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第六章 Dに復帰は水泳で

第六話 ダンジョン?知らない行かない気にしな〜い♪…ではすまない運命なんですよね……

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「わ、わふー!?」

うん、我ながら変な驚き方したな。

 「あっしら人魚族は種族スキルを2つ持っておりやす。その1つが≪人化≫でやす」

…変な驚き方サラッと流されたわね…まあいいけど。

 「へ~…もうスキル飛び越えて魔法よね…そういえば息は大丈夫なの?」

 「へい、≪人化≫している間は仮の肺ができやすので」

なにそれ…。

 「ただ≪人化≫している間は一切人魚の能力を使えなくなりやすので…」

 「あ、そっか…普段とは全く違う姿になるわけだしね」

 「はい…ぶっちゃけ海に落ちれば溺れやす」

 人魚なのに!?

 「人魚に戻れば…あ、強力なスキルって何か反動があるんだっけ?」

 「よくご存じで。≪人化≫による反動は『約半日人魚に戻れない』と『人魚の能力を一切使えない』です」

 「まあ半日戻れないってのはわからなくはないけど…人魚の能力が使えないって大変なの?」

 「あっしらの主力はやはり水の力。それが使えないと厳しいしいでやすね」

 「えーと…肉弾戦のみ?」

 「そうなりやす。あっしは人間この姿の時を想定した訓練をしてやすので問題ないっすが…何もしてない連中が≪人化≫した場合は人間のガキにも喧嘩で敗けやすね」

 弱いな!ショボいな!

 「…信用してくれてるのはありがたいんだけど…いいの?人魚自分達の弱点を話しちゃって?」

 「姐さんの下で働く方なら問題ないぐげっ」

 「なんで私がマーシャンの手下になるのよ!?」

 「それは失礼しやはぎゃっ」

 「誰が誰の手下だって!?言って良いことと悪いことがあるだろ!!」

 「そこまで姐さんをこき下ろさなくてもあぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ」

 「私がなんでマーシャンの部下なんですか!!否定するまで痺れさせますよ!」

…。
…。
…。

 「あれ?オシャチさーん?あれ?サーチ?リル?何でみんな倒れてるの?」

…だから周りを巻き込むなって言ってるでしょ…。


 「エイミア!あんた3日間発電禁止よ!」

 「え~…わかりましたよぅ…」

 私やリルならともかく…生まれも育ちも水属性のオシャチさんにはキツすぎたみたいね…。
 口から煙を吐きながら気絶してる…。

 「で?肝心な姐さんはどこ行ったのよ?」

 「あれ?そういやいねぇな…」

 「マーシャンでしたら森の方へ行きましたよ?」

 森へ…?


 「…やはりか。わかった…妾が向かおう」

…?

 「何してるの?」

 「のわあっ!」

いきなり背後から話しかけてやったんだけど…マーシャン背後ガラ空きね。

 「な、なにをするか!」

 「なにをするか…じゃないわよ!厄介事オシャチさん置いてきぼりにしてどこ行ってんのよ!」

 「おお、忘れておったわ…すまぬすまぬ。少し気になることがあったのでな」

 気になることって…。

 「…オシャチさんが人魚の巣に取り込まれた理由?」

 「…そなたは本当に敏いの。妾の知る限り人魚の巣が女性に手を出したことは無いはず…何か異変が起きているのか否か…」

 「それで樹に頭をくっつける?」

 「これは樹を媒体とした遠隔念話じゃよ。森におるハイエルフじゃったら誰とでも念話できる」

…ハイエルフ限定の固定電話みたいなものか。

 「それでわかったんじゃが…獄炎谷フレイムキャニオンの近くに住むエルフからの情報でな」

獄炎谷フレイムキャニオンで何かあったの?

 「…正直信じられぬが…獄炎谷フレイムキャニオンから炎が消えたらしい・・・・・・・・

 「…は?」

 炎が…消えた?

 「……獄炎谷フレイムキャニオンから炎が消えたら…ただの谷よね」

 「…確かに…そうじゃな」

 「だったら…簡単に攻略できてラッキーじゃん!」

めっちゃ簡単に“八つの絶望”ディスペア・オブ・エイトの一角が崩せるじゃない!
獄炎谷フレイムキャニオンって言えば鉱物の宝庫!ちょうど懐具合も寂しいから…!

 「まさに渡りに舟!」

…沈んだけどね。

 「さっきから何じゃ…?らっき?渡りに舟?何のことやら…?」

あ、しまった。
…ていうかマーシャンは私の秘密前世は知ってるんだったっけ。

 「前世のことわざよ」

 「そうかそうか…それよりもじゃ。簡単に攻略云々と言っておったが」

うん、言ったよ。

 「無理じゃ」

 「なんでよ!」

 「炎は消えたのじゃが…代わりに水が溢れてきた・・・・・・・

は…はは。
まさに火攻め水攻め。


その後マーシャンを伴ってエイミア達と合流。
マーシャンの情報を元に、これからの行動を考えることにした。
2分で決まった。

 「ダンジョン探索不可能ってことですよね?なら堂々と温泉だけ・・行けますよ!」

あ!そうだった!
 私達のパーティの目的はあくまで温泉!ダンジョンなんて二の次三の次だったんだ!

 「オッケー!ならダンジョンなんて無視無視!今回こそは温泉だけ満喫するわよ!」

 「「賛成!」」

 「……獄炎谷フレイムキャニオンから水が溢れでるという超異常事態じゃぞ?よいのか?」

 「「「いいんです!」」」

 「…そうじゃ!ちょうど人魚のオシャチがおるのじゃ!水の中はお手のもの…」

 「てい」

 「はうっ!?…がく」

 「あ、姐さん!?…テメエら姐さんに手ェ出したら承知し」

 「てい」

 「ねぇ…がくっ」

ふぅ。
たく、マーシャンも稀に・・鋭いこと言うんだし。

 「あららら大変。2人ぶっ倒れちゃった。こういう場合は?」

 「湯治だな」

 「湯治ですね」

 「よーし!それじゃハクボーンへ緊急搬送だー!」

 「「おー!」」


そして。
めっっちゃ足取りが軽くなった私達は一週間かかる行程を3日で走破してハクボーンに到着した。
その間マーシャンとオシャチさんが目覚めそうになるたびに私の手刀が煌めいた。


 「さーて!入るわよー!」

 手始めに町の入り口近くにある公衆浴場に突入。
エイミアやリルがあたふたしている間に全部脱ぎ捨て。

 露天風呂に…。

 「お客さん待ってー!そこの風呂なん…」

へ!?
どぼおん!

 「ひやゃゃゃゃゃ~~!!」

 「だって…遅かったか」


ぶるぶるぶる… 

さ、寒い寒い…。

 「すまんな…早く言えばよかったな」

 「いえ…私達は」

 「サーチのおかげで難を逃れたからな」

 「か、かか感謝しなさいよ~…」

さすがにビキニアーマーはこういう時はキツい…。

 「それにしても…何で温泉が水になってんだよ?」

 温泉の管理人さんはため息をついてから教えてくれた。

 「それがな…獄炎谷フレイムキャニオンの炎が消えてから急に温泉が冷たくなりだしたんだよ…」


ガタガタガタ…
これってつつまり…。
やっぱりダンジョン行かなくちゃならないみたいで…。
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