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第十六章 冷たくて寒くてCになっちゃう…

第十八話 氷の壁を越えた先にあったのは……『私が知識の王なり!』 ……自称、真の守護神……なんですよね…

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 氷の壁が開いた先にあったモノは。

「ダンジョンコア……じゃねえな」

 そこにあったのは、複数の氷でできた台とテーブル。
 正面には真っ平らに磨き上げられた、映画のスクリーン並みの大きさの氷があった。

「何これ? 映画でも観ろっていうの?」

「えいが?」

「念話水晶に映し出されるような動く絵を、大画面で観られるようにしたヤツ」

「動く絵……なるほど……」

 動画って言っても通用したかな? ……まあいいか。

「座ればいいんでしょうか?」

 そう言ってエイミアが氷の椅子に座った。すると。

『御1人様、エントリー』

 ……と、氷の画面に文字が浮き上がった。

「え、えんとりい? ……??」

 エイミアが1人混乱している。
 エイミアが座ったら1人エントリーって出たわよね……。椅子の数は5つだから……つまり全員座りなさいエントリーしろってことか。

「みんな座りましょ」

「わかりました」

 ヴィーが率先して座る。すると。

『御1人様、エントリー。現在、2名』

 ……やっぱりそうなのね。なら……私も座ることにする。

『御1人様、エントリー。現在、3名』

 隣を見ると、ヴィーがニコニコしながら、私の腕に手を絡めてきた。

「………」

 そのさらに隣のエイミアが、なぜかブスッと剥れていた。

「次は私だな」

 そう言ってリルが座った。

 パンパカパンパンパーン♪

「「「「!?」」」」

 すると、突然ファンファーレが鳴り響く。当然、全員びっくりしてキョドってると……。

『ワーオ! イッツアビューティフルヒップ!!』

 ……という文字が画面に現れた。つまり……。

「な、何よこの椅子!? 単なるセクハラじゃないのよ!?」

『HAHAHA!』

 うるせえよ!

「げぇ~~……何か座りたくないな……」

「我慢しなさいよ。別に貶されてるわけじゃないんだし」

「……まあな。それよりもサーチ。お前に熱い視線が2人分突き刺さってるぜぽげぇ!」

 私をからかおうとしたリルの顔面に、エイミアの釘棍棒がめり込んだ。

「え、エイミア? あんた最近つっこみが激しくなってない?」

「自業自得です!」

 確かにそうだけど……おーい、リル。生きてますかーー?

「………」

「……へんじがない。ただのしかばねのようだ」

「しかばねじゃねえ!」

 あ、生きてた。
 血をダラダラと流しながらも、リルは着席した。

「……ねえ、ヴィー。リルを回復してあげたら?」

「全力でお断り致します」

「……だってさ。嫌われたわね~リル」

「何でだよ!」

「「サーチを貶したからです」」

「貶してねえよ、からかっただけだよ!」

「「同じです」」

「ぐっ……! くそ、何だってんだよ!……くぅ」

 リルは少し乱暴に椅子に座ると……そのまま夢の中へと旅立った。

「……サーチが?」

 ヴィーの問いに私が答えた。ヴィーの座る椅子に、即効性の眠り薬を塗った毒針を仕込んだのだ。

「何故?」

「……結構ヒドい出血だったじゃない。だからおとなしくさせたほうがいいかな~……と思って」

「……本音は?」

「リルって剥れるとブツブツうるさいから……って何を言わせるのよ!」

「……よくわかりました。やっぱり非情なサーチも素敵だと……ポッ」

 ……何でそうなるのかな……。可愛いけど。

「あ、しまったーー」

 ごすっ!

「……っ!」

 いきなり釘棍棒が飛んできて、私の足元に刺さった!

「あ、危ないわよ、エイミア!」

「すいませ~ん。何故か・・・手が滑りました~……」

 ……エイミアが最近怖いんですけど……。


 ……ていうか話が逸れた。

「忘れてたわ、リジーも座って……って、うわ!?」

「……現在進行形であります」

「び、びっくりした……! ていうか、いつの間に座ったの!?」

「サーチ姉が『ルって剥』と言ってた辺り」

「わかりにくいわよ! もうちょっとわかりやすく答えてくれないかな!?」

「……世界標準時間の午後3時28分18秒から29分22秒の辺り」

「……もういい」

 ……リジーにまともな答えを期待した私がバカだったわ……。

「でも画面には何も出てないけど……」

『ようこそ! 勇敢な5人の戦士達よ!』

 ……こいつもリジーのことを完全に忘れてたわね。

『私はこのダンジョンを守る守護神ガーディアン、“知識の王”なり!』

「え? ここの守護神ガーディアンって、もう倒されたって聞いたけど?」

『あれは前座の守護神ガーディアンに過ぎぬ。私こそが真の守護神ガーディアンなり!』

 守護神ガーディアンに前座なんてあるわけ!?

『ダンジョンコアにたどり着きたければ、私を倒す事だなり』

「はい」

 どがんっ!

 リジーが梯子で殴りつけた。

『ぐああ!? い、いきなり何をするなり!』

「何をするって、倒せと言ったから攻撃した」

『わ、私を倒すのに必要なのは力ではなく知識なり!』

 そう言う割には、リジーの攻撃はかなり効いてたみたいだけど……。

『私より知識が優れている事を示せ! それが私に勝つ条件なり!』

 なりなり、うるさいわねぇ……コロッケが好きなサムライロボットかっつーの。

「じゃあさ、どうやって知識を示せばいいのよ?」

『………HAHAHA!』

 ……考えてなかったのね。

「じゃあ、あなたが問題を出しなさい! それを私達が答える。これでどう?」

『何? 私に問題を出せと? ……フフフ……フハハハハハ! 笑止千万! 私が出す問題に答えられると!? 面白い。その提案、採用なり!』

「あの……答える時は、手を挙げればいいですか?」

 さすがにこの世界にクイズの早押しスイッチはないだろうし……。

「それでいいんじゃない?」

『では間違えた時は?』

「ブッブーー! でいいんじゃないかな?」

『何なのだ、その間抜けな音は!』

「間抜けな音だからこそ、間違えたときの音に最適なんじゃない?」

『うぬ……確かに。ならば間違えた者には、この音を鳴らして辱しめるなり!』

 ……辱しめになるの? あの音。

「何て屈辱的な音なんでしょう……!」
「生理的に嫌悪感を感じる……」
「こんな醜い音が存在するなんて……!」

 めっちゃ辱しめられてるし!

「あ、あんな音を浴びせられるくらいなら……氷水かけられるほうがマシです!」

 はっ!?

「「そうだそうだ!!」」

 はああああああっ!?

「ちょっと待ちなさいよ! 少し冷静に……」

『ならばそれを採用なり!』

 ウッソでしょおおおお!?


『問題! 世界で1番硬い金属は……』

「はい! オリハルタイト!」

『……ですが、1番思い金属は何? で、答えは……グラビティコアなり!』

 知るかあああああっ!

『はい、間違えたので……氷水なり!』

 ばっしゃああああん!

「ひえええええええええ………」


 結局、全員1回以上は氷水を被るハメになった。
 

 ばっしゃああああん!

「に゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!」

 ……寝てただけのリルも。
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