もう今年の入学式は終わっただろう。入りたいなら来年になるぞ」

 そうか、いつでも入学できるわけじゃねーよな…。あんまり待ちたくないんだけど。

「魔法講座があるから、それに行ったらどう?」

 ユーディアがラニに提案してきた。

「なんですか、それ?」
「学校の生徒じゃない人に向けて開かれてるの。少しばかりお金はかかるけれど」
「じゃあ俺、それにします!」

 午前中、さっそく広場にある掲示板を確認してみると、魔法講座が今週末に3つほど予定されていたが、その中で1つだけ初心者向けと書かれていた講座があった。

     ❝ 超初心者向け基礎医療魔法〈傷を治すための簡単でお手軽な魔法〉❞

「これにしようかな」
「医療魔法ですか」
「傷がすぐ治ったら便利かなって思って。トギが怪我したら直すよ」
「だからといってわざと怪我させて実験台にしないでくださいね」
「しねーよ!」

 俺も、いよいよ魔法デビューか!

 物語でさんざん読んだものの、まさか魔法使いになれるなど予想できようか。魔法使いになった自分を妄想して、掲示板を見る顔がニヤニヤしてしまう。

「今、魔法を使ってる自分カッコイイって思いましたでしょう?」
「…なんでわかるんだよ」
「いえ、顔がふにゃふにゃに歪んでいたので」
「楽しいこと想像するとそうなるだろ」
「さっきの顔はちょっと気持ち悪かったですけどね」

 まったく!気楽にしていいっては言ったけど、イジってくるのか!こんな人だとは。

「講座は真面目な顔で出てくださいね」
「わかってるよ。真顔でやりますぅ!」

 ラニの胸は高鳴っていた。もしこの場に誰もいなければ、きっと踊っていただろう。
 魔法講座に夢が膨らむばかりのラニであった。


 







 
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