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第十六章 冷たくて寒くてCになっちゃう…

第二十五話 今回は窪地の中での会話のみのお話です……が、三冠の魔狼《ケルベロス》から爆弾発言だらけ! なんですよね…

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「は、はろ~……えぶりばーでぃ~……」

『妙な言語を並べ立てて、誤魔化すのは止めてもらうぞ』

 ……すいません。

「すみません、少し良いでしょうか?」

『……我に用か、蛇の女王よ』

 蛇の女王!?

「あ、気にしないで下さい。『蛇の女王』というのは、メドゥーサの昔の呼び名ですから」

 あ、そうなの。
 もしかしてマーシャン的なパターン!? ……とか考えちゃった。

「お聞きしたい事は1つです。あなたは三冠の魔狼ケルベロスですか? それとも七冠の魔狼ディアボロスの1柱ですか?」

『……ほう、中々に敏いな。確りと核心に迫ってきよる』

「誉めて頂かなくても結構です。で、どちらなのですか?」

『……我は嘲笑い、求め、全てに関心を無くした者なり』

「……ふぅーっ、安心しました。サーチ、大丈夫です。この御方は私達に味方してくれると思いますよ」

「さっきの三つ首の言い回しからすると……あんたは私の腕を食い千切った……」

『うむ。我こそ三冠の魔狼ケルベロスなり』

 ぴしゃっ!

『……いきなり自分の腕を痛打するとは……。気が触れたか、番』

「やっかましいわ! あんた、腕を介してずーっと私達を監視してたのね!?」

『然り。我が番の動向を気にして、何が悪い』

「……温泉入ってるときとか、ヴィーと……ゴニョゴニョ……したときとか、ずっと覗いてたのね!!」

『はっはっは。我は寛容だ。女同士ならば許そうではないか』

「じゃかあしいわ!」

 ……ヴィーとリルとエイミアは、真っ赤になって明後日の方角を見てるし、リジーはうっとりとして私の腕を……うっとり?

「サーチ姉、凄い。呪われた腕……」

「……はあ?」

「勝手に喋る腕なんて、究極の呪われアイテム……」

 私の腕をアイテム扱いするのは、止めてくれないかな!?

「ああ、三冠の魔狼ケルベロス様……私の腕に移動しませんか?」

「え!? リジーいいの?」

「無問題、うぇるかむ、おこしやす~……です」

 ……ようわからんけど……移動するならしてほしい。

『はっはっは。面白い娘よな……良かろう、候補として考えておいてやろう』

「はは~、有り難き幸せ~~」

 ありがたいの、こんなのが?
 ……私は、左腕の三冠の魔狼ケルベロスの刺青をシゲシゲと見てみるけど……とても偉そうな存在には見えない。

『……番だからといって、何を考えても許されると思うなよ』

「あのねえ……あんたのやったことは、押し込み強盗がそのまま居着いた、てのと同じことよ! あんまりデカいツラしないでほしいわね」

『元々お前よりは大きいぞ、顔は』

 こ、こんのやろ~……。

「……絶対に夜中に落書きしてやる……それで? あんたは私達を助けてくれるの?」

『無論。我が番を助けずして、三冠の魔狼ケルベロスを名乗る事は出来ぬ』

「……そりゃどうも。で、あんたは今どんな状態なの?」

『我か? はっきり言えば身体から追い出された』

「追い出されたって……」

『まずは、我に関する事を話す。それによって七冠の魔狼ディアボロスがかなり理解出来よう』

「そうは言うけどよ……身体から追い出されて、番の腕に身を寄せることしかできないような、情けねえヤツだぜ? あてになるのかよ……」

 リルがボソボソと言ってることが、全て的を得ている気がする。

『……サーチよ、しばし左腕を借りるぞ』

「へ? 借りるって……ちょっとおおおおっ!?」

 私の左腕が外れて動きだした! ていうかキモい! 自分の左腕がウネウネ這っていくのって、マジでキモい!

「サーチ姉、腕の取り外し出来るんだ」

「できるわけないでしょ! 三冠の魔狼ケルベロスが勝手に離れていっただけよ!」

 這っていった私の腕は、リルの前で姿を変え……三冠の魔狼ケルベロスの姿になった。

『……何やら調子に乗っておるだな、子猫よ。我に楯突くのは構わぬが……お前の言動には実力が伴っておるのか?』

「フギャアア!? め、滅相もございません! 三冠の魔狼ケルベロス様に楯突くなんてとんでもない!」

『先程、我の事を「情けない」と貶していた勇敢な口は、何処へ行ったのだ?』

「ミギャアア!? そんな口はどっか行っちゃいました! 情けないのは私のほうです、ハイ!」

 全くだよ。
 情けないったら、ありゃしない。

『ならば黙って見ているが良い。同じ過ちを犯すなら、我が牙がお前を貫くぞ』

「は、はいい!」

 平身低頭なリルを見て満足した三冠の魔狼ケルベロスは、さっさと私の左腕に姿を変えて戻ってきた。ていうか私の左腕そのすがたで戻ってくるな!

「気味が悪いから止めて!」

『うむ? そうか……次回は考えよう』

 ……次回はないことを期待します。

「それで!? いい加減に本題に入ってほしいんだけど!」

『そうであったな。まずは我の説明からであったか……』


『……というわけで、立ちはだかる敵をばっさばっさと……聞いておるのか?』

「……もういい……」

『……何故だ?』

「あんたが元人間だったのは、よーーくわかったわ。だけどさあ……ほとんどあんたの武勇伝じゃないの!!」

 ……ガクブルのリル以外は寝てるし。

『何を言うか! ここが重要なのではないか!』

「わかった、わかったから! それより七冠の魔狼ディアボロスとあんたとの関係! そこが重要なんでしょ!」

『うむ? そうだったな。話が脱線してしまった……サーチの影響だ』

 うるさいわっ!

『では話を戻そう。我は魔王との戦いの末……』

 何と三冠の魔狼ケルベロス、人間時代にソレイユと戦ってました。

『魔王と意気投合し……』

 何と三冠の魔狼ケルベロス、ソレイユの親友でした。

“知識の創成”アカデミアの害悪性を認識させられ……魔王と手を組んだ』

 何と三冠の魔狼ケルベロス“知識の創成”アカデミアのダメさ加減でソレイユと同盟結びました。

『それで我は愛用の剣を魔王に預けた』

 何と……って? 愛用の剣!?

「それって“知識の聖剣”アカデミア!?」

『そうだ』

 ……って……まさか……。

「あんた……勇者だったの……?」

『もう少しで、“知識の創成”アカデミアに身体を奪われかけた……』

 な、何で……。

「何で勇者だったあんたが、三冠の魔狼ケルベロスに……」

『紆余曲折あったがな……全ては妻の為だ』

 妻!?

「既婚だったの!?」

『何故驚く。我は三冠の魔狼ケルベロスになる前はハイエルフ・・・・・だったのだ。結婚していても不思議はなかろう』

 またまた驚きの単語が!

「ハイエルフ!? じゃあマーシャンのことを知ってるの?」

『マーシャ?』

「違う違う! サーシャ・マーシャ。ハイエルフの女王よ」

『? ……待て。何故、我の昔の名と、妻の名を知っている?』

 ……は?

『サーシャは我の名で、マーシャは妻の名だが』

 ……はい?

『それに……妻は確かに女王だが……』

「え、ちょっと待ってください」
「確か未亡人だって婆様が言ってた……」
「ハイエルフの女王って……1人しかいない」

 ……マーシャンの旦那さん!?
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