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第十六章 冷たくて寒くてCになっちゃう…

第二話 今回は仕返し回!エイミアを侮辱してきたクソ女には、徹底的に仕返ししてやるんですよね…

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「お、おい! 呼び出しは前回のパーティ名変更の件じゃなかったのかよ!?」

「……それだけじゃなかったってことよ。しまった、私もパーティ名変更の件と混同してたわ……」

 ……とはいえ……エイミアが思い出したのもダンジョン内だったわけだから、どうしようもならなかったわけだし……正直に話したほうがいいか。

「申し訳ありませんでした。こちらのミスですので、すぐにギルドマスターに取り次いでいただけますか?」

「……あー、それには及びません。もうギルドマスターからの裁定が出ています」

 はあっ!? ちょっと早すぎるんじゃないの!?

「では、読み上げます……『ギルドからの出頭命令を無視することは、如何なるパーティであっても許されるモノではない。よって……』」

 これは……どういうことなの?

「『パーティは解散、全員のギルドの資格を剥奪するモノとする』……以上です」

 ………………は?

「「「「はあああああああああああああっ!?」」」」

「………」

 そ、そんなバカな裁定、あり得ないわよ!

「ギ、ギルドマスターに直接話すわ!呼んできて!」

「……ギルドの資格も持たない野良・・冒険者と、ギルドマスターを面会させるわけないでしょ。邪魔だからとっとと帰って」

 ギルド職員はニヤニヤしながら私達に手を振った。
 む、ムカつく……!

「あのなあ、たかが1都市のギルドを仕切ってるヤツが、勝手にギルド資格の剥奪なんてできるわけねえだろ? そこら辺を理解してねえギルドマスターの言うことが、まかり通るのか?」

 おお!
 リルいいぞー! やっちゃえー!!
 愛してるわよー!!

「!!……な、何だ? 今の寒気……」

 ……どういう意味よ。

「? ……何故でしょうか?リルを殴りたい衝動が……」

 ……ヴィー? テレパシーなの?

「……ギルドマスターの裁定は絶対です。こちらから本部に連絡をすれば、その時点で裁定は確定されます」

「じゃあ、本部で裁定が覆される事は……」

「しつこいわね、この野良ブタ・・・・!! もう決まった事だって言ってるでしょ!! いい加減にしないと警備隊呼ぶわよ!?」

 ……野良ブタ。
 私はヴィーに近寄り、耳打ちする。ヴィーはニッコリと笑って・・・・・・・・頷いた。
 よお~し。やったるか。
 私の親友であるエイミアを侮辱した罪、償ってもらうわよ。地獄に行くよりもヒドい目を会わせてやる……!


「ちょっと失礼しますね、ヒラ職員・・・・さん」

「ヒラ…!? な、何て失礼な野蛮人なの!?」

「野蛮人なら失礼なのは当たり前でしょ? そんなことも知らないのかしら~…っていうかヒラ職員。私達全員の資格を剥奪・・・・・・・・・・ということでいいのね?」

「何度言わせるのよ…! そうだって言ってるでしょ!!」

「みんなー、聞いたわねー? ……いい、もう一度聞くわよ? 全員で間違いないのね?」

「……本当にしつこい……! そうだって言ってるんだよ! さっさと消えろ野良ブタ!!」

 ……また言った。絶対に許さない。

「何を騒いでいるのかね?」

 ……私達とヒラ職員の言い争いを聞きつけたのか、奥からバーコード頭のデブが出てきた。

「あ、ギルドマスター……実は例のパーティがゴネてまして、業務に支障をきたしております」

「……業務に支障をきたしてるのは、あんたの能力の問題じゃないかしら~」

「なんですって!?」

「まあまあ、落ち着きなさい……言い分は私が聞こうではないか」

 言い分を聞く!?
 あんな裁定をしておいて何を今さら……!

「でしたら私達への裁定を、もう一度考え直して頂けませんか?」

 ヴィーがハゲ頭……もといギルドマスターに嘆願おねがいした。たぶん効果はないだろうが……。

「……条件を呑んでいただければ構わないよ」

「「「「「……へ?」」」」」

 ……それはまた、あっさりとまあ……。

「な、何故ですか! このようなパーティは、存在するだけで害となります!」

 ずいぶんな言い様だこと。今度、闇討ちしちゃおうかしら。

「……ひっ!? な、何故寒気が……?」

 エスパーばっかかよ!

