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第六章 Dに復帰は水泳で

第十二話 真実はいつも一つ?名探偵サーチ?…なんですよね…(何で?なのよ!)

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(…?こいつらイヤに弱いわね…?)

リングブレードで斬り裂くとすぐに塵状になって消滅する。
おかしい。海で戦った人魚の巣の人魚モドキと比べれば格段に弱くなってる。
これは…。

(≪雷光弾≫エレキバレット)

マーシャンの雷魔法が炸裂して人魚モドキの動きが鈍る・・・・・

(鈍る…?おかしい!)

何かがおかしい。何か…。

ふと≪偽物≫イミテーションで作り出しているリングブレードに目が行く。
 私はハッとなった。

(そうか!人魚の巣の時はMP節約のために普通の鉄で…!)

今はミスリル製だった。
…ということは…!

(オシャチさん!人魚モドキ達こいつらを水流で水から弾き出して!)

「…?わ、わかりやした!」

 顔に?を浮かべながらもオシャチさんが言われたとおりにする。
オシャチさんが魔法で強力な水流を展開し、人魚モドキ達が一気に押し流される。
そして水面から弾き出され…そして戻ってくることはなかった。

(え?人魚はどこへ…?)

 (…たぶん…)

…土に還ってるわ。

(…サーチ?)

私はムリヤリ・・・・笑顔を浮かべて。

(何でもないわ。先に進みましょう)

率先して泳ぎ始めた。


しばらく泳ぐと水面が見えてきた。

…ザバア!

 「ぷはあ…ふう、ギリギリだったわね」

 「ぶはあ!あ、足がつかニャいニャ!足がつかニャいニャー!」

 「…エイミア、リルうるさいから岸にあげて」

 「わかりましたー!ちょっと待っててください」

エイミアがリルを引き摺りあげる。リルは上陸してからもカタカタ足が震えていた。
そしてすぐに。

…ばしゃっ!

 「ばはあ!ゲホゲホゲホ…」

マーシャンが到着した。

 「姐さん!大丈夫ですかい!?」

マーシャンを抱えてきたオシャチさんが後から出てきた。
そしてマーシャンを押し上げる。

 「ゲーホゲホゲホゲホ…あ、危ないところじゃったのう…」

 「申し訳ありやせん!あっしのMPの回復力が姐さんの消費に追いつかないばかりに…」

 「いや、お主のせいではない…ワシの魔力操作の腕が落ちたのかのう…?」

…なるほどね。
 間違いない。

 「まあ詮索は後にしましょ。ここでしばらく休憩してから出発ね…あとリル」

 「ニャ…なんだ?」

 「ちょっと道の確認したいから…いい?」

 「?…ああ…」


やはり水に浸っていなかった場所にはモンスターはいない。炎系のモンスターの死体があるだけだ。

 「もう少し行ったら…左だったわよね、リル?」

 「ん…ちょっと待て…そう、左」

そして左に曲がっていく。
すると。

 「…あれ?」

 行き止まりだった。

 「ちょっとリル?違うじゃない?」

 「ああ?…わりぃわりぃ逆だったわ」

 「…戻りましょうか」

 一番最後にいたオシャチさんの肩をポン、と叩いて引き返した。


ここからだった。何かがおかしくなったのは。


 「ちょっと!また違うじゃない!しっかりしてよリルさん・・・・!」
 「何だよサーチ・・・・・・!あってるぞ!地図どおりだ!」

 「はあ!?しっかり見てないだけでしょ!?」

 「なんだコラア!?」

しばし罵声の応酬。
ん~…何か険悪な空気に…。

 「あの~…落ち着いてくだせい」

オシャチさんに宥められて私も矛を収める。

 「なんでしたら折衷案ということで…あっしがマッパー役になりましょうか?」

…さすがの貫禄。こういう時は頼りになるわ。

 「そうね…お願いしようか」

 「ああ…そうだな」

…そんな私達のやり取りを見ているエイミアはなぜか首を傾げていた。


 「…こっちでやすね」

オシャチさんがマッパー役を買って出てくれてからはスムーズに進む。

 「ねえサーチ」

 「何?」

 「さっきからおうぐっ」

 私は慌ててエイミアの口を塞ぐ。

 「なんであんたは一回おさまったことに首を突っ込むの!」

 「ふぐぐぐぐっ!」

 「いい!?とりあえず黙ってなさい・・・・・・

エイミアは顔色を変えて激しく頷いた。


 「…この奥が守護神ガーディアンがいる部屋でやすね」

ここが…ね。

 「じゃあオシャチさん…ご苦労様!」

ザシュッ!

