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第十六章 冷たくて寒くてCになっちゃう…

第六話 今度は純和風の民宿! 私的にはとっても当たりだったんだけど……やっぱり騒ぎになるんですよね…

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 熱血館を早々にチェックアウトした私達は、近くにあった民宿に移った。
 まるで江戸時代の武家屋敷を再現したかのような内装は、私にとっては「ドンピシャ!」だった。
 初めて見るであろう他の4人は、見慣れない様式に戸惑いつつも、興味津々のようだ。

「サーチ、この四角く囲ってあるのは何ですか?」

「囲炉裏よ。その真ん中に炭を入れて火を……ちょっと!」
「あっちいいいっ!」
「……だから火を起こすって言ってる最中だったのに……」

 火傷した指をヴィーに治してもらっている。どうやら、砂か何かだと思ったみたいね。

「おい、何だこれ!? 戸に紙が貼ってあるぞ!」

「ん? ああ、それは障子。破っちゃダメ『ぱすんっ!』……って言ってる間にもう!?」

「わ、わりぃ……『ぱすんっ!』……ニャ」

 また穴あけて! ……ってリル?

「ニャ! ニャ! ……アニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャニャ!!」

ぱすんっ! ぱすんっ! びりびりびり! ぶすぶすぶすぶすーっ!!

「こらああああああっ!! あんた何をしてくれてんのよ!!」

「つ、爪研ぎニャ! 爪研ぎだニャアアアア!」

「爪なんか研いでいいわけないでしょおおっ!!」

「に゛ゃあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!! ギブニャギブニャギブーー!!」

 お仕置きのアナコンダバイスに悶絶するリル。タップするけど無視。
 その間にヴィーが|≪修復≫《リペア》で破れた障子紙を直してくれた。

「サーチ姉、これ何?」

「今度はリジーなの? それは般若の面よ。道成寺で使うヤツ……って被っちゃダメだって!」

「え? 別に呪われてない」

 そういう問題じゃない!

「その面は……たぶん……超貴重品だから、丁寧に扱いなさ『ぱきっ』あああっ!? あんた何てことををををを!?」

真っ二つにしやがったよ、このバカ!

「サーチ、落ち着いて下さい。私が|≪修復≫《リペア》で直しておきますから」

「あ、あ、ありがとうううっ!!」

 ひしっ

「きゃあ!? サササーチ!?」

 あ、しまった。
 つい嬉しくて、修復中のヴィーをハグしちゃった。

「そそそんな、こんな真っ昼間から……で、でもサーチが望むなら私……」

「……もしもし、ヴィーさん? あんた何を口走ってるのかな?」

「え!? ……すすすいませんんん!」

 メキャ! バラバラ……

「……あ」

 め……面があああああ!? 般若の面が粉々にいいいいい!!

「……それは私は悪くないかと……『がしぃ』ごめんなさい! ごめんなさむきゃああああああ! ぎぶぎぶぎぶぎぶみーちょこれいとおおお!」

 私がお仕置きの卍固めをリジーにかけてる間に、ヴィーが謝りに行ってくれた。結局、大したモノではなかったらしく、少額の弁償で許してもらえた……良かったあ……。

「……お詫びに私の秘蔵の面を」

「ダメダメ!! それって“肉付きの面”でしょ!?」

 “肉付きの面”は、超ド級の呪われアイテムだ。そんなヤバいモノ渡すなっつーの!
 (実在します。知りたい方は「肉付きの面」で検索を)  


「……結局ヴィーにお世話になりっぱなしだったわね……はい」

「あ、ありがとうございます……おっとと」

 夜。
 私とヴィーは、外の居酒屋で夕ご飯兼一杯を楽しんでいる。
 以前に「2人っきりで飲もう」と言ってたヤツを今日にしたのだ。

「でも良かったのですか? 皆を置いてきてしまいましたけど……」

「……いいのよ。エイミア以外は」

 リルとリジーは、罰として旅館で半日正座の刑を執行中。エイミアは「見張りますので。お2人でごゆっくり」……とのこと。ただ、なぜか殺気を感じたのは気のせいかな?

「……エイミアには恩返しをしないといけませんね」

「そうね。お土産に折り詰めでも……」

「でもエイミアとサーチを2人っきりにするのは……ああ、悩ましい……!」

「……ヴィー? ちょっと?」

「へ……? あ、何でもありません……グイ」

 ちょっと……またハイペースで飲むと……。

「……サーチ……」

 て、言ってるそばから目が据わってるし!