「ギルドマスターである私が決めた事だ。従いたまえ」

「……はい。わかりました」

 あ、ギルドマスターの手がヒラ職員の肩に置かれた瞬間、おもいっきりイヤな顔した。ギルドマスター嫌われてるみたいね。

「……条件とは?」

「いやいや、大した事ではない。何せ麗しい女性ばかりですから……」

 ……ああ、なるほど。何となくわかってきたわ。

「私と食事「「「「「無理です」」」」」……そうですか」

 ……瞬殺だったわね。

「そちらがそのような態度ですと……こちらも協力はしかねますねぇ……」

 ニタァ……とイヤらしい笑いかたをする。これが嫌われてる原因なんだろうな。

「……再考の余地は一切さりませんな。さっさと解散して、路頭に迷うとよろしい。それと装備品は全て没収しますから、そのつもりで」

「……なあ、サーチ。こいつらぶっ殺してもいいか?」

 許可しようかしら。

「……サーチ。ここに売るつもりだったダンジョンコアは、別の町で売りましょうか」

「当たり前よ。こんなギルドに売ってやるモノは、石ころ1つもないわ」

 ギルドマスターは「ダンジョンコア」という単語を聞いたとたんに、顔色を変えた。

「ダンジョンコアだと!? も、もちろんそれも没収だ! 出したまえ!」

「まだ本部が承認したわけじゃないんでしょ? ならあんたの命令に従ういわれはないわよね?」

「屁理屈を言うな! 出せ! 出すんだ!」

 そう言って私に詰め寄るギルドマスター。

「あ~れ~」

 私はバランスを崩して、背後に倒れる。

「うおっ!?」

 その拍子で私に引っ張られた・・・・・・・・ギルドマスターは、私の上に覆い被さった。

「きゃあああ~!!チカン、ヘンタイ、ごーかんまー!!」

 ぼかっ!!

「ぎゃぶっ!!」

 私にぶっ飛ばされたギルドマスターは、地面に転がって気絶した。あーー、スッキリした!

「なっ!?……あなた、何て事を!……警備隊を呼びます!」

『その必要はないのう』

 警備隊を呼ぶためにヒラ職員が取り出した念話水晶。そこには、緑色の髪をした女性の姿があった。

「……!? だ、誰よあなたは! 何故このギルドの念話水晶に……!」

『無論、そなたに用があったからじゃよ』

「私に用って……」

『先ずは名乗るとしよう。妾はサーシャ・マーシャという只のA級冒険者じゃ』

「A級冒険者? サーシャ・マーシャって……まさかハイエルフの女王の!? し、失礼致しました!」

『いやいや、どうやら妾もギルドから追放される事になりそうでの。詳しい事を聞きたかったのじゃ』

「へ、陛下が追放!? 滅相もない! そのような事はあり得ません!」

『そうかえ? 妾が所属しておるパーティが解散、更に全員の資格を剥奪すると聞いたのじゃが……妾だけ例外という事は無かろうて』

「え? ど、どういう事でしょうか?」

 そろそろ追い込み開始しますか。

「あらあ? ギルド職員なのに知らなかったのお? サーシャ・マーシャは私達のパーティに所属してるんですけどお?」

「え!?」

『ふむ……ギルドマスターの決定ならば致し方無いかの……』

 ヒラ職員の顔色が真っ青になる。

「ちょっとお待ち下さい! まだ本部には……」

「あれれ~? さっき「ギルドマスターが裁定した事は絶対」だって言ってたの、あなたじゃなかったっけ~?」

「ああ、そうだったな」
「そうでしたそうでした」
「間違いないですね」
「確定」

「う、うぐ……!」

『……どうなのじゃ?はっきりとさせよ』

「……そ、そうです。その通りです……」

『ならば良い。認めたのじゃから問題無かろう? ニーナよ』

『はい。話は全て聞かせて頂きました。ギルドの権限の悪用に他なりませんね』

「こ、今度は誰よ!?」

「んん? あ、この人はね、偶然・・リジーと会話していて、今回の事の次第を全て聞いてくれてた証人、アタシーのギルドマスターのニーナさんで~す」

「アタシーの……ギルドマスター!?」

『あなた達が提出した船の底抜きボトム・フォールアウトの解散届は、私の権限によって無効としました。ですのであなた達の主張は全て法的根拠はありません』

「……っ!」

『ああ、それからじゃが……我が友人たるエイミアを、ブタ呼ばわりしてくれたそうじゃな』

 ヒラ職員はさらに顔色が悪くなった。

『ニーナ殿。妾はハイエルフの女王としてギルドに要請する。我が同胞たるエイミアを侮辱し、我が心の拠り所を潰そうとしたこの女、真に許し難し。見せしめとして打ち首の後に我が森に晒す故、引き渡してもらいたい』

『どうぞどうぞ』

「そ、そんな!打ち首なん」

 何か喚いてたヒラ職員は、突然姿を消した。

『……身柄は預かった。ご協力感謝する、ニーナ殿』

『いえいえ……陛下にはお手数をお掛けしました』

『全くじゃ……この件は借りにしておくぞ。ではな』

『……では私も失礼しますね』

 マーシャンとニーナさんの念話が切れた。

「……いつの間にこれだけの罠を……?」

「ん? 私が仕組んだの。ヴィーが実行犯よ」

「「「サーチとヴィーが!?」」」

「……それでヴィー姉の姿が無かったの」

「ごめんねリジー。急にニーナさんと通信するよう言われて、びっくりしたでしょ?」

 ヴィーがヒラ職員と話してる間に、私がリジーに頼んだのだ。

「全く無問題」

 あとはこのハゲだけど……これもニーナさんにお願いするか。
 これにて、一件落着ってね。

『あ、すいません。忘れてました。一応ギルドの出頭命令の無視は事実ですので……罰金刑です。では、繊細は後程』

 ……一件……落着……ですよね……。
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