 「ぐああっ!」

そう言って私はオシャチを斬った・・・・・・・・

 「な、何をしておるサーチ!混乱しおったのか!?」

…は?

 「マーシャン…あなた…」

…マジで気づいてなかったの?

 「ぐ、ぐああ!ぎゃあああ!!」

じゅうう… 

「オシャチ…!?な、何故傷が…?」

 「そうよ。なんでミスリル・・・・で斬られて治らない・・・・のかしらね」

 私はオシャチのほうを向いて。

 「で?私達を騙そうとしていた死霊魔術士ネクロマンサーさんの目的はなに?」


よくよく考えてみれば最初からおかしかったのだ。
まずは海上で襲ってきた人魚の巣。世界各地で報告されている人魚の巣と酷似しているが…一つだけ決定的に違う点があった。
それはマーシャンの≪雷光弾≫エレキバレットの直撃を受けたのにも関わらず人魚モドキが痺れただけ・・・・・だったことだ。
 自分達にとっては致命的な弱点だったはずの雷属性なのに。
つまりあの人魚モドキは水属性ではない・・・・・・・
これはこのダンジョンに出た人魚モドキにも共通していた。


 「ぐ…!」

 痛そうにしながらも憎しみを込めた目で睨みつけてくるオシャチ。
その視線が今の推理を肯定してるようなものよ!

 「次は私とリルの張った罠ね」

エイミアがはっとした。

 「やっぱり…!何か様子がおかしいと思いました…」

 罠といっても至って単純。
 怪しい、と思い始めていた私はリルを呼び出して談合。
で、わざと守護神の元へ行かない・・・・・・・・・・ように道を間違うようにする。
だんだんと守護神の部屋から離れていけばオシャチは焦りだす。そのタイミングで言い争いを始める、と。言い争いの合図が私の「リルさん」でリルの「何だよサーチ」が了承の合図だったのだ。

 「…そしたらあなたが代役を買って出てきた。これで疑惑が確信になったわ」

 「な、なんのことですかい!?確かにあっしは死霊魔術士ネクロマンサーでやす。しかしそれだけで変な疑惑を向けられるのはお門違いってもんで!」

ふふ…最後まで抵抗してくれてありがとう。

 「じゃあ決定的証拠ってヤツね」

 「な、何を…」

 「マーシャン、さっき水の中で≪水中呼吸≫が続けられなくなったわよね?」

 「む?う、うむ。ワシのミスですまなんだの」

 「…ホントにマーシャンのミス?」

 「…そうじゃの…途中でいきなりMPが足りなくなったような感触じゃったから制御を失敗して」

 「もしかしていきなり・・・・オシャチからのMP供給が少なくなったんじゃない?」

 「む…!?」

 「それって…人魚モドキの襲来・・・・・・・・と重なってない?」

 「!!…そうじゃ!モンスターを迎撃しようとするとMPが…」

そりゃそうよね。
マーシャンにMPを供給しながら死霊魔術を使ってれば…MPも足りなくなるわよね。 

 「つまり!あの船を襲った人魚の巣も!巣から出てきた人魚モドキも!あなたが創ったアンデッドだったのよね!」

だから水面から弾き出されて陸地に落ちた人魚モドキは土に還った。
それにミスリルはアンデッドの弱点だしね。

 「この水こそがあなたと人魚モドキを繋ぐ魔力操作の糸代わりだった…違う?ここの守護神・・・さん?」

…魔力操作の糸を水で代用するなんて守護神ガーディアンクラスじゃないとムリよ。

 「へ…へへへ…はははは…そこまでバレてたのか」

ただ…こんな手の込んだことをしてまで何をしたかったのかは…本人に聞くしかないかな。

 「そうだよ…私がこのダンジョンの守護神ガーディアンだ」

 自白ゲットだぜ!
よし!いま!

 「…真実はいつも一つ!」

こ、こ、これがやってみたかったー!!

 「…ふん、お前みたいなおめでたい格好したハレンチ女に気づかれるとはへぶぅ!!ぎゃ!ぐきゃ!」

 「サーチ!やめろ!おい、みんなで止めろー!」

 気分がぶち壊しよ!

 「ぶっっ殺す!」

 「ぎゃ!ぎゃ!や、やめて!いぎゃ!ぎゃああああああ!」
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