「あ、一杯どうぞ」

「え? あ、ありがと」

 酔ってないのかな……?
 んん? ……何これ。

「ちょっとヴィー。何でこのお酒、ピンク色なのかしら・・・・・・・・・?」

「え~? おかしいですね~?」

 ……あんた、何か混ぜたわね……。
 私がそのお酒を捨てようとすると。

「あ……ああ……」

 めっちゃ残念そうにするヴィー。何を期待してたのよ……。

「じゃああんたが飲みなさいよ」

「え……い、いえ。結構です」

 ……はは~ん……。

「媚薬か」

「ひうっ!?」

 ビンゴみたいね。
 ていうか単純……ていうかバレバレ。

「……ヴィーが私を騙すには10年早いわね」

「そうみたいですね……」

 ……ひっかかった。

「なるほど。私を騙そうとしてたのは確かなのね」

「えっ!? し、しまった……」

 ……ホントにウソがつけない娘ね。

「まあそんなヴィーだから、私は一番信頼してるんだけどね……はい一杯どうぞ」

「え!? えええ!? 一番愛してくれてるんですか!?」

「どうやったらそう聞こえるのかな!?」

「信頼……それは愛と同等の尊き感情……」

「……さいですか……ていうか飲め」

「ありがとうございます……グイ」

 あ、飲んだ。

「あれ? 妙に甘い……ま、まさか!?」

「そう。まさか」

 私は空のコップを見せた。そう、ヴィーが私に飲ませようとしてたヤツ。

「ま、まずいです! 非常に……あ……あ……」

 そんなに効くのかしら?

「……きゅぅ……」

 ぱたん

 あ、テーブルに突っ伏した。
 やれやれ……≪毒生成≫で作った眠り薬、ヴィーに効いたか。

「ヴィーは毒に耐性があるから、アルコールを絡めないとダメだったわ……」

 私はヴィーの肩に上着をかけてやった。

「さてと……人のプライベートをコソコソと探って楽しいのかしら? さっさと出ておいで」

 私の斜め後ろに座っていたグループが全員、ビクリと反応した。

「エイミア。しっかりと見張ってるんじゃなかったの?」

「ワ、ワタシ、ムズカシイコトバワカラナイ」

「バレバレだっつーの! いい加減にしないと、朝ご飯に太る毒を仕込むぞ」

「すいませんでしたー!」

「たく……リルとリジーはどうなの?」

「ワ、ワタシ、リルジャナイヨ、リリーダヨ」
「コ、コムギコカナニカダ」

「……2人とも正座の刑、6時間追加で」

「すすすいませんでした!」
「コムギコジャナイヨ、ハクリキコ」

「リジー……剥くわよ・・・・

「くぅ……参った」

「参ったじゃないわよ! 何をコソコソしてるのかって聞いてるの!」

「あ、そうでした! さっきソレイユから、念話があったんです! それで早く知らせた方が良いと思って……」

「ソレイユから? 何だろ……ていうか、何でコソコソしてたの?」

「は、はい……どうせならサーチとヴィーのデート・・・を覗こうって、2人が……」

「……ふーん……」

「いや、私じゃなくてリジーが……」
「ワタシ、ダマサレタノヨ!」

「……2人とも! 終日正座の刑よ!!」

「「………はい」」


 ヴィーが寝てしまったので、そのまま飲み会はお開きになった。

「ヴィーの面倒はお前が見ろよ」

「あんた達はエイミアに監視・・してもらいなさいよ」

「「はい……」」

 半ば引き摺るようにしてヴィーを部屋へ。そのまま布団に突っ込んだ。
 ヴィーの着替え? いろんな意味でヤバいから止めとく。

「……じゃあ寝よっと……ふああ」

 私はアクビをしながらビキニアーマーを脱ぎ捨てて、布団に入り……。

「……何か不安だから……」

 一応媚薬を飲んでるわけだし……念のために、ヴィーをヒモでぐるぐる巻きにする。

「これでよし……今度こそおやすみぃ~……」

 私も……寝る。


 ここで私は大きなミスを犯した。
 ヴィーは……蛇の特性持ち・・・・・・だということを忘れてた。 


「……おっそいわね~……サーチもヴィーも何をしてんのよぉ~……」

 ……ソレイユも忘れてた。